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市場の転換点に立つ:ゴールドマンが語る2025年後半のリスクと戦略

2025年前半、市場は想定外の展開をいくつも経験した。米国の関税政策転換、インフレと成長の同時進行、地政学的リスクの顕在化──それらは株式・債券・通貨のすべてに波乱をもたらした。

こうした背景のもと、ゴールドマン・サックスのストラテジスト2名が語ったのは、「分散」、「慎重な前向き姿勢」、「戦略的再構築」の必要性だった。本稿では、彼らの洞察を軸に、投資家が今なすべき意思決定とその背景を紐解いていく。


1. 想定を超えた政策変化と市場の急変動


1-1. 関税ショックがもたらした市場の急転

クリスチャン氏は、「これまでにないスピードで政策転換が進み、特に関税ショックは、市場を瞬時に揺さぶった」と語る。VIX(恐怖指数)の急騰、株式市場の急落と急反発──そのいずれもが、政策変更の影響を色濃く映していた。

「タイミング予測は、非常に難しかったが、分散投資は非常に有効だった」と同氏は振り返る。

1-2. 通貨・債券・株式が同時に売られる異例の展開

通常、リスクオフ局面では、「安全資産」が買われるが、今回は、米ドル・米国債・株式のいずれもが売られた。この“安全資産の不在”は、投資家にとってポートフォリオ再設計の強い圧力となっている。

アレクサンドラ氏は、「特に欧州投資家にとって、為替がポートフォリオリスクの25%を占めるようになっており、かつてない事態」と強調する。

2. マクロ環境:冷却するが崩れない経済


2-1. 「ゴルディロックス的鈍化」への転換

足元では、米GDPの上方修正とインフレの鈍化が同時に進行し、「適温経済(ゴルディロックス)」の様相が強まっている。アレクサンドラ氏は、「利上げ停止後のFedのスタンスも妥当で、経済は冷却はしても縮小していない」と評価する。

2-2. ソフトデータとハードデータの逆転現象

センチメント(ソフトデータ)は、鈍化しているが、実体経済(ハードデータ)は粘り強い。これは、景気後退が迫っているというよりは、構造的な回復力が残っていることを示唆している。

3. 投資戦略:セレクティブな楽観と守りの組み合わせ


3-1. 「マグニフィセント・セブン」への再評価

生成AIなどの構造的成長に支えられた超大型テック株群「マグニフィセント・セブン」は、業績面でも高いROE(株主資本利益率)を維持しており、再び市場の牽引役になっている。

「高バリュエーションだが、それを正当化するファンダメンタルズが伴っている」とクリスチャン氏は述べる。

3-2. ディフェンシブ株とローボラティリティ戦略

「リスクを抑えつつ市場に留まる方法として、低ボラティリティ株やディフェンシブ戦略の活用が有効」との見解も示された。これは、夏季の流動性低下や突発的リスクに備える有力な手段でもある。

4. 地理的・資産クラスの分散再考


4-1. 米国資産への偏重見直し

為替・関税・財政リスクが重なる中、特に欧州の投資家にとって米資産への過度な依存はリスクと化している。

4-2. 欧州と新興国への目線移動

クリスチャン氏は、「欧州銀行株やインフラ支出関連銘柄、新興国市場など、限定的ではあるが選別的な投資機会が存在する」と述べた。

特に欧州の銀行セクターは、金利上昇に伴う収益性改善や、リストラクチャリング・統合といったプラス要因が重なっているという。

5. 債券の役割再定義とオルタナティブ戦略


5-1. 債券が“安全資産”ではなくなった時代

「過去数十年、債券は、“リスク低減かつ利回り源”だったが、その前提が崩れつつある」とクリスチャン氏は指摘。金利が高止まりする中、価格上昇の余地は限定的であり、株式との相関も高まっている。

5-2. 金やコモディティ・キャリー戦略の活用

リスクオフ時に連動しない資産として、金や商品市場への分散投資が検討されている。実際、今年はコモディティ・キャリー(商品間の先物価格差を利用した戦略)が健闘しており、「構造的分散先」としての地位を高めつつある。

6. 長期アロケーションの見直しと進化


アレクサンドラ氏は、「成功する投資プロセスは“常に変える”のではなく、“構造的変化に応じて再評価し続ける”ことが重要」と述べた。

彼女が強調したのは以下の3点:

  • オルタナティブリスクプレミアムの活用

  • テールリスク(極端な下振れ)への備えとしての戦略的ヘッジ

  • アクティブ運用による選別投資の深化

7. 今夏のリスクと中期的なチャンス


7-1. 夏場のボラティリティ増大に備える

流動性が細る夏季は、ニュースや政策発表が価格に大きく反応しやすい。「今はヘッジが割安なので、ボラティリティに敏感な投資家ほど備えを検討すべき」とクリスチャン氏は提案する。

7-2. 2026年に向けた長期的カタリスト

両氏ともに「欧州の財政刺激策」、「FRB議長の交代」、「地政学リスクの構造変化」など、2026年に向けたプラス材料の兆しも強調。「今こそ前向きに構造変化を見据えたポジショニングが重要」と結論付けている。

2025年後半の市場は、慎重さと選択眼が試されるフェーズに突入している。高バリュエーションや政策不確実性が交錯する中でも、構造的成長の芽は存在し、選別的な楽観主義が求められる。

投資家にとっての最適解は、「グローバルに、資産クラス横断で、戦略的に分散すること」。同時に、それぞれの構成要素を定期的に再評価し、「変わるべきときに変わる柔軟性」を持ち続けることだ。


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