RippleとCircleによる「仮想通貨トラスト銀行」設立の戦略的意図
2025年12月12日、米国通貨監督庁(OCC)が発表した一連の決定は、世界の金融史における重要な転換点として記録されることになった。暗号資産(仮想通貨)業界を牽引するCircle Internet Group(以下、Circle)とRipple Labs(以下、Ripple)に対し、ナショナルトラスト銀行(国法信託銀行)の設立を条件付きで承認したのである。具体的には、Circleの「First National Digital Currency Bank(FNDCB)」およびRippleの「Ripple National Trust Bank(RNTB)」に対する新規設立(De Novo)の予備的承認が付与された。同時に、BitGo、Paxos、Fidelity Digital Assetsに対しても、既存の州法信託会社からナショナルトラスト銀行への転換(Conversion)が認められた。
この動きは、単なる行政手続きの一環ではない。2025年7月18日にドナルド・トランプ大統領によって署名され成立した「米国ステーブルコインのイノベーションを導き確立する法律(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act、通称:GENIUS法)」を受けた、連邦政府によるデジタル資産市場の構造改革の具現化である。長年、規制のグレーゾーンあるいは敵対的な環境に置かれてきた暗号資産企業が、初めて米国の連邦銀行システムの「内部」へと正式に迎え入れられた瞬間であり、これは「銀行とフィンテックの境界線」を恒久的に再定義するものである。
本報告書では、RippleとCircleが「仮想通貨トラスト銀行」を通じて何を狙っているのか、その戦略的意図を深層まで掘り下げる。彼らの目的は、表面的な「銀行ライセンスの取得」にとどまらない。
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