Snap、生成AI動画チームを新会社「Dotmo」へスピンオフ ― コスト負担を理由に2026年6月18日発表
SNS大手Snapが、自社の生成AI動画チームを新会社として分離するという発表を行いました。背景にあるのは、AI開発にかかる社内コストの重さです。今年に入ってAR グラス「Specs」の分離やレイオフを進めてきたSnapにとって、今回の動きはどのような意味を持つのでしょうか。発表内容を整理しながら見ていきます。
1. 新会社「Dotmo」とは何か
Snapは、現地時間6月18日、社内の生成AI動画チームを「Dotmo」という新会社として分離することを発表しました。Dotmoは、インタラクティブなゲーム体験を生成できるAIモデルの開発に取り組むとされています。Snapはこの分離の理由について、社内でこうした開発を行うことのコストの高さを挙げています。
2. Snapとの関係性 ― 「別会社」だが結びつきは強い
Dotmoは、法的には独立した会社ですが、Snapとの結びつきは依然として強いものです。まず、Snapは、Dotmoに対し、自社の技術をゲームやインタラクティブエンターテインメント向けに転用するためのライセンスを提供します。また、立ち上げ時のDotmoのチームは、Snapを退職してこの新事業に参加する現従業員によって構成されます。
2-1. CTOボビー・マーフィー氏が個人として出資
資金面では、Snap自体は、Dotmoに直接出資しない一方で、Snapの最高技術責任者(CTO)であるボビー・マーフィー氏が個人としてリード投資家となり、相当な個人的な株式を保有するとされています。マーフィー氏はこの出資後もSnapのCTOとしての職務を継続し、同社の生成AI研究開発を引き続き統括する予定です。
2-2. Snapは人材・技術提供の対価として大きな株式を取得
Snapは、人材とライセンスの提供と引き換えに、Dotmoの大きな株式を取得するとしています。これは、将来Dotmoが事業として成功した場合に、Snapにとってリターンとなり得る位置づけです。Dotmoは将来的に外部資金の調達を検討する可能性もあるとされています。
3. 今年2件目のスピンオフ ― Specsとの違い
今回の動きは、Snapにとって2026年に入って2件目の主要なスピンオフです。Snapは今年初め、AR グラス事業を専門に手がける新会社「Specs」を分離していました。
ただし、SnapによればDotmoのケースはSpecsとは性質が異なります。Specsはハードウェア事業として独立した一方、Dotmoのチームが取り組むのは現時点でSnapの中核事業の優先課題には含まれていない領域だと、Snapの関係者は説明しています。それでも、将来的に「フィットが合えば」Snapのパートナーとなる可能性は残されているとのことです。
4. SnapのAR グラス「Specs」を巡る最近の苦境
なお、Specsについては今月、いくつかの逆風が報じられています。Snapは、6月16日にARグラス「Specs」を正式に発表しましたが、約2,200ドルという高額な価格設定への懸念から、発表翌日にSnapの株価は下落しました。
また、Snapは、今年すでに従業員約1,000人(全社の16%)を削減するレイオフを実施しています。こうした一連の動きから、Snapがコスト構造の見直しを進めている様子がうかがえます。
5. スピンオフという選択の意味
一般に、スピンオフはコスト削減の手段として用いられることがありますが、それ以外にも、特定の資産を投資家にアピールする目的や、事業運営上の柔軟性を確保する目的で行われることもあります。
今回のDotmoのケースでは、SnapはAI開発にかかる財務上の負担を軽減しつつ、株式保有という形でその将来的なアップサイドへのエクスポージャーは維持するという構図になっています。AI開発の高コスト化が業界全体の課題となる中、大手テック企業がどのように身軽な体制を作っていくか、今後も同様の動きが他社でも見られるかが注目されるところです。
