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Webflow共同創業者Bryant Cho氏、新会社「Ploy」を設立 ― YCバッチの12%が導入する中小企業向けAIマーケティングツール

AIによるコード生成や画像生成が一般化する中、「経験を持つ起業家」の価値はどう変わるのでしょうか。今回紹介するのは、Webflow共同創業者であるBryant Cho氏が、Y Combinatorの最新バッチで立ち上げた新会社「Ploy」についてのインタビューです。Webflowでウェブサイト制作のあり方を変えた同氏が、AI時代における中小企業向けマーケティングの課題にどう向き合っているのか、その背景と具体的な事例を見ていきます。


1. Bryant Cho氏とPloyの概要


Bryant Cho氏は、現在世界のウェブサイトの1%が稼働しているとされるWebflowの共同創業者兼CTOです。同氏は、再びY Combinatorの現行バッチに参加し、Webflowでの経験を土台にした新会社「Ploy」を立ち上げました。

Ployは、単なるウェブサイト制作ツールではなく、「マーケティング全体を自動運転で動かすプラットフォーム」と位置づけられています。Cho氏は、自身の経歴について「Webflowでは、最初CTOとして始まり、その後マーケティングチーム、セールスチームも統括していた」と語り、その複合的な知見をPloyに反映させていると述べています。

2. 既存サイトを75秒で刷新する「デザインスラーパー」


インタビューでは、実際にPloyを使ったデモが行われました。注目すべきは、「デザインスラーパー」と呼ばれる機能です。これは既存ウェブサイトのURLを読み込み、デザインシステムとサイト上のすべてのコンポーネントを抽出・再構築する、決定論的な仕組みです。

Cho氏によれば、この機能の開発には約75万ドル相当のトークンが投じられたとのことです。デモでは、Y Combinatorの加盟企業のウェブサイトを実際に取り込み、約75秒で全体をスラープ(吸い上げ)し、コンポーネントを再構築する様子が示されました。これについて、対談相手は「エンジニアとフロントエンド担当者3〜5人のチームが少なくとも1週間かかる作業に相当する」と評しています。

2-1. 過去のウェブサイトを2026年仕様に再構築

象徴的な事例として、Cho氏が2008年に手がけた「Posterous」というブログサービスのサイトをPloyに読み込ませ、再デザインさせる場面が紹介されました。結果について、対談相手は「これは2026年のものに見える」と評しています。

同様に、2007年に作られた文書共有サービス「Scribd」や、自身が大学の寮の物置に物理サーバーを置いて運用していたという「Auctomatic」のサイトも、Ployによって現代的なデザインに再構築されました。2017年制作のAR企業「Escher Reality」のサイトについては、わずか3〜4回のプロンプトで紹介動画まで生成されたといいます。

3. 経験豊富な起業家が持つ優位性


Cho氏は、AIモデルの能力が拡大する中での経験者の価値について、次のように述べています。

「この無限とも言える知能を何に使うべきか判断するには、一定の専門性が必要だ。業界で10年以上過ごしてきた人材は、モデルの基礎的な能力を活用して世界トップクラスのものを作り出す方法を知っている」

この発言の背景には、優れたプロダクトやサービスを持っていても、それを十分に活用しきれていない中小企業や創業者が多く存在するという課題意識があります。Cho氏は「自分はそうした人たちがその機会を掴みやすくするためにここにいる」と語っています。

3-1. 「D&D理論」による起業家のスキル分布

対談の中では、起業家のスキルセットの違いをテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に例える場面もありました。優れた技術者であっても、製品をユーザーに使ってもらうための発信力に課題を抱える創業者は少なくないという指摘です。

Cho氏は、「ある分野で極端に高い能力を持つ人物、たとえば、コーディングに秀でているが対人コミュニケーションが苦手な人物が、これまでは他の能力の不足によって機会を制限されてきた。しかし、今は、そうした人物もPloyのようなツールを使ってマーケットで勝負できる」と述べ、これをAI時代の「ホワイトピル(楽観的な側面)」と位置づけています。

4. Webflowでの経験から得たデザインの「型」


PloyがAIスロップ(質の低いAI生成コンテンツ)を避けるための工夫として、社内では3,500種類のウェブデザイン用プロンプトを独自に作成し、これをAIモデルへのインスピレーション源として活用していることが紹介されています。

Cho氏は、「人間のデザイナーがインスピレーションを得ながら制作するのと同様の仕組みを、プロダクトの中で再現しようとしている」と説明しています。この点について、対談相手は「Andy Warholの理論」を引用し、「Warholの作品が工場で量産されても、それは依然としてWarholの作品である。今のAIモデルは人間の創造性のための工場のような存在だ」という見立てを示しています。

5. YC2013年と現在、創業初期の違い


Cho氏は、自身がWebflowを創業した2013年当時のY Combinatorバッチと、現在のPloyの開発状況を比較しています。

「Webflow創業時は、手作業でのコーディングに多くの時間を費やしていた。一方、今は誰もがコードを書ける時代になり、インフラやシステム設計の背景知識がなくても、モデルがその部分を補ってくれる」

ただし、Cho氏は、「出力されるコードの量やテストの網羅性は格段に増えるが、何に注力すべきか、それをどう形にするかという判断軸は変わらない」と指摘し、この点で経験豊富な開発者がなお優位性を持つと述べています。

6. AIエージェントを「顧客」として捉える視点


インタビュー後半では、AIエージェント自体がPloyのようなサービスの利用主体になりつつある点も議論されました。Cho氏は、ChatGPTやPerplexity、Claudeなどに「見つけてもらう」ためのSEO・AEO(AI最適化)対応を、Ployが標準機能として提供していることを説明しています。

実装方式についてはMCP(Model Context Protocol)ではなく、CLI(コマンドラインインターフェース)とスキルベースの方式を採用する方向で検討しているとのことです。Cho氏は「Ployでできることの幅広さを考えると、MCPよりもCLIの方が適している」と述べています。

7. 経験豊富な創業者と若手創業者の違い


対談では、近年のY Combinatorバッチで若手創業者の比率が高まっている傾向についても触れられました。Cho氏は、経験豊富な創業者には「過去の失敗から学んだ知見が、時に新しい挑戦への足かせになることもある」と認めつつ、「経験者はもう少し大胆さやリスク許容度を持つべきだ」と述べています。

一方で若手創業者に対しては、「100個のウェブサイトを量産すればGoogleが権威あるサイトとみなしてくれる、というような考え方は誤りだ。コンテンツのための量産ではなく、一貫したストーリーと価値提供が重要だ」という助言を示しています。

8. 「自分自身をクローンする」という発想


Cho氏は、AIを活用した自身の生産性について「スケール(規模)の制約にずっと縛られてきたが、今はAIによって自分自身を製品だけでなく、会社の運営方法そのものにも複製できるようになった」と述べています。

具体的には、すべての商談を録音・文字化してCRMに自動登録し、提案書の自動作成やフォローアップメールの自動スケジューリングまでを行っているとのことです。同氏はこれを「これまで語られてこなかった、AIによる“豊かさ”の一側面」と表現しています。

対談相手は、Rippling創業者Parker Conrad氏の事例も引用しながら、「以前は新しいアイデアを形にするのに2年と数十人のチームが必要だったが、今は一人の創業者が経験と知見をAIに注ぎ込むことで、同等以上のスピードで実行できる時代になった」と指摘しています。

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