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2025米株「AIが支えた相場」の正体:崩れる“2つの前提”

2025年の米株は、「静かに始まり、関税ショックで沈み、AIで持ち直した」一年でした。スティーブ・アイスマンは年末総括で、市場を規定する4つのテーマとして①K字型経済、②AI革命かAIバブルか、③プライベートクレジット膨張、④アフォーダビリティ(生活コスト)を提示します。数字の要点は明快です。S&P500は年初来+16%、ただし、4月底からは+37%と“後半の加速”が際立つ。ここに「AIが潮位を上げた」構図がはっきり出ています。


1. K字型経済:「AIだけがGDPを押し上げた」


アイスマンの問題提起は、景気の強さが“見かけ倒し”になり得る点です。彼は、「2025年のAI関連CAPEXが約4,000億ドル規模で、GDP成長の大部分を説明し得る」と述べ、AI以外は“ほぼ横ばい”という見立てを示します。

このK字は株価にも反映され、指数が上がっても「S&P500構成銘柄の37%が年初来マイナス」といった内部の分断が生じる。結果として、時価総額加重のS&P500が強く見え、等ウェイト指数は相対的に伸びにくい。
投資家の実務に落とすと、「指数が強い=景気が強い」と短絡せず、“どの需要が伸びているのか”を分解する必要がある、という警告です。

2. AI革命かAIバブルか:「需要は実在、でも“止まるスイッチ”がある」


彼はドットコムと違い、今回は、「ハイパースケーラーが実需でチップを買っている」点を強調します。つまり、現時点で投資が“空想”ではない。ここが強気の根拠です。

一方で、上昇エンジンには2つのリスクがあると整理します。

2-1. 構造リスク:電力がボトルネック

「データセンターを作っても、電力がなければ稼働できない」。実例として、完成しているのに送電が追いつかないケースに触れ、電力需要の伸びが従来の1%から3%へ上がった、と説明します。ここで重要なのは、電源開発は「計画〜許認可〜建設」で2〜3年かかり、タイムラグが投資サイクルを折り得る点。

電力制約が現実化すると、ハイパースケーラーはチップ発注を鈍らせ、“好循環”が逆回転する可能性があります。

2-2. 知的リスク:LLMのスケール則は“行き止まり”か

より本質的なリスクとして、彼はこう言い切ります。「より大きいLLMが“ゴールに届かない”と市場が気づくことが、AIストーリー最大のリスクだ」。

金融危機当時、「住宅価格は全国的には下がらない」という1つの前提が崩れた瞬間に、巨大な市場が連鎖崩壊した——そのアナロジーで、AIも「スケールすれば性能が伸び続ける」という前提が揺らげば、チップ需要の“必然”が消えると示唆します。ここは投資家にとって、売上やガイダンス以前に、業界の“信仰(前提)”を点検せよというメッセージです。

3. プライベートクレジット:「見えない信用が、見えない場所で膨らんだ」


プライベートクレジット残高が2020年の約2兆ドルから2025年に約3兆ドルへ膨張し、銀行も資金供給している——アイスマンはこの“巨大化”自体が市場の不安材料だと述べます。

さらに厄介なのは、彼の言う通り「private creditはprivate」で、証券化住宅ローンのように誰でも追える月次データがないこと。つまり、もし問題が顕在化すれば“定義上サプライズ”になりやすい。

彼は、これが直ちにリセッションを起こすとは見ない一方、景気後退が来たときに弱点が露出すると見る。投資家にとっては、クレジットの火種は「いつ燃えるか」より「燃えたときの伝播経路」を想像する領域です。

4. アフォーダビリティ:「インフレは止まっても、生活は楽にならない」


インフレ率が落ち着いても、数年分の累積上昇が家計を圧迫し続ける。これが消費関連(生活必需品・裁量消費)の重さにつながる、という整理です。
住宅については、彼は需要刺激策(頭金補助、超長期固定など)を「価格を押し上げるだけ」と批判し、問題は需要ではなく供給だと言います。ローカルのゾーニング、許認可の遅延、インパクトフィー(開発負担金)がコストを押し上げる。要は、住宅問題はマクロ政策よりミクロ規制に根がある、という視点です。

5. 2026年の投資家が見るべき「シグナル」


アイスマンは、「AIは多くの船を持ち上げた潮で、逆回転は美しくない」と警告します。ただし、同時に、トレンドは想像以上に長く続くとも言う。結論は“期間”です。

  • 長期投資家:ボラを耐えられるなら、ノイズを減らし保有継続も選択肢

  • 中短期投資家:波が変わる兆候を追い、機動的に

  • 生活資金が近い投資家:現金比率を持つ。彼はMMF利回り(4%程度)にも触れ、「キャッシュも働く」と述べます。

最後に、彼が示唆する“見に行く場所”が現代的です。かつては格付け機関のデータベースを掘ったが、今は「XやRedditの議論に“茶葉(兆候)”がある」。つまり、数字だけでなく、市場心理がどこで折れ始めるかを観察せよ、ということです。

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