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Nvidia対Appleの時価総額逆転と銀行ROCE比較で読む先週の株式市場

本記事では、2025年7月第3週の決算シーズン幕開けにあたり、金融市場全体の動向と主要企業の決算結果、さらには著名投資家スティーブ・アイズマン氏のパーソナルアナウンスや視聴者からの質問回答(メールバッグ)を交えて解説します。専門的な金融指標やセクターごとのパフォーマンスをわかりやすく整理し、個人投資家の皆様が今後の投資判断に活かせるポイントをまとめました。


1. パーソナルアナウンス


投資話に入る前に、スティーブ・アイズマン氏からの衝撃的かつ重要なメッセージをご紹介します。氏は動画冒頭でこう告白しました。

「約1か月前に乳がんと診断されました。早期発見だったため治癒が見込まれていますが、今後数か月間は化学療法を受ける予定です」

この発表の背景には、外見の変化を視聴者に配慮して公表すると同時に、「乳がんは女性だけの病気ではない」という啓発メッセージがあります。氏自身、スクワッシュのロッカールームで腫れを指摘された医師の友人に命を救われた経験を振り返り、男性にも定期的な自己チェックを呼びかけています。

2. マーケット概況と決算シーズンの幕開け


2-1. 米主要株価指数の高値更新

7月18日週の終値ベースで、S&P500は年初来+7%超、NASDAQは+8%超と共に過去最高値を更新しました。短期的には米–メキシコ、米–EU間の追加関税発表(30%)リスクや、選挙を控えた政策動向が懸念材料となるものの、テクノロジー株の牽引で市場は堅調です。

2-2. 貿易摩擦とNvidiaの中国向けチップ再開

当週、トランプ政権はメキシコ・EUへの追加関税を表明しました。一方で、米政府はNvidia社のH2Oチップ対中輸出再許可を近く承認すると報じられ、中国へのハイエンドチップ規制の選択的緩和が示唆されました。これを受けてNvidia株は過去最高の時価総額4.2兆ドルをマークし、Appleを約1兆ドル上回る規模となっています。

3. 銀行決算のポイント


決算シーズン初週は大手銀行の決算発表が目白押しでした。まずは、銀行投資家が重視するROTCE(Return on Tangible Common Equity)とP/TBV(Price to Tangible Book Value)を整理します。

3-1. 注目指標:ROTCEとP/TBV

  • ROTCE:純利益÷有形普通株主資本(総資本-無形資産)

  • P/TBV:株価÷1株当たり有形簿価

高いROTCEは、収益性の高さを示し、同業他行と比較した際のバリュエーション差の主因となります。

3-2. JPモルガン・チェース:国内最高の21%ROCE

Q2決算では、EPS4.96ドル(前年同期比+6%、売上455億ドル)を達成し、ROTCEは、21%と国内大手でトップ。投資銀行部門とトレーディング部門が予想を上回る好調ぶりを示し、いわゆる「ビート&レイズ」の好決算でした。

3-3. ウェルズ・ファーゴの足踏みと資産制限解除の影響

長年の不祥事によるFRBからの資産増加制限解除後の移行期決算。EPS1.54ドル(売上210億ドル、前年同期比+0.7%)でROTCEは15.2%。貸出残高拡大の制約が利益成長を鈍化させ、翌期の利息収益見通しも下方修正しました。

3-4. シティ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーの明暗

  • シティグループ:EPS2.10ドル(売上217億ドル、+10%)でROTCEは8.7%と依然低迷。

  • ゴールドマン・サックス:EPS10.91ドル(+27%)でROTCEは13.6%。M&A・IPOの回復が鍵。

  • モルガン・スタンレー:EPS2.13ドル(+17%)でROTCEは18.2%と全米2位。資産運用部門の強さが際立ちました。

3-5. 地方銀行&バンク・オブ・アメリカの課題

PNC、M&TともROTCE15%前後で安定成長。一方、バンク・オブ・アメリカは、EPS0.89ドル(+7%)ながら、過去の長期債保有による利ざや悪化でROTCEは13.4%にとどまりました。

3-6. バリュエーション比較

株価/TBV倍率では、JPモルガンとモルガン・スタンレーが約3倍、有力地方銀行が約2.5倍、BofAはやや割安と見なされています。ゴールドマンはROTCE13%台ながらM&A期待で高倍率。シティのみ1倍未満の部類に留まっています。

4. 金融以外のセクターハイライト


銀行以外のセクターでも注目決算が続出しました。

4-1. 損保大手と製薬:Progressive & Johnson & Johnson

  • Progressive Insurance:Q2 EPS4.88ドル(前年同期比+96%)、純保険料収入+18%と高収益を維持。

  • Johnson & Johnson:売上は市場予想を上回り、通期見通しを引き上げ。薬価引き締め懸念の中で底堅い業績です。

4-2. GEの再編と事業別決算

2018年以降に3社に分社化されたGE。

  • GE Aviation(航空機エンジン):EPS1.66ドル(+38%)で売上+23%、ガイダンス↑。

  • GE Healthcare(医療機器):EPS8.84ドル(前年同期10.12ドル→下方修正)で通期予想を大幅下方修正。業績格差が鮮明です。

4-3. 生活必需品から先端技術まで

  • Archer Daniels Midland (ADM):コーンシロップ原料価格下落を受け小幅下落。

  • Netflix:Q2 EPS7.19ドル(+47%)で通期ガイダンス↑も、株価は「ウィスパー数」が上振れていたとの見方で売られ、年初来+40%から調整。

  • Union Pacific:鉄道M&A波及の噂浮上。北フォーク・サザン買収提案が実現すれば、運輸セクター全体に波及効果が期待されます。

5. メールバッグ:視聴者からのQ&A


5-1. なぜ米国市場に100%集中するのか?

氏の回答は、「情報技術セクターがS&P500の約31%を占め、テック・関連企業を含めると約50%に達する。これほどテック比率の高い国は他にない」ため、成長機会を最大化できるとのことです。

5-2. なぜ“ロングオンリー”戦略なのか?

かつて大幅にネット・ショートして金融危機を的中させた経験後、規制強化で銀行システムが強化されたこと、加えてAIなど技術革新ドライバーの影響で米経済がかつてないダイナミズムを取り戻したことを理由に、長期では上昇を見込む姿勢を貫いています。

結論:今後のリスク要因と展望

現時点では米国経済のファンダメンタルズは良好であり、銀行・消費・テクノロジー各セクターとも堅調です。しかし、唯一の懸念材料は貿易戦争の再燃。関税引き上げや技術輸出規制の強化が進むと、グローバルサプライチェーンが再び混乱し、市場センチメントに逆風が吹く可能性があります。投資家としては、短期的な株価反応を追うのではなく、中長期の「シナリオ・チェック(シーシー)」として決算データを活用し、自身の投資仮説を検証するアプローチが求められます。

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