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2026年、相場が壊れるのは「景気」じゃない:トム・リーが警戒する地雷

米投資ポッドキャスト The Compound and Friendsに、強気派として知られるトム・リーが登場し、2026年の相場観と「何を恐れているのか」を語った。結論はシンプルだ。強気は維持するが、“途中の痛み”は織り込むべき——その痛みの正体は、景気後退というより「政策ショック」と「レバレッジの限界」、そしてAIがもたらす“勝者と敗者の分岐”だ。


1. 2026年は「前半強い→中盤きつい→年後半戻す」シナリオ


彼のベースケースは、2025年の再現に近い。前半は堅調だが、途中で弱気相場級のドローダウンが来る可能性があるという。目安として「20%程度」の下落も視野に入れつつ、ただしそれが景気後退を伴わないならV字回復になりやすいとする。

この“急落の引き金”候補として挙げたのが、ホワイトハウス発の政策ショックや、新体制のFRBを市場が試しに行く局面だ。本人も「“We’re all guessing.”(結局は推測だ)」と前置きしつつ、下落は“ファンダ崩壊”より“ポジション調整”で起きる見立てを崩さない。

2. 「景気は意外に悪くない」根拠:利益成長と市場の裾野


弱気派が言いがちな「バリュエーションが高い」「上がりすぎた」は、彼の“観測可能な事実”に押し返される。

  • 企業利益の伸びが米国だけでなく世界で加速している

  • 市場のブレッド(値上がり銘柄の広がり)が改善し、米国外にも広がっている

  • AIやブロックチェーン、オンショアリング、防衛など、投資と需要を作るテーマが複数同時進行

とくに、ブロックチェーンについては、ダボス周辺の議論を引き合いに「伝統金融が“生産性向上の基盤”として作り始めている」と述べ、Fidelity Investmentsのステーブルコイン(番組内言及)などを材料に、金融レールの再設計が始まっているという視点を提示した。

3. いま最も熱いのは「エネルギー・素材・金銀」——でも遅すぎる相場ではない?


司会側は、「素材や原油高は景気後半のサインでは?」と問い、彼は“需給と資金フロー”で受ける。金銀の上昇は、中央銀行というより富裕層の小さな配分変更でも価格を押し上げ得るという話が象徴的だ。
「“1.5%の配分で、金が9,000に行く”」という会話は、価格目標の是非よりも、“薄い需給に資金が乗ると行き過ぎる”という構造を示している。

同時に、金銀は、“投機の吸引口”になっており、その反動として暗号資産の勢いが削がれている、という対比も出てくる。

4. 本当の警戒点:マージン債務が「上昇の燃料」になった瞬間


彼の“データでの赤信号”はここだ。FINRAのマージン債務が急増し、前年比の伸びが約38%を超えると、将来リターンが悪化しやすいという分析を紹介した。

要するに、上昇が企業価値の積み上げではなく、レバレッジ消費で作られ始めた瞬間に、相場は不安定化する。

この視点は、「調整は悪」ではなく、むしろ「“クレンジング(浄化)”が起きれば次の上昇の土台になる」という整理に繋がる。痛いが、必要になり得る——という投資家向けの現実的なメッセージだ。

5. AIは追い風か、向かい風か:ソフトウェアの“粛清”が示すもの


番組の白眉は、AIが株式市場で“価値を増やす”より先に“価値を壊している”ように見える、という問題提起だ。Microsoftの急落や、ソフトウェア株全体の下落を例に、「良い決算でも株が落ちるのは危険信号」という“マーケットの癖”が語られる。

彼は、最終的にAI強気を崩さないが、勝者が見えにくい局面では敗者(置換される側)だけが先に可視化されると説明する。つまり、AIはテーマとしては追い風でも、銘柄選別の局面では破壊力が先に来る。

6. 供給ショックとしての大型IPO、そして暗号資産の再編


後半は「大型IPOは天井サインか?」という古典的論点に触れ、Blackstone の07年IPOを“教訓”として挙げる。一方で、OpenAI や SpaceX(+ xAI)の上場は、需給を吸うだけでなく、ベンチャー側に“巨大な流動性(配当のような資金還流)”を生む可能性がある、という反論も提示した。

暗号資産については、Coinbaseの下落を“生態系のバランスシート悪化”の象徴として語り、レバレッジ解消がトレンドを壊したという整理。さらに「量子計算でBitcoin が脆弱化する」懸念に言及しつつ、実需面ではステーブルコイン(Tether など)が金融の収益構造を塗り替え得る、と示した。ここで彼が“主役候補”として語ったのが、Ethereumだ。

まとめ:2026年の恐れは「景気」より「構造」


この対談を一言でまとめるなら、恐れるべきはリセッションではなく、(1)政策ショック(2)レバレッジ過多(3)AIによる選別の加速(4)需給イベントだ。
強気は維持しつつも、「途中で20%級の痛みが来ても不思議ではない」。そして、その痛みの後に広がるのは、マグニフィセント銘柄だけではない“裾野の相場”——というのが彼の2026年像だった。

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