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SpaceX IPOは2026?Tesla株“次の瞬間”とAI投資バブル論争

2025年12月11日に収録されたARKの月次マーケットアップデートは、足元のマクロ(雇用・インフレ・金利)から、AIの設備投資(CapEx)と収益化、米中AI競争、電力(原子力)、そして、SpaceXやTeslaの“次のブレーク”までを一本の線でつなげて語った内容でした。結論はシンプルです。「不安材料は残るが、2026年は生産性がインフレを押し下げ、勝者が収益でCapExを正当化する局面に入りうる」——という見立てです。


1. 「ローリング・リセッション」から“安定”へ?ただし痛点は雇用


Kathy Woodは、景気が「ローリング・リセッションからより安定へ移った」と述べつつ、最も懸念する統計として新卒(大卒)失業率が10%超に達している点を挙げました。9月データで9.3%→10.2%へ上昇し、さらに平均で職探しに25週間かかるという長期化も重い。

一方で、彼女は、AIがエントリーレベル雇用を押す面を認めながらも、解決策として「AIを学べ。vibe codeを学べ。起業のハードルは2014年より低い」と背中を押します。ここはARKらしく、雇用悪化を“悲観の材料”で終わらせず、技術が生む新たな機会へ接続していました。

2. 2026年は“ゴルディロックス”になり得る、というロジック


インフレは、FRBの最大課題だが、利下げは続く——その根拠として、失業率は遅行指標であり「今回は立ち直りに1年もかからない可能性」を示唆。さらに、彼女が強調するのが、生産性=反インフレの最強要因という見方です。

具体的には、原油価格の低下、家賃の低下(人口移動の影響)がCPIに時間差で効き、「2026年はゴルディロックス(成長は強く、インフレは低い)」になり得る、と。加えて市場は「関税混乱」「政府閉鎖」「FRBのタカ派発言」といった嵐を耐えたので、期待が織り込まれ始めた——という整理でした。

3. 2026年の最大リスク:金融政策の“分裂”と財政の“迷走”


質問「2026年の最大の財政・金融リスクは?」に対し、金融面では、FRB内で“成長=インフレ”と信じる勢力が増え、意見が割れることを懸念。一方で、仮に特定の人物がトップなら問題は小さい、というニュアンスも語られました。

財政面はより政治色が濃い。減税や控除など“人気の税政策”を評価しつつも、景気が弱いと中間選挙に向けた不安から短期的なバラマキ(臨時支出)に流れ、債券市場が赤字を問題視する——という筋書きです。要は、「成長で赤字を薄める」前提が崩れた時が危ない。

4. AI CapExは、“ドットコム再来”か?—違いは資金源とバリュエーション


AI投資が、GDP比で90年代後半に似てきた、という市場の不安に対し、ARK側は“似ている点”と“決定的に違う点”を分解します。

  • ハイパースケーラーのCapExは、来年合計で5,000億ドル超になり得る(アナリスト予想)

  • ただし、CapExの資金源を見ると、90年代末はS&P500の営業CF比CapExが75%でピーク、一方で今は46%

  • マルチプルも、NASDAQ100は2000年にPER 89倍、現在は28倍(当時ほどの投機熱ではない)

そして、投資家心理として、ARKは「市場がバブルを怖がりすぎて、むしろ極端なバリュエーションになりにくい」と示唆。Kathyは、AltimeterのBrad Gerstnerの比較を引き、当時は“暗いままの光ファイバー”に資金を注いだが、今はGPUが不足し、作られたGPUは“全部使われている”と語ります。

5. “収益が追いつくAI”の衝撃:OpenAI・Anthropic・コーディング領域


最も目を引くのは、AIネイティブ企業の収益成長の例示です(いずれも推計のニュアンス)。

  • OpenAI:年換算ランレート約200億ドル、2023年の約20億ドルから2年で10倍

  • Anthropic:年内に約90億ドルランレート、年初の約10億ドルから急拡大

  • コーディング支援:Cursorが、10倍成長で年商10億ドル超の推計、Replitは、1.5億ドル超規模の推計

ここで重要なのは、CapExが巨大でも「需要が実在し、支払い意思がある」ことを“数字で殴ってくる”点です。Kathyの言葉を借りれば、バブル期のAmazonのように「赤字拡大を誇って株が上がる」時代ではない。今は、投資は“収益化の証拠”を求められる。

6. 米中AI競争:モデルは迫るが、計算資源がボトルネック


中国は低コスト・オープンウェイト側で存在感を増し、フロンティア性能の遅れは“約6か月”程度と説明。一方で、継続的にリリースするには計算資源が足りず、製造力では、TSMCが中国の先端ファブを「トランジスタ総量で約38倍」という推計も示されました。

結論は、現実的で、①規制緩和でNVIDIA GPUにアクセスできるか、②国内供給力を急拡大できるかが鍵。できなければ、西側のモデルがオープン領域でもシェアを奪い返す、という見立てです。

7. 電力:送配電(ユーティリティ)は規制の檻、発電は“再び学習曲線”へ


AI電力の文脈で、送配電は規制で利回り上限がありイノベーションが起きにくい一方、発電側(特に原子力)は追い風が揃ったと整理。

規制支援、24/7電力需要、SMR(小型モジュール炉)などが、かつて70年代に折れた原子力のコスト低下トレンドを“再点火”させうる、という話です。さらに、「系統接続に5年待ち」があるなら、ハイパースケーラーは、“behind the meter(自前電源)”へ向かい、従来ユーティリティを迂回する可能性にも触れています。

8. Teslaの次の瞬間:オースティン“オペレーター撤去”が分岐点


Teslaについては、ロボタクシーで車内オペレーターが不要になる(オースティンで数週間以内の可能性)という発言をカタリストに位置付けます。Waymoは、都市展開を進めるが車両は数千台規模、一方で、Teslaは生産能力が圧倒的で、規制面はWaymoが道を作り、Teslaが規模で勝つ——という構図。

ARKの主張は一貫しており、ロボタクシーが2029年のTesla企業価値の“主要部分”を占める、というターゲット像まで言及しています。

9. ヘルスケア(ARKG):規制緩和×M&A再開で“長い持ち合い”が解けるか


ARKGが長期で苦戦した理由を「COVID後の不確実性で“キャッシュフロー重視”相場になった」ことに置きつつ、転換点として大規模な規制緩和とM&Aの復活を挙げます。特に「戦略的な価格発見がないと、空売りに叩かれやすい」という指摘は実務的。

さらに、大型製薬が今後5年で200〜3000億ドル規模の売上ギャップに直面し、買収・提携で穴埋めを迫られる、という見立ても示されました。

10. Abbott×Exact Sciences:21Bドルが示す“診断の再評価”


AbbottがExact Sciencesを約210億ドルで買収した話は、「がん診断のTAMの大きさ」を裏付ける事例として扱われます。Cologuard(便検査)だけでなく、血液検査(MRD、マルチキャンサー)へ広がるパイプライン投資が焦点。買収後に同業が上昇したのは、まさに“戦略的価格発見”の復活を象徴します。

11. ARK Venture Fund:流動性の設計と“プレミアム罠”の回避


ARKVXは、インターバル型のクロスオーバーファンド(目標:私募80%/上場20%)で、四半期ごとにNAVの最大5%まで償還可能、上場株が流動性の源泉になる——という説明。

そして、Kathyが強調したのが、他のクローズドエンド型で起きる「NAVの数倍のプレミアム」問題です。SpaceXを多く持つ別ファンドがNAVの約6倍で取引され、NAVが伸びても価格は下がり得る、という“入口で負ける”構造を戒めました。

12. SpaceX IPOの噂と「宇宙データセンター」:電力制約を“空へ逃がす”発想


最後の山場は、SpaceX。2026年IPOの噂に加え、Elon Muskが語る宇宙ベースのデータセンター構想を「新しいオプション価値」として扱います。系統接続に年単位で待たされる地上の制約に対し、再使用型Starshipを完成させ、“必要な時に電力とインフラを宇宙へ打ち上げる”——これは規制とNIMBYで詰まる西側が、逆に“リープフロッグ”する可能性がある、という締めでした。

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