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宇宙最前線:Impulse・Momentus・Vast・ExLabs・Stoke

本稿は、月面着陸機から軌道上製造、商業宇宙港まで、いま動いている主要トピックを簡潔に整理する。共通テーマは、「中量級(月面3t級)貨物の空白の争奪」「推進剤アーキテクチャ(低温・再補給 vs. 常温・長期滞在)」「軌道上インフラの商業化」である。


1. Impulse Space——“中量級”の月面輸送に挑む


Impulse Spaceは、月面ランダー計画を発表。狙いは既存の小型(数百kg)と有人超大型の間にある「中量級(0.5〜13t)」のギャップだ。想定ミッションは「LTV(ルナ車両)、ローバー、中継通信、発電・居住モジュール」など。

特徴は以下の通り。

  • 無補給の直行設計:打上げ後の軌道上補給を不要化。

  • 推進剤:一貫して亜酸化窒素(N₂O)+エタンの常温二液。「沸騰損失(boil-off)が実質なく、長期ロイター(待機)が可能」と説明される。

  • 輸送能力と時期:「1機あたり約3t×年2便=合計6t/年」を2028年開始と示唆。
    動画では、CEOのトム・ミューラー(SpaceX初代社員・エンジン開発の重鎮)に触れつつ、「中量級の持続的デリバリーが月面経済の立ち上げの鍵」という同社の問題意識が強調された。

2. Blue Origin——Mark1の実動相当試験、Mark2は再使用・補給前提へ


Blue Originは、Blue Moon Mark 1(無人・月面3t、非再補給)の「打上げ〜月周回投入〜着陸〜表面運用」までのエンドツーエンド高忠実度シミュレーションを進行中。

将来のMark2は、「再使用前提・月周回NRHOでの低温推進剤(LH₂/LOX)補給対応」。能力は再使用時20t/使い切り30t級で、有人対応をうたう。
同社は「Cislunar Transporter」で長期の低温推進剤保管・転送を狙う一方、Impulseは常温二液で運用簡素化を追求。“性能(Δv)重視の低温補給” vs. “運用性重視の常温無補給”という、好対照の設計思想が浮き彫りになった。

3. Momentus——NASA から2件・計760万ドル、製造と推進を同時加速


Momentusは、軌道上結晶化(COSMIC)のホスティング(約510万ドル)と、回転デトネーションロケットエンジン(RDRE)の軌道実証(約250万ドル)の二重契約をNASAから獲得。RDREもN₂O+エタンを採用し、常温系推進剤の潮流を後押しする。

自社の軌道移送機Vigorideは、水を基盤にした推進コンセプトで、キューブサット放出から軌道移送まで対応。水は月面・小惑星からの調達可能性もあり、「水→電解→H₂/ O₂」という資源連鎖を見据えるスタンスだ。

4. Vast Space——Haven-1 構体2機並ぶ、初号運用で“商業宇宙ステーション元年”へ


Vastは、Haven-1のフライト品と試験品の主構造を並列公開。2026年第2四半期打上げ見込みとされ、NASAの商業軌道ステーション支援もFAR契約ではなく Space Act Agreement(SAA)を複数選抜で進める方針が紹介された。Vast、Starlab、Axiom などが「アメリカの継続的な低軌道プレゼンス」を競う構図だ。

5. Solstar——“ルナWi-Fi”で船外活動のHD映像時代へ


Solstarは、月面Wi-Fiアクセスポイント開発でSBIR 15万ドルを獲得。Axiom製Artemis宇宙服にWi-Fiを組み込む計画も語られ、「『宇宙飛行士のHD映像を月でリアルタイム伝送』という新しい体験価値」が射程に入る。月面基地、ローバー、ゲートウェイなど月面〜月周回の通信基盤を段階的に敷設する狙いだ。

6. ExLabs——“重級・再構成型”宇宙機でスペースフォース契約


ExLabsは、重級・モジュール拡張型の宇宙機プラットフォームで米宇宙軍の契約を獲得。機体はセクションを継ぎ足すように拡張可能で、Antares(核分裂炉)との提携を含む複数のパートナー(NASA、AFRL、Gravitics、SpaceWERX など)を示した。持続運用(persistent)インフラを防衛領域から引っ張る動きが加速している。

7. Stoke Space——“完全再使用”Nova に5.1億ドル、総調達は9.9億ドル


Stoke Spaceは、5.1億ドルの大型資金調達を発表し、総額9.9億ドルに到達。Novaは軌道20t級、第2段が能動冷却ヒートシールド+エアロスパイクという先進構成で、両段着陸・高速ターンアラウンドを志向する。LC-14(フロリダ)からの初飛行は来年を目標。Falcon 9、Terran R、Neutron に続く第4の再使用大型機として市場競争に参入する。

7-1. 技術的ハイライト

  • エアロスパイク×24基サブスラスター:外周噴流の“仮想ノズル化”で広高度域効率を追求。

  • 液体水素を用いた能動冷却:タイル不要で再整備を短縮。「検査→再充填→即再打上げ」に近づける思想だ。

まとめ


キーメッセージは明確だ。「月面の恒常的プレゼンス」を支えるのは、3t級の持続輸送・常温系推進剤の実用化・通信/製造インフラの整備・完全再使用機の投入である。各社の賭けは設計思想から資金調達まで鮮やかに分かれている。次の1〜3年は、月面と地球低軌道の“土木工事”を誰がどの速度で進められるかの勝負になるだろう。

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