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音楽×AI×投資──The Chainsmokersが教える“創造×ベンチャー”の新戦略

世界的DJデュオ「The Chainsmokers(チェインスモーカーズ)」は、音楽シーンのみならず、スタートアップ投資の世界でも注目を集めている。彼らが運営するベンチャーファンド「Mantis VC」は、サイバーセキュリティ、ヘルステック、AIなどの分野に出資し、音楽業界の枠を超えた影響力を発揮している。
本稿では、彼らが語った「創造とAI」「音楽と投資」「人間とアルゴリズムの共存」について、ビジネスと文化の交差点から読み解く。


1. 音楽創造の裏側:偶然と直感が生む“名曲の方程式”


1-1. “Something Just Like This”──Coldplayとの奇跡的セッション

Coldplayとのコラボ曲「Something Just Like This」は、スタジオでの偶然から生まれた。Chris Martinが突然ピアノの前に座り、「上から降ってきたような旋律」を即興で歌い出した瞬間、曲の80%が完成したという。
Alex Pallは振り返る。「その場にいた全員が動けなかった。まるで“降臨”を見ているようだった」と。AIには再現できない、人間特有のひらめきと空気感が生み出した名曲だった。

1-2. “Closer”──酔いの勢いから生まれた原点

一方、「Closer」はツアーバスの後部座席、深夜2時の即興セッションから生まれた。酔いの勢いでDrewが初めて自分の声を吹き込み、後にそのデモがそのまま世界的ヒットに。
Pallは語る。「お酒は創造の“潤滑油”でもあり、依存の落とし穴でもある。結局大切なのは“偶然の瞬間を逃さない心構え”だ」と。

2. AIがもたらす“創造の補助線”


The Chainsmokersは、AIを「脅威」ではなく「創造を加速させるツール」と捉えている。
彼らはスタジオでAIドラム生成ツールを使い、楽曲制作のテンポを落とさずに“ゾーン(没頭状態)”を維持しているという。

Pallは語る。

「AIは音を作るんじゃない。僕らの集中を壊さずに“流れを維持してくれる存在”なんだ。」

さらに、AIが生成した仮歌デモの中に、Drew本人そっくりの声が混ざっていたこともあるという。「もはやリスナーは人間とAIの違いを聞き分けられない時代に入っている」と彼らは冷静に分析する。

ただし、音楽の本質は「文脈(コンテクスト)」にあると彼らは強調する。

「AIの曲も悪くない。でも、心を動かすのは“誰が、なぜその曲を作ったか”という物語なんだ。」

3. ベンチャー投資への転身──Mantis VCの哲学


The Chainsmokersが運営する「Mantis VC」は、音楽業界の枠を越えた異色のファンドだ。投資先は飲料ブランドでもNFTでもなく、AI・サイバーセキュリティ・ディープテックなどの“本格テクノロジー領域”。
Alexは語る。

「多くのアーティストはソーダ会社に投資する。でも僕らはソフトウェアに投資する
難しいからこそ挑む価値がある。」

彼らのスタイルは“6th man philosophy”──つまり「スタートではなく、チャンピオンチームを支える6人目の選手」であることを誇りにしている。
「リード投資家でなくてもいい。偉大な創業者と並走し、学びながら貢献することこそ報酬だ」とPallは述べる。

4. アートとビジネスの共通項──「文脈とモメンタム」


音楽と投資、一見異なる2つの世界だが、彼らはその根底に“モメンタム(勢い)”という共通原理を見いだしている。

「曲作りも投資も同じ。100曲のうち1曲がヒットする。10社のうち9社は失敗する。でもその過程で“感覚”が磨かれる。」

Jimmy Buffettの言葉も引用しつつ、Pallはこう結ぶ。

「ビジネスも音楽も、自分の世界観をどう拡張するかが勝負なんだ。
Margaritavilleを作ったバフェットは、自分の人生そのものをビジネスにした。僕らも同じことをやっている。」

5. 結論:AI時代に生きる“創造者=企業家”というモデル


The Chainsmokersは、音楽を“作品”ではなく“企業活動”と捉え、AIを“代替手段”ではなく“創造加速装置”として扱う。
アーティストが投資家であり、投資家が表現者でもある――この境界線の溶解こそ、AI時代の新しい「創造経済」の形だ。

彼らの哲学はシンプルだ。

「僕らの仕事は、音を作ることじゃない。意味を作ることなんだ。」

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