AIで“ソフトの値付け”が崩れる日:売られる銘柄/残る銘柄を見分ける3つの視点
米国株の「ソフトウェア売り」が止まりません。きっかけは決算やガイダンスの一つひとつ——しかし、根っこにあるのは、生成AIが、“ソフトウェアの値付け(価格)と参入障壁(堀)”そのものを揺らすという恐怖です。Bloombergの番組内では、この局面を「A.I.革命の“逆側”にいる銘柄が売られている」と整理しつつ、勝者と敗者の分岐点、そして“電力需要”が次の投資テーマを押し上げる構図までが一続きで語られました。
1. ソフトウェア株が売られる「AIショック」の正体
番組で象徴的だったのは、「A.I.がソフトウェアを書けるなら、ソフトウェアを作るコストが急落する」という見立てです。これは単なる効率化ではなく、長期的な利益(終価=terminal value)をどう見積もるかが変わるという話。
つまり、投資家は、これまでのSaaS評価の前提だった「機能の希少性」「開発コスト」「人員増=売上拡大」といった方程式が崩れる可能性に身構えています。結果として「売ってから考える(sell first, ask later)」が市場の本能として出てしまう。
2. 市場に同時に存在する「2つの真実」
番組の議論が面白いのは、相反する“2つの真実”が同時進行している点を明確にしたことです。
真実A:AIバブル懸念(過剰投資で期待倒れになるかもしれない)
真実B:AIは既に強力で、業界を破壊し得る(実際に置き換えが進むかもしれない)
この矛盾があるから、投資家は、「どこが次に崩れるのか」を恐れ、金融・保険・税務ソフトなど広範な銘柄へ疑心暗鬼が伝播する。番組では、Charles SchwabやRaymond Jamesなどの名前も挙がりました。
3. “全部売り”の中で、どこを選別するか
ポイントは「ソフトウェアは全部同じではない」という当たり前を、改めて投資判断に落とし込むこと。番組の整理は実務的でした。
小〜中型の“点(point solution)”:隣接大手に機能ごと飲み込まれやすい
大手の“面(platform)”:事業の一部は傷むが、全否定ではない(ただしマージン構造は変わる)
セキュリティ、エンタープライズ、SMB向けなど、同じソフトでも“地形”が違う
ここで重要なのは、「底値拾い」は勇気ではなくアーキテクチャ理解(何がどこで差別化されるか)だ、というメッセージです。
4. ソフトが揺れる一方で、ハードと“広告・購買”が伸びる理由
番組では、「ソフトは不安、でもインフラ支出は続く」という対比が繰り返されました。AI需要が増えるほど、計算資源・電力・データセンター投資は必要になる——この構図です。
象徴的なのが、GoogleがAI検索/チャット体験の中に“買える導線(buy)”を組み込み、広告の形も作り替えようとしている点。番組内のVidhya Srinivasanは、AIモードでは「ショッピングが“速い”か“賢い”かの二者択一が消える」と語り、会話の流れで購入・割引提示(direct offers)まで到達させる発想を示しました。
5. AI時代のボトルネックは「電力」—核融合に資金が向かう
AIの次の制約が“半導体”だけでなく“電力”に移っている、というのも番組の大きな軸でした。ここで登場するのが、Jeff Lawsonが共同創業した核融合スタートアップInertia。シリーズAで4.5億ドルを調達し、レーザー方式で「研究室から送電網へ」を狙う構想が語られています。
また、番組では、Doug Burgumの発言として「AIの競争には“より多くの電力”が必要」という文脈も紹介され、エネルギー増強が国家テーマ化している空気感が示されました。
6. “宇宙×AI”まで接続される資本市場の想像力
後半では、SpaceXとxAIの統合・再編、将来的なIPO観測といった「巨大資本の物語」も俎上に載りました。実際に報道では、統合後の企業価値や上場観測、体制再編が相次いでいます。
ただし、ここで重要なのはゴシップ性ではなく——AIの需要(計算・電力・資金)をどう調達して回し続けるかが、企業戦略そのものになっている現実です。

