見出し画像

“成長株か割安株か”はもう古い:2026年の主戦場は「AIに壊されない企業」だった

2026年の株式市場をひと言で表すなら、「AIで壊れるもの/壊れにくいもの」の再仕分けが、想像以上のスピードで進んでいる年です。番組内で提示されたキーワードが、HALO(Heavy Assets, Low Obsolescence)。直訳すれば「重い資産を持ち、陳腐化しにくい」銘柄群です。司会のJoshは、この状況を、従来の「ローテーション」「市場の裾野拡大」では説明しきれない、と強い言葉で語ります。「“Can an LLM replicate what this company makes or sells, or can it not?”(LLMがそれを複製できるか?できないか?)」——この“問い”こそが、今年の投資家心理の中核だというわけです。


1. 今年の支配テーマはHALO:「AIに壊されない」への逃避


HALOの定義はシンプルです。「生成AI(LLM)が、その企業の提供価値を置き換えられるか?」。置き換えられないならHALO、置き換えられる(あるいは置き換えられそう)なら逆風。

重要なのは、HALOが、「バリュー」でも「グロース」でもなく、特定セクターにも閉じない点です。過去15年、投資家が愛したのは資産の軽い高マージン企業(ソフトウェア、情報サービス、コンサル等)でした。しかし今、同じ“軽さ”が「複製可能性」「参入の容易さ」として疑われ始めている。

番組では、Delta Air LinesやPepsiCoが象徴例として登場します。前者は飛行機という重資産が本質で、後者は製品の物理性とブランド流通が強い。だから「Claudeは、ダイエットペプシもフリトスも作れない」という語りが、妙に説得力を持って響くのです。

2. 「裾野拡大」は結果であって原因ではない


ウォール街では、「相場が広がった」「資金が循環した」と語られがちです。実際、戦略家の引用としてMorgan Stanleyの見方が紹介されますが、番組側の主張はこうです。

「それは“説明”として古い。実際には投資家が自分の保有銘柄を見て、“Anthropic に人生を壊されるか?” と点検しているだけだ」

この視点に立つと、資金が、Walmartや大型の生活必需・産業系に向かう現象は、「強気転換」よりも「リスク回避の移住」に近い。つまり、上昇の背景が“成長期待”ではなく、“破壊されにくさへのプレミアム”である可能性が高い、という警告でもあります。

3. ソフトウェアは「新聞株」になるのか?——極論と現実のあいだ


番組の山場は、Goldman Sachsストラテジストの見立てです。要旨は「破壊リスクにさらされた産業は、利益見通しが安定しない限り株価も安定しない」。例として、新聞株が、2000年代に平均95%下落した史実を持ち出します。

ただし、番組内でも反論が同時に提示されます。JPMorgan ChaseやMorgan Stanleyの一部は「いまの下落はセンチメント主導で、短期に“最悪”が実現する確率は低い」と擁護する。

ここで重要なのは結論の是非より、投資家心理の構造です。たとえば、Adobeが好決算を続けても、市場は「次の四半期」ではなく「次の曲がり角に現れる未知の破壊者」を見てしまう。だから、V字回復より「戻って、また売られる」展開が起きやすい——という現実的な相場観が語られます。

4. “ガルマン・アムネジア効果”が相場を加速させる


具体例として、Charles Schwabが、“あるAI税務ツール”のニュースで急落した件が出てきます。ツールを出したのは、Altruist。報道のリード(Bloomberg記事)が紹介され、番組側は大笑いしつつも、こう総括します。

「自分が詳しい分野のニュースを読むと“めちゃくちゃだ”と分かるのに、次のページではまた素直に信じてしまう」
この現象が ガルマン・アムネジア効果

つまり、市場参加者の多くは“実態”ではなく“ストーリー”で先回りし、しかも回転が速い。売買代金が膨らむ環境では、「理解してから売る」では間に合わず、「分からないから売る」が合理化されやすいのです。

5. 個別論点:Robinhood・Spotify・旅行株が示す「AI以外の現実」


番組は、HALOだけで終わりません。個別企業の数字が、別の“現実”を突きつけます。

  • Robinhood:オプション収益の強さ、金利収益(マージン利息)の大きさが強調される一方、株価は、Bitcoinのムードに強く連動している、という身も蓋もない指摘が出ます。数字は強いのに、相場は“連想”で動く。

  • Spotify:事業は好調でも、YouTubeやNetflixとの「奪い合い」で“注意(視聴時間)の総量”が限界に来ている、という構造問題が語られます。「人間は同時に3つは見られない」という言い回しは、いまのコンテンツ産業の本質を突いています。

  • 旅行株:Marriott InternationalやHiltonは、“消費が強い”ことの証拠として好調。一方、Expediaは、「チャットボットに中抜きされる」懸念で逆風——同じ旅行でも“物理に寄った強さ”と“情報仲介の脆さ”が分かれる、という整理です。

6. まとめ:HALO相場の“強気”と“落とし穴”


HALOは、今年の市場を説明する強いレンズです。投資家の判断基準が「成長率」や「割安度」だけでなく、“AIによる置換リスク”へと移った。だからエネルギー・素材・生活必需・一部工業といった“重い側”に資金が寄りやすい。

ただし、落とし穴もあります。HALO買いの一部は「業績改善」ではなく「安全の再評価(リレーティング)」で起きている可能性がある。つまり、割高になった瞬間に脆くなる。番組内の表現を借りれば、「みんなが安心を買いに行き、安心が高くなりすぎる」局面です。

オススメ記事


Next Big Wave(成長株・アイデアの種・トレンド深掘り)



いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー