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【3/18】注目の海外スタートアップの資金調達5選

近年、生成AI(Generative AI)を活用したツールやサービスが急速に普及し、ソフトウェア開発からクラウドインフラ、さらには食品流通に至るまで、さまざまな業界で大きなインパクトを与えています。たとえば、GitHubの調査によれば、多くの開発者がAIコーディングアシスタントを活用し始めており、その革新がコードレビューやコード最適化、仮想デスクトップ運用、さらにはフードテック領域にまで及んでいる状況です。本記事では、最新の資金調達ニュースを軸に、AI活用の動向と各サービスの特徴、そして今後の展望をわかりやすく解説します。


1. Graphite:AI活用コードレビューと「Diamond」の展望


AIコーディングアシスタントやコードレビューの需要が急増するなか、Graphiteは2020年の創業以来、モバイル開発向けツールからピボットし、今ではAI搭載のコードレビュー機能を強みに急成長を遂げています。同社は2025年に5,200万ドルのシリーズB調達を実施し、AnthropicやAccelをはじめとする著名投資家からの支援を取り付けました。

共同創業者の一人であるMerrill Lutsky氏は、メディアのインタビューで次のように語っています。

Graphiteは、コードレビューで私たち自身が抱えていた課題を解決するために作った社内向けツールからスタートしました。…そして間もなく、Graphiteに対する需要は無視できないほど大きくなったのです。

Graphiteが提供するプラットフォームは、AnthropicやOpenAIの大規模言語モデル(LLM)を活用してコードのエラーや盲点を指摘し、改善を提案します。具体的には以下のような機能を提供しているとされています。

  • AIがコードレビューを支援:コードの問題点を自動検出し、改善策を提案

  • コードの要約・バグ修正候補の生成:コメントやコードの履歴から自動生成

  • セキュリティ面の強化:コードベース独自のパターンやフィルターを設定可能

さらに同社は新製品としてAIによるバグ検出ツール「Diamond」を発表。これはコーディング時の見落としを自動で検知し、効率的な改善を促すことを狙っています。AIコーディング支援ツールとしては、GitHub CopilotやAnysphere、Codeiumなど多くの競合が存在するなか、「Codebase固有のルール設定やフィルター機能」を強みとして差別化を図っています。

2. Arcade:Perplexity共同創業者らの新ファンドが支援するAIエージェント基盤


次に注目すべきは、2024年に設立されたArcadeというスタートアップです。同社は1,200万ドルの資金調達を行い、その出資元の一つが検索AIで知られるPerplexityの共同創業者が立ち上げた新ファンド、Laude Venturesです。Arcadeは当初「自動化されたサイト信頼性エージェント」を構築しようとしましたが、実際にLLMエージェントを動かしてみると、多くの課題に直面したといいます。

共同創業者であるAlex Salazar氏によれば、

「Most agents suck. They don’t do much.」
という問題意識から、Arcadeは「自社エージェントを作るよりも、エージェントが外部サービスやデータにアクセスできる“ツールコーリング基盤”を提供したほうが価値が高い」と考え、新方針を打ち出しました。

Arcadeの特徴は、OAuthを活用し、多数のSaaSやウェブアプリへの安全な認証を仲介できる点にあります。LLM自体には認証トークンを直接渡さず、安全性を確保した上で必要なデータや権限だけをエージェントに与える仕組みを作っています。「AIエージェントを実運用したいが、セキュリティ面が不安」という企業にとっては有力な選択肢となるでしょう。

3. TurinTech:コードの“無駄”を進化的アプローチで改善


TurinTechはイギリスのスタートアップで、2,000万ドルを調達し、「Artemis」というコード最適化プラットフォームを開発しています。同社CEOのLeslie Kanthan氏によれば、LLMが生成するコードはスピーディである反面、“技術的負債”や“セキュリティ上のリスク”を増大させる可能性があると指摘しています。

特にCursor Composerなどの「バイブ・コーディング(vibe coding)」と呼ばれる、モデル任せのコード生成が普及する中、コードレビューの精度や実装の効率は落とし穴になりやすいといいます。TurinTechのArtemisは従来のLLMに加え、“進化的アプローチ”を組み合わせ、

「LLMが吐き出すコードの無駄な部分を自動検出し、高速化し、資源を削減する」機能を備えています。

“進化的アプローチ”とは、Kanthan氏の研究に基づく「データ構造の選択を遺伝的アルゴリズムのように繰り返し最適化する」技術で、まるで“ダーウィン的進化”になぞらえた手法です。実際に銀行などの大企業がこのプログラムをテスト導入しており、AI生成コードを監査しながらパフォーマンスと安全性を高める取り組みを加速させています。

4. クラウドと仮想デスクトップ管理の新潮流:Nerdio


クラウドインフラ環境の効率化やコスト削減を実現するサービスとしては、Nerdioが挙げられます。最近、5億ドルのシリーズCを調達し、評価額は、ユニコーン(10億ドル超)に到達しました。同社はMicrosoft Azureの仮想デスクトップ(Azure Virtual DesktopやWindows 365など)を一括管理するプラットフォーム「Nerdio Manager for Enterprise」を提供しています。

Nerdioはもともと親会社AdarのITサービス事業からスピンアウトして設立されました。PayPalやSony、Comcastなどの大手企業も活用しており、以下のようなメリットを訴求しています。

  • 自動化されたユーザープロビジョニング:仮想デスクトップやアプリの展開をスムーズに

  • リソースのオートスケーリング:利用状況に応じて自動調整し、コスト最適化を実現

  • クラウド管理の専門知識不要:直感的なUIとワークフローで運用負荷を軽減

リモートワークやハイブリッドワークの定着によって仮想デスクトップの重要性は増しています。多様な端末から安全に企業リソースへアクセスできる一方で、クラウド管理における専門知識やツールが不足しがちです。そこでNerdioのような包括的管理プラットフォームの需要が高まっているのです。

5. フードテック×AI:GrubMarketが3.5Bドル超評価へ


AIやクラウドの活用は、フードテックの分野にも大きく広がっています。アメリカのGrubMarketは、5,000万ドルの新規調達を受け、評価額35億ドル超を達成しました。同社はローカル農家や食品サプライヤーと小売業者・消費者をオンラインで結ぶ“オンラインファーマーズマーケット”として事業を拡大しつつ、AI技術やデジタルツールを活用して食品サプライチェーンの効率化を図っています。

共同創業者兼CEOのMike Xu氏によると、同社の年間収益は2024年に20億ドル、2025年には24億ドルを見込んでおり、すでにEBITDAベースで黒字を達成しているとのことです。とくに近年では、以下のような新技術を積極的に開発しているといいます。

  • AIアシスタントによる需要予測と在庫管理:顧客からの発注データや仕入れ情報を一元管理し、“音声メモやポストイットのメモ”などをテキスト化・分析して最適な発注プランを提案

  • フードサプライチェーンの可視化:輸送コストの削減や、余剰在庫の圧縮に寄与

さらに、同業他社を買収し、事業拡大を続けることで流通網のカバレッジを拡大しています。代表例としては、生鮮食品のデリバリーで知られたGood Eggsの買収を実施し、その事業を再建・黒字化に導きました。今後も大規模な買収を検討しており、世界70か国以上に食品を供給する体制を構築しています。

AIが既存の産業構造を大きく変えようとしていることは、冒頭に挙げた各企業の資金調達や成長事例からも明らかです。コードレビューやコーディングアシスタントの分野ではGraphiteやArcade、TurinTechが、それぞれ「AI駆動の品質向上」や「セキュリティ保護」に焦点を当て、次世代の開発エコシステムを築こうとしています。さらに、クラウド管理と仮想デスクトップの領域ではNerdioが急成長し、リモートワークの新常態を支えています。フードテックではGrubMarketがサプライチェーンにAIを組み込み、極めて大規模かつグローバルな展開を進めています。

これらの企業の共通点は、「AIを既存ビジネスの補助的ツールとしてではなく、事業の中核として活用している」点です。コードレビューやクラウド管理、食品流通といった一見異なる領域であっても、データの集約・分析・最適化といったプロセスは共通しています。今後もAI技術の進歩とともに、あらゆる分野でイノベーションが続くことは間違いありません。企業がどのようにAIを活用し、ビジネスモデルを再定義していくのか、その動向から目が離せない時代になっています。


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