Uber創業者カラニック、Pony.aiの米国部門買収を画策 —— 自動運転復帰への布石か?
Uberの共同創業者であるトラビス・カラニック氏が、再び自動運転業界に戻ろうとしている。米『ニューヨーク・タイムズ』の報道によれば、カラニック氏は中国系自動運転企業Pony.aiの米国部門の買収を検討しており、そのための資金調達を進めているという。驚くべきことに、かつてカラニック氏が創業し、彼を追い出したUberまでもが、この取引に協力する可能性があるというのだ。
本記事では、この買収劇の背景、自動運転業界における各社の動き、そしてカラニック氏の再起の可能性について解説する。
1. Pony.aiとは何者か?:米中連携の自動運転企業
Pony.aiは、中国と米国を拠点とする自動運転スタートアップで、近年注目を集めている企業だ。2023年に上場し、報道時点での時価総額は約45億ドル。自動運転技術をライドシェア、物流分野に応用することを目的としており、アメリカ市場では主にカリフォルニア州で試験運行を行ってきた。
1-1. 米国事業の切り出し準備
報道によると、Pony.aiは、2022年から米国部門の売却あるいはスピンオフ(独立化)に向けて動いていた。ソースコードを“フォーク”(分岐)して米中の技術を分離するなど、地政学的リスクに配慮した対応が進められていたという。
2. カラニック氏の狙い:自動運転復帰への再挑戦
カラニック氏は、2017年にUberから退任して以来、主にゴーストキッチン事業「CloudKitchens」に専念してきた。しかし、近年では、ロボティクス分野への関心を高めており、自動運転というかつてのフロンティアに再び目を向けた格好だ。
2-1. 「もし自動運転部門を売っていなければ…」
2025年3月のイベントでカラニック氏は、「私が追い出された当時、UberはWaymoの次に自動運転で進んでいた」と語った上で、「あのまま続けていれば、今ごろ自社の自動運転ライドシェア製品があったかもしれない」と悔しさをにじませた。
3. Uberの現在地:自社開発から提携戦略へ
カラニック退任後、Uberの舵取りを担ったダラ・コスロシャヒCEOは、自動運転技術の自社開発からの撤退を決断。2018年、Uberの自動運転車がアリゾナ州で歩行者を死亡させる事故を起こし、安全性への懸念が高まった。
その後、自動運転部門は、Auroraへと売却され、Uberは、Waymoなど外部企業との提携を通じてプラットフォーム化を推進する路線に転換している。
4. Uberはカラニックに協力するのか?
今回の報道で注目されるのは、Uberがカラニック氏による買収に「協力する可能性がある」とされている点だ。両者は過去に訴訟合戦を繰り広げた因縁の関係であり、和解までには時間を要した。しかし、ビジネス上の利害が一致すれば、かつての対立も一時的に棚上げされるというリアリズムが透けて見える。
5. 今後の展望:カラニック×Pony.aiは業界に何をもたらすか?
仮に買収が実現した場合、カラニック氏はCloudKitchensの経営を続けつつ、再びモビリティ領域で存在感を取り戻すことになる。米国におけるPony.aiの独立は、中国系企業への規制強化の文脈とも整合的であり、政府当局からの圧力を回避しながら競争力を維持する狙いがある。
また、Pony.aiの買収により、カラニック氏は「ライドシェアの次」を狙った戦略において、再び業界を揺るがす存在となる可能性がある。
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