ChatGPTの牙城に食い込むClaude ― 個人課金売上が年初から75%増という実態
これまでClaudeは「エンタープライズや開発者向けのニッチなツール」というイメージが強かった。しかし、TechCrunchが報じた最新データによれば、一般消費者の間でもClaudeへの支払いが着実に増えている。ChatGPTが圧倒的な地位を保つ消費者向けAI市場で、Anthropicがどのように存在感を拡大しているのか、複数のデータソースから読み解く。
1. クレジットカード取引データが示す成長トレンド
クレジットカード取引分析企業Indagariは、米国の消費者約2,800万人分の匿名化された取引データを分析している。絶対的な売上額や顧客数こそ算出できないものの、トレンドを捉えるには十分な規模のサンプルだ。
このデータによれば、サブスクリプションやAPIトークン購入などを含むClaudeの個人課金売上・顧客数は、2025年から2026年5月10日まで週次で着実に増加しており、2026年1月以降で約75%増という結果が出ている。
1-1. 政治的対立の後も成長は継続
注目すべきは、この成長が3月の急成長(トランプ政権による大量監視・自律型兵器への利用要請をAnthropicが拒否した後に起きた消費者からの支持拡大)の後も止まっていない点だ。一度きりの話題性ではなく、継続的な需要拡大であることをこのデータは示している。
2. 学習プラットフォームでも「Claude」検索が急増
オンライン教育プラットフォームDataCamp(利用者約2,000万人)のデータも、Claudeの消費者人気を裏付けている。
DataCampがTechCrunchに語った内容によれば、「Claude」は同社サイトで最も検索される用語となっており、「AI」という用語そのものよりも検索数が多いという。
2-1. 自発的な学習者ではChatGPTの3倍の需要
企業研修においては、ChatGPT講座の人気が依然高いものの、自発的に学ぶ個人ユーザーの間では、Claude講座への需要がChatGPT講座の3倍に達しているとDataCampは説明している。さらに、この需要は直近30日間で18倍に増加したという。
これは、ビジネス向けの「会社から指示されて学ぶAI」と、個人が「自分で選んで学びたいAI」の間に明確な差が出ていることを示唆している。
3. それでもChatGPTの優位は揺らいでいない
ここまでの データは、Claudeにとって好材料だが、過大評価は避けるべきだ。市場調査会社Sensor Towerのデータによれば、Claudeは今年すべてのプラットフォームで成長しているものの、ChatGPTとの差は依然大きい。
Indagariのデータも同様に、ChatGPTの方が依然として有料ユーザー数で大きく上回っていることを示している。ChatGPTの成長率自体は鈍化しているように見えるが、これは既に巨大なユーザーベースを抱えていることの裏返しともいえる。
3-1. 「金額」と「関心」では差が縮小
一方で、消費者から得られる収益(ドル)という観点、そして一般的な消費者の認知度・関心という観点では、Claudeが今年に入ってChatGPTに着実に近づいていることも、データは同時に示している。
4. IPOを控える両社、見えてきた事業基盤の実態
AnthropicとOpenAIは、いずれも株式公開を控える段階にある。こうした中で、両社の事業を支える「足腰」がどの程度強いのかは、投資家にとって重要な関心事だ。
特にAnthropicについては、米国政府との対立が今後の事業にどう影響するか不透明な部分が残る。今月、米政府は同社の最高性能モデルであるMythos 5とFable 5について、米国人以外による利用を禁止する措置を取った。これを受けてAnthropicは、これらのモデルを市場から一時的に取り下げる対応を取っている。
それでも、現時点で確認できる限りのデータでは、Anthropicは、消費者向け・エンタープライズ向けの双方でユーザーを伸ばし続けている。なお、この記事についてAnthropicはコメントを控えている。
オススメ記事
Next Big Wave——成長株・アイデアの種・トレンド深掘り
いいなと思ったら応援しよう!
この記事は noteマネー にピックアップされました

