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統計検定2級解説講座 第1回:代表値と散らばりの指標

◆ このテーマが2級で問われる理由

1変数データの整理は、統計検定2級の出発点であり、後に出てくる仮説検定や回帰分析でも土台になる考え方です。「平均だけ見ていては誤る」という視点をここで身につけておくと、後半の単元の理解がぐっとスムーズになります!

◆ 代表値:データの中心を表す3つの指標

平均値(相加平均): すべてのデータを足して、個数で割った値です。式で書くと x̄ = Σx/n。データ全体の情報を余さず使う指標ですが、極端に大きい(小さい)値が1つあるだけで、大きく引っ張られてしまう弱点があります。

中央値 : データを大きさの順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値です(データ数が偶数のときは、中央の2つの平均を取ります)。極端な値の影響をほとんど受けないため、年収データのように一部に極端に大きい値が混じりやすいデータでよく使われます。

最頻値 : データの中で最も多く出現する値です。数値データよりも、アンケートの選択肢のようなカテゴリカルデータで特に力を発揮します。

【ここがポイント】 分布の形が左右対称でなく偏っている(歪んでいる)とき、平均値・中央値・最頻値はズレて現れます。目安として、右に裾を引く分布では「最頻値<中央値<平均値」、左に裾を引く分布では逆の順になります。これは厳密な法則ではなく多くの分布に当てはまる傾向ですが、「平均値だけで分布の形を判断してはいけない」ことを覚えておく手がかりになります。

◆ 散らばりの指標:データのばらつきを表す

範囲(レンジ): 最大値と最小値の差です。式で書くと範囲=最大値−最小値。計算が最も簡単な散らばりの指標ですが、使うのはたった2つのデータだけなので、外れ値が1つあるだけで大きく変わってしまう弱点があります。

分散: 各データが平均からどれだけ離れているか(偏差)を2乗して平均したものです。式で書くと分散 = Σ(x−x̄)²/n。2乗するのは、プラスの偏差とマイナスの偏差がそのまま足すと打ち消し合ってしまうためです。分子のΣ(x−x̄)²は「偏差平方和」と呼ばれ、公式問題集でもこの名称のまま出てくることがあります。

なお、この「nで割る」分散は、手元にあるデータそのものの散らばりを表す記述統計としての分散です。標本から母集団の分散を推定するときは別の式(n−1で割る不偏分散)を使いますが、これは第11回「推定」で改めて扱います。

標準偏差 :分散の単位は元のデータの2乗になってしまう(点数のデータなら「点²」)ため扱いにくく、平方根を取って元の単位に戻したものが標準偏差です。標準偏差 = √分散。「データが平均からどれくらい離れているのが普通か」を、元のデータと同じ感覚で読み取れる指標です。ただし分散・標準偏差はすべてのデータを使って計算するぶん、範囲と同じく外れ値の影響を受けやすいという性質も持っています。

四分位数と四分位範囲 データを小さい順に並べて4等分する位置の値を四分位数と呼びます。小さい方から25%の位置がQ1(第1四分位数)、50%の位置がQ2(中央値と同じ)、75%の位置がQ3(第3四分位数)です。Q3−Q1を四分位範囲(IQR)と呼び、中央値と同じく外れ値の影響を受けにくい散らばりの指標として使われます。四分位数の細かい求め方は教科書によって多少の違いがあるので、実際の問題では指示に沿って計算するようにしてください。

◆ 具体例で確認

5人が受けたテストの点数が、60点、70点、70点、80点、100点だったとします。

代表値
・平均値:(60+70+70+80+100)÷5=76点
・中央値:小さい順に並べると60,70,70,80,100。真ん中は70点
・最頻値:2回登場する70点

散らばりの指標
・範囲:100−60=40点
・各データの偏差(平均との差)は、−16、−6、−6、4、24
・偏差を2乗すると、256、36、36、16、576。合計(偏差平方和)は920
・分散:920÷5=184
・標準偏差:√184≈13.6点

四分位数
中央値(70点)を除いた下半分[60,70]、上半分[80,100]で考えると、
・Q1(下半分の中央値):(60+70)÷2=65点
・Q3(上半分の中央値):(80+100)÷2=90点
・四分位範囲:90−65=25点

平均値(76点)が中央値(70点)よりやや高くなっているのは、100点という高めの値に引っ張られているためです。このように、平均値と中央値を両方見ることで、データの分布に極端な値が混じっていないかを確認できます。

◆ 今回の要点

・代表値には平均値・中央値・最頻値の3種類があり、目的やデータの性質によって使い分ける
・平均値は外れ値の影響を受けやすく、中央値は受けにくい
・散らばりの指標には範囲・分散・標準偏差・四分位範囲があり、範囲と分散・標準偏差は外れ値の影響を受けやすく、四分位範囲は受けにくい

◆ 次回予告

第2回では、標準化や変動係数といった「散らばりを比較するための応用的な指標」と、2級特有の時系列データの処理を扱います。

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