FC展開は「結婚」と同じだ。「金目当て」の相手と一緒になると、泥沼の離婚裁判が待っている
前回、安易な拡大はブランドを薄めると言った。 それでもなお、「世の中にこの味を広めたい」という熱い想いがあるなら、選択肢の一つとして「フランチャイズ(FC)」がある。
だが、ここには最大の落とし穴がある。 多くのコンサルタントはこう唆す。 「加盟金とロイヤリティで、不労所得を作りましょう!」
馬鹿野郎。 FCは「不労所得」ではない。「命がけの共同事業」だ。 相手選びを間違えれば、あなたのブランドは内側から食い荒らされ、死滅する。
今回は、絶対に失敗しないための「パートナー選び」の鉄則を叩き込む。
1. 「投資家」にお店を渡すな
FC加盟希望者には、大きく分けて2種類の人間がいる。
「このビジネス、儲かりそうですね」という投資家タイプ
「この店の味が大好きなんです!」という信者タイプ
経営者が飛びつきがちなのは、資金力がある「1」だ。 だが、絶対に「1」と契約してはいけない。
なぜか? 彼らの目的は「金」だからだ。 売上が少しでも下がれば、勝手に安い食材に変えようとする。 手間のかかる仕込みをサボろうとする。 スタッフの教育費をケチる。
結果、質の悪い商品が出回り、SNSで「あの店、最近マズくなったね」と書かれる。 その悪評は、FC店だけでなく、必死に守ってきた本店の看板まで汚すことになる。 金目当てのパートナーは、金の切れ目が縁の切れ目だ。
2. 条件は「一番のファンであること」
では、誰と組むべきか。 答えはシンプルだ。「あなたの店の熱狂的なファン」だ。
地獄の担担麺のFCオーナーたちは、元々客として通い詰め、「この味に惚れた!自分もこれを広めたい!」と懇願してきた連中ばかりだ。
彼らは、味を守ることに命をかける。 「もっと美味しくするにはどうすればいいか」を常に考える。 なぜなら、ブランドへの「愛」と「リスペクト」があるからだ。
技術や経営ノウハウは後から教えられる。 だが、「好き」という情熱だけは教えられない。 面接で聞くべきは、銀行残高ではない。 「あなたは、うちのラーメンを週に何回食べたいですか?」 この質問に、目を輝かせて答えられる奴だけを選べ。
3. マニュアルよりも「掟(おきて)」を共有せよ
FC展開にはマニュアルが必要だと言われる。 確かに、オペレーションの統一は必要だ。 だが、もっと重要なのは「ブランドの憲法(掟)」を守らせることだ。
「妥協した商品は、絶対に出すな」
「お客様を驚かせないなら、店を開けるな」
「地獄の看板を汚したら、即破門」
契約書には、売上の数字だけでなく、「ブランド毀損(きそん)に対するペナルティ」を明記しろ。 そして、ルールを破った時は、たとえ売上が良くても契約解除する覚悟を持て。
なあなあにするな。 ブランドを守るためには、時には身内(加盟店)を切り捨てる冷徹さが必要だ。 それが、本家としての責任だ。
まとめ:のれん分けか、乗っ取りか
FC展開は、結婚生活と同じだ。 顔(金)だけで選ぶと、後で性格の不一致で苦しむことになる。
相手は、一生を添い遂げるパートナーにふさわしいか? あなたの作った大切な「娘(ブランド)」を、安心して嫁に出せる相手か?
もし、「誰でもいいから加盟店を増やしたい」と思っているなら、今すぐやめろ。 それは拡大ではない。ブランドの切り売りだ。
数は追うな。 たった一人でもいい。 あなたの魂を受け継ぐ、本物の「伝承者」を探せ。
中山 健治(なかやま けんじ) 株式会社ケーシー・ジャパン代表取締役。「地獄の担担麺 天竜本店」創業者。 #飲食店経営 #ブランディング #フランチャイズ #FC展開 #のれん分け #パートナーシップ #経営マインド #地獄のブランディング論
(※この連載は、全20回の「地獄のブランディング論」マガジン記事です)
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!