🌹**【願い】**第三章(9) 命の音
これは、暗闇のどん底から、
色々な人に助けてもらいながら、
自分自身で這い上がってきた
”エナ”
という一人の女性の物語です。
自分を否定し、暴力を経て、
誰にも相談できない子育てのしんどさ、病気…
それでも人は
__心から幸せだと感じられるようになる__
エナの ”生きて” きた道
『願い』全五章
初めての方はこちらからご覧ください↓
前回のお話はこちら↓
続き↓
******
結婚して二年がすぎ、私のお腹に赤ちゃんが宿りました。
外は寒く、
「あったかい格好して」
心配そうにしているはる君。
もこもこの分厚いコートを着て産婦人科に向かいました。
診察室でベッドに寝転び、お腹にエコーを当てます。
「これが頭かな」
「次は心臓の音を聞いてみようか」
……
”ドクンドクン”
“ドクンドクン”
……
「赤ちゃん元気やね」
そう言ってくれたおじいちゃん先生。
私は初めてその命の音を聞いた時、奥の方からぶわっと込み上げてきて、診察室で大泣きしてしまいました。
横にいたはる君や、看護師さんを困らせてしまうぐらい。
私が親になるんや…
___
つわりがひどく外出ができなくなり、それを良い機会に仕事も辞めました。体はしんどくても少しすっきりとした気分で過ごしていました。
そんな中、妊娠中期に一度、夜中にお腹に激痛が走り救急搬送、そのまま入院した事がありました。
いつもはあまり動かない赤ちゃんが、この時はすごい勢いでお腹を蹴っていて。
赤ちゃんも痛かったのかなって心配してたけど、今思うときっと私を痛めつけてる何かをやっつけようと、頑張って守ってくれていたような気がします。
痛みはすぐにひき、原因は結局わからなかったけど退院し、赤ちゃんはその後も元気に育ってくれました。
妊娠後期の体調はあまり良くなくて、寝ている事がほとんどでした。
そんな私の為に、両親はよくうちに来てくれていました。
末っ子の私が社会に出たら離婚をすると言っていたはずの二人。
いつの間にか別居を解消して一緒に暮らしていました。
それどころか、この頃は春や秋の過ごしやすい季節になると、銭湯なんかで寝泊まりしながら、車で北海道まで行っちゃうような、かなりパワフルな老人夫婦になっていました。
昔はあんなにケンカばっかりしていたのに。
散々振り回されたけど…
まぁ終わりよければ全てよしってやつなんですかね。
お母さんは私の代わりに買い物や家の事を沢山してくれて。
お父さんは
「今まで何もしてあげられてないから、送り迎えぐらいはさせて」と、近くもないのに何度も車を出してくれていました。
それなのに私は二人には素直になれず…
“ふーん別にいいけど”
ぐらいな態度になっていたと思います。
心の中では”ありがとう”って言ってたんですけどね。
それを声に出せばいいだけやのにね。
続き↓
