🌹**【願い】**第二章(1) 気づかぬ罪悪感
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第二章
はぁ、
ここからの事はあんまり思い出したくない。
でもこの話をしなきゃこの物語が始まらない。
しばしお付き合いを…
3つ年上のとし君とは20年ほど前に、雑貨屋さんのバイト先で出会いました。
夕方からのシフトで一緒になることが多く、終わってからご飯を食べに行ったり、割とすぐに仲良くなりました。
とし君は、みんなから”優しいよね”と言われていて、私がよくわからない事を話していても、ほんわかした笑顔で聞いてくれるような人でした。
でも、店長の悪口を言ったり、否定的な事もほんわかした笑顔で楽しそうに話すなぁ、とはこの頃からよく思っていたんです。
当時、私にはりょう君という好きな人がいたのですが、付き合えそうなところでフラれて失恋。
残念。
落ち込んで、とし君にも話を聞いてもらっていました。
その数日後、とし君と電話をしてる時に、突然
「言いたい事があるけど言われへんからメール送るわ」
と言われ電話が切れました。
その後に届いたのがこのメール。
__フラれたから言うわけじゃ無いけど、えなちゃんの事好きやねん。こんなん言われたら困るかもしれんけど好きになってて。付き合って欲しいとかじゃないねんけど伝えたくて__
…
え…
メール?
メールでそんな事言うの?
しかも今電話してたよね、電話で良くない?
そう思いましたが、とし君の気持ちは否定したくなかったので、その心の声はがんばって押し殺しこう返信しました。
__ありがとう。でもごめん。りょう君の事まだ好きやし、とし君の気持ちには答えられへん__
すると今度はこう返ってきました。
__そうやんな、ごめん。わかってる。なんかもう辛いからバイトもやめようかと思う。あ、なんか泣けてきたわ__
もちろんメールで。
……
当時の私は正直引いていました。
ふった私が言うのもなんですが
失恋で仕事辞める?
泣けてきた?
しかもそれをメールで伝える?
泣けてきたわと、わざわざ文字にしてまで?
そしてついつい
__え、ごめん正直引いてる…そんなんで仕事やめるとか、泣いてるとか、しかもメールで__
と送ってしまい、その後返事がなくなりました。
そりゃあそうですよね…
私は
あぁやってしまった、言いすぎたなと後悔…
数日後、バイトで一緒になった時は気まずくて何も話せませんでした。
でもとし君の方から話しかけてくれて、仕事終わりに二人でドライブに行く事に。
車の中で
「えなちゃん、この前はあんな事言ってごめんな」
「ううん、私も言いすぎた。ごめん。でも私が言うのもなんやけどそんなんで仕事やめんといて欲しい。とし君が決める事やから仕方がないけど」
そんな話しをしてるうちにある事実が判明したんです。
「実は最近親友が亡くなって、あのメールしたのもその頃やねん。気持ちがめちゃくちゃになってて、えなちゃんの事好きやっていうのもブワーッてなって言ってしまった。後悔したけど気持ち抑えられへんくなってあんなメールしてしまってん」
……
「え、そうなんや…」
としか言えませんでした。
「でもえなちゃんに対する気持ちはほんまやから」
…
私は1人になった時に、
親友亡くしたって、とし君めちゃくちゃ辛い時やったんや。
知らんかったとは言え”引いた"とかほんまにひどい事言ってたやん。
辛かったやろうな…
と、とし君の事ばかり考えるようになりました。
”ちゃんと謝りたい”
そう思って、今度は私からとし君を誘いました。
車に乗り気まずい空気の中、私は話し始めました。
「1人で色々考えててほんまに申し訳なかったなって。とし君辛かったやろうなって。ごめんな」
「ううん、えなちゃんは何にも悪くないよ。俺もごめん…でもえなちゃんの事は好きやし、やっぱり辛いからバイトは辞めようと思ってる」
私はもうこの時、こんな私のせいでとし君にやめないで欲しいと思っていて、気がついた時には
「そんな事言わんといて。私あれからずっと、とし君の事考えててん。ほんまにずっと考えてて…
……
…
私たち付き合わへん?」
と言っていました。
え??
びっくりしていました。
私が。
いやそんなこと言うと思ってなかったから自分でもびっくりだったのですが、とし君も同じぐらい驚いて
「え?ほんまに?そんな事言われると思ってなかったからびっくりした。めっちゃ嬉しい!」
そう言い、喜んでいました。
今思えば私の"罪悪感"はここからもう始まっていました。
こうして私たちの付き合いは始まりました。
めちゃくちゃになっていく事も知らずにね。
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