【グルメ体験記】マドリードの名門ホテルで人生初のミシュラン二つ星を堪能
私はいわゆる“グルメ”タイプではなく、普段からミシュランレストランを積極的に巡るような人間ではありません。
ただ今回は、マドリードを代表する名門ホテル、Mandarin Oriental Ritz, Madrid に宿泊するまたとない機会。
せっかくなら、美食の国スペインが誇るミシュラン二つ星を体験してみたい。
そんな思いから、ホテル内レストラン Deessa を予約しました。
Deessa について
Mandarin Oriental Ritz, Madrid 内にあるガストロノミーレストラン。
ホテルの大規模改装後となる2021年に誕生し、開業年にミシュラン一つ星を獲得。その後わずか約1年半で二つ星へ到達した、現在のマドリードを代表する名店のひとつです。
店名の「Deessa」は、“女神”を意味する言葉。
その名の通り、店内はクラシックホテルの重厚感を残しながらも、芸術性と現代的な美しさを融合させた空間になっています。
料理を手掛けるのはスペインを代表するミシュラン三つ星シェフのキケ・ダコスタ。
スペインの伝統や地中海文化をベースにしながら、芸術作品のような一皿へ昇華させるスタイルで知られています。
また、Deessaの特徴はレストラン単体ではなく、「リッツマドリードという世界観の延長線上にあるガストロノミー」であることだと感じます。

そして、先に結論を言ってしまうと
人生で最高の食体験でした。
料理はもちろん非常に美味しく、味覚として完成度が高いのは言うまでもありません。
しかし、今回特に心を動かされたのは、料理そのものだけではなく、空間・サービス・演出を含めて一つの“作品”として完成されていたことでした。
料理が運ばれてくるたびに空気が変わり、その瞬間ごとに新しい驚きがある。
ただ食事をしているというより、“特別な時間を体験している”感覚に近かったです。
そして印象的だったのが、スタッフの方々の距離感。
海外の高級レストランというと、どこか格式高く緊張感のある空間を想像していましたが、Deessaはまったく違いました。
スタッフの皆さんは自然な笑顔で会話をしてくださり、説明も丁寧。
それでいて過度に堅苦しくなく、空間全体に心地良い余裕があります。
また、料理提供のタイミングやテーブル全体への目配りも驚くほど洗練されており、多くのスタッフが連携して動いているにも関わらず、その動きがとても自然。
気付けばこちらも肩の力が抜け、純粋に“この時間を楽しむこと”だけに集中できていました。
料理の美味しさはもちろんですが、「またこの空間に戻ってきたい」と思わせてくれる体験だったことが、このレストランの本当の凄さなのかもしれません。
私たちが予約していたディナーコースは、
“CHRONOS – THE GOD OF TIME”
“時間”を司る神の名を冠したコースです。
ここからは、店に入ってから出るまで、その特別な時間を順番に紹介していきます。
入店
Deessaはマンダリン・オリエンタル リッツ マドリードの象徴でもあるPALM COURTと隣接しています。



庭園エリア
テーブルの上の庭園は時期によって大きさも広さも変わります。
そして、もちろん提供される内容も変わります。

スペイン語で説明を受けたのであまり何かわからなかったけど、とにかく美味しかったです。
特に印象的だったのは、見た目からは味の想像がまったくできないこと。
実際に口へ運んだ瞬間に初めて味の方向性が分かり、そのギャップや驚きも含めて楽しませてくれる構成になっていました。

席に案内
店内はホテル全体と同じ白ベースに金色の装飾がされている内装で、天井には金のドームとシャンデリア。
目の前には謎の顔のオブジェがあります。

テーブルの上には金のパン皿と水用のゴブレット、ショープレート

他のテーブルの様子はこんな感じです。



Prologue
メニューの説明をしていただきます。

中を開くと、本日のコース内容が書かれています。

Deessaのコースはただの食事コースではなく、演出になっています。
FIRST ACT(第一幕)〜FOURTH ACT(第四幕)までそれぞれ自分が食べたいものを選びます。
メニューにも書かれている通り、この選択は本当に難題でした。
全部食べたいけど、何を諦めるかー
ドリンクはノンアルコールのスパークリングティーにしました。
爽やかな味わいで料理ともすごく相性が良かったです。

コース内容を選んでいる間にアミューズが来ました。

何かはわからないけど、しっかりトマトとマヨネーズの味はします。
食感はサクサクで、中にマヨネーズがたっぷり入っています。
とにかく美味しい。
First Act
私が選んだのはクレームブリュレです。

いや、本当に美味しかったです。
クレームブリュレはデザートのイメージですが、洋風の茶碗蒸しのような味でそれが、マッシュルームと豚肉と絶妙にマッチしていました。
もっと食べたかった。
彼女はビーツの冷製スープを選択。

味は分かりませんが、とにかく器が美しい。
あと、紫が綺麗。
Entr'acte
第二幕に進む前に何か気になるものがテーブルの横に置かれています。

First ActとSecond Actの間に登場したのが、銀のお盆に載せられたバゲット。
布で丁寧に包まれ、さらにリボンで結ばれているという演出に、思わず目を奪われました。
それとは対照的にゴム手袋を装着した店内で一番陽気なお兄さんがこのパンの紹介をしてくれました。
オリーブオイルをたっぷり染み込ませて、塩で味つけられたこのパンは本当に美味しいとめちゃくちゃハードルを上げていました。
そして、手で真っ二つにちぎってお皿に載せてくれました。

このパンは冗談抜きでこれまで食べたバケットの中で一番美味しい。
圧倒的でした。
おかわりしたかったな。
Second Act
私が選んだのは干しダコのライス。
目の前で鰹節を削ってのせてくれました。
日本のものを使ってくれると嬉しくなります。

スペインと日本の融合のような味わいに感動しました。
彼女が選んだのは下平目のブールブラン

味は分かりませんが、見るからに美味しいですね。
Third Act
メインは2人とも仔牛のリードヴォー(胸腺)を堪能。

リードヴォー成長すると退化して消えてしまうため、生後1年以内の仔牛からしか取れない非常に希少な内臓肉のようです。
求肥のような食感のものに包まれています。
口に入れた瞬間に感じるのは、まず驚くほど優しい食感。
しかし、その繊細さの奥からじんわりと濃厚な旨みが広がってきます。
Fourth Act
いよいよデザートの時間です。
私が選んだのはチョコレートとヘーゼルナッツのジャンドゥーヤ

ヘーゼルナッツはあんまり好きではないけど、このチョコレートアイスとソースと合わせたら美味しすぎました。
彼女が選んだのは”希少な花々”

これは一口もらいましたが、ヨーグルトのような味でさっぱりした味わい。食感はムースのようにふんわり口溶けしてこれも本当に美味しかった。
Epilogue
デザートと一緒にコーヒー、紅茶、カプチーノなどの飲み物を聞かれたので、カプチーノを選択。

これで終わりかな、と思っていたその時
鳥カゴが登場。

この3つの味は正直覚えていません。
全てが主張しない味わいでお腹いっぱいでも食べれるくらいの軽いものです。
食後にチェックをお願いすると、宝箱に入ったレシートが。

食事を終えて改めて感じたのは、Deessaは料理を食べる場所というより、特別な時間を体験する場所だったということです。
もちろん、一皿一皿の完成度は素晴らしく、素材や技法へのこだわりも随所から伝わってきました。
しかし、本当に印象に残ったのは、
店へ入った瞬間から始まる演出、
空間全体に漂う緊張感と高揚感、
スタッフの方々との自然なコミュニケーション、
そして、料理が運ばれるたびに空気が変わる感覚。
それら全てが積み重なって、一つの作品として完成されていたことでした。
「ミシュラン二つ星」という言葉だけでは表現しきれない体験。
美食の国スペイン、そして伝説的ホテル Mandarin Oriental Ritz, Madrid が持つ世界観を、五感すべてで味わえた夜だったと思います。
もしマドリードで人生に残るディナーを探しているなら、Deessa は間違いなくその候補になるはずです。

