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[序章②:冷蔵庫の気配]もしも、夜の冷蔵庫が私の秘密を知っていたら

〜この家には、気配がある〜

これは現実のはずなのに、
なぜか少しだけ違う気がします。

この家の中で、
一番静かに佇んでいるのは、冷蔵庫かもしれません。

開ければ光がついて、
閉めればまた暗く、静かになる。

それだけのはずなのに、
なぜか少しだけ「見られている」気がする場所です。

今日も重い扉を開けて中をのぞくと、
昨日入れたものが、ちゃんとそこにありました。

ただそれだけのことなのに、
なぜか少しだけ、安心してしまいます。

必要なものは、だいたいここにあります。
足りないものには、だいたいここで気づきます。

誰も何も言っていないのに、
この家に暮らす私たちのすべてを、
ちゃんと把握されているような、不思議な感覚。

たまに思うのです。
この冷蔵庫は、私たちのことを少しだけ「覚えている」のではないかと。

食べたもの。
残したもの。
買い足すのを、うっかり忘れているもの。

もちろん、ただの機械です。
そう頭では分かっています。
それでも、なぜか気になります。

静かに、じっと立っているだけなのに、
この家の中の「足りている・足りていない」を
全部見透かしているような気がするのです。

そして私はまた、
何となくあの白い扉を開けます。

特に目的がなくても、
そこに、何かを求めてしまうからです。

冷蔵庫は今日も何も言いません。
ただ、そこで静かに冷えているだけです。

それでも少しだけ、
この家の見えないバランスを、
彼女がじっと支えているような気がします。


この家の中で、静かに、でも愛おしくおしゃべりをしているモノたちの物語を、ひとつのマガジンに全部まとめてあります。
家事の合間に、あるいは夜眠る前のひとときに。
いつでもこの扉を叩いて、彼らに会いにきてくださいね。

前回の気配 | 序章①:ソファの気配 | もしも、我が家のソファが私の帰りを待っていたら | こちらです↓



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