避難の原則
後期に大学院で災害保健学特講という科目を新規に開設することになっているので、その一環で、The principles of evacuation(避難の原則)についてweb検索してみた。
令和8年熊本地震関連でイオンモール熊本での爆発事故に巻き込まれて亡くなった方の中に、いったん避難した後に会社の指示で戻ったことが原因だった方がいて、大きなニュースとして取り上げられているが、たぶん「NEVER GO BACK」という原則が常識になっていれば、あるいはそれを徹底するBCPマニュアルが作られ共有されていたら防げた死亡であったと思う。
Noteの「現役高校生が津波避難について考える」というアカウントの方が、避難の基本「一度避難したら戻らない」を多言語で共有しようという記事を書いていて、たいへん素晴らしい試みだと思い「チップで応援」した(既に「卒業論文」が発表されているので、今は大学生だろうと思うが、鎌倉の津波避難シミュレーションは凄い)。
内閣府の防災情報のページでも16.機敏な避難と「逃げたら戻らない」のが鉄則。とある(ただし少々残念なことに、同じ内閣府防災情報ページで多言語で提供されている「COVID-19危機下での避難の要点」では、――これが提供されたこと自体は素晴らしいが――この「戻らない」が明記されていないようだ)。
東京消防庁の「第9章 避難」の地震の項では、海岸の近くにいるときについてだけ「戻らない」が書かれているが、どこであっても戻らないのが原則だと思う。
フロリダ国際大学の避難の手順は火事のとき安全に避難するための8つの手順を示しているが、8番目に「Do not re-enter」と書かれている。
福島の義務教育学校・認定こども園である「学び舎 夢の森」は、Unannounced Evaculation Drill(事前予告無しの避難訓練)のページで、以下の5点が重要と書いていて、4番目が「戻らない」となっている。
OKASHIMOCHI
O – Don’t push (Osanai)
KA – Don’t run unnecessarily (Kakenai)
SHI – Don’t talk (Shaberanai)
MO – Don’t go back (Modoranai)
CHI – Don’t get close to danger (Chikayoranai)
Unannounced Evaculation Drill(事前予告無しの避難訓練)のページ
オーストラリアのビクトリア州政府の、家が火事になったときの避難アドバイスというチラシにも、燃えている部屋や家に決して戻らない、と書かれている(ちなみに、オーストラリアの国立災害レジリエンス研究所は、Australian Disaster Resilience Handbook Collectionという、大変役に立つハンドブックシリーズを公開している)。
ちょっと文脈は違うが、米国公衆衛生学会のGet Readyという災害準備性を高めるためのページの中でも、安全確認の公式発表があるまでは戻らない、と書かれている。ジェームズクック大学の災害時の安全安心についてというページも良くまとまっていて、火災その他の避難の項には「一度出た建物の中に戻らない」が明記されている。
後日時間があるときに講義資料の形でまとめておきたい。
