見出し画像

【リハビリ×ChatGPT】構造化プロンプト7要素⑥:参照知識・例

前回は、構造化プロンプトの7要素のうち『評価・改善』について説明した。
その中で、ChatGPTが生成した原石(第一出力)を、ChatGPT自身に評価・改善案を出してもらい、さらに改善までしてもらうという改善ループで、生成の質を飛躍的に高めるところを見てきた。
今回見ていくのは、追加3要素の2つ目『参照知識・例』である。
これまで、構造化プロンプトのどの要素も重要だ、と述べてきたが、正直なところ、『参照知識・例』の使い方が最も重要だと思っている。
ここを上手く使うことで、生成AIの限界点のいくつかを克服できるからだ。
では、見ていこう。


■ RAGとFew-shotという装備品

まず、基礎知識として、Zero-shotとRAG、Few-shotについて理解しておく必要がある。
RAGとFew-shotという用語は、プロンプトにおける『参照知識・例』に該当する言葉だ。
『医療者のためのChatGPT』の記載がとても分かりやすいので、以下に引用する。

Zero-shot は素手で戦わせる感じ, Few-shot は武器を持たせて戦わせる,というイメージでしょうかね. ChatGPTは基礎戦闘力が高くて素手でも割と戦えちゃったりはするんですが .ここでいう武器, つまり, ChatGPT に凡例を与えて, 出力内容を調整するのがFew-shot プロンプティングです.

松井 健太郎, 他. 医療者のためのChatGPT

他方、RAG(Retrieval Augmented Generation, 検索拡張生成)というのは、Few-shotに意味合いとしては違いのだが、プロンプト内での装備品ではなく、外部の添付情報(word、PDF、その他データベースなど)の装備品である。
まとめると、以下のように理解できる。

■ Zero-shot = 装備品なし(参照知識・例なし)で生成
■ RAG = 少しの装備品(いくつかの参照知識、外部情報)で生成
■ Few-shot = 少しの装備品(いくつかの例、プロンプト内)で生成

<RAG [参考資料を与えておく] >
例①. 添付したガイドラインを参照し、〇〇
例②. 添付した業務マニュアルを読み込み、質問に答えて下さい。

例えば、学校の試験前に先生がこう言ったらどう思うだろうか。
(A) よーし、お前ら、明日の試験はインターネットの情報全部から出すからな!
(B) よーし、お前ら、明日の試験はこの1ヶ月の授業ノートから出すからな!

Zero-shotがAの状態RAGがBの状態である。
この参照知識を与えるRAGによって、自分が信頼した情報の範囲内で生成が行われる。
よって、生成AI使用のリスクの1つである、ハルシネーションのリスクを最小限にできる。

<Few-shot [プロンプト内で出力の模範例を与える]>
例. 文章のフォーマットは添付した文章例を参考にして下さい

例えば、子どものお絵描きにおいて、お手本がある状態とそうでない状態では、出来上がりが全く異なるだろう。
Few-shotではお手本を与えることで、主に出力形式を自分の期待に沿ったものに近づけることができる。

このように、RAGとFew-shotをうまく使うことで、正確(自分の信頼する情報の範囲内)で、自分が期待する出力形式の生成物が得られる。

■ 構造化プロンプトにおける『参照知識・例』とは?

以上の文章をまとめると、『参照知識・例』とは、生成にあたりはじめに参照知識(RAG)を与えるか、出力に際して模範例(Few-shot)を与えるかして、生成の質を上げようとする営みである。
プロンプト例としては、以下のようなものがある。

# 設定:
・あなたはリハビリテーション医学の専門家です

# 依頼内容:
・添付されたPDF(※)を参照して、入力された {部位名} {運動方向} に対する以下の情報を教えてください
■参考可動域
■基本軸
■移動軸
■測定肢位および注意点

# 前提条件:
・聞き手は臨床現場で働く理学療法士です

# 注意点:
・分かりやすい日本語でお願いします
・測定肢位および注意点に記載がなければ {特記事項なし} と出力してください

# 出力条件:
・出力は、以下のように示してください
{筋名 (英語での筋名)}
■ 参考可動域:
■ 基本軸:
■ 移動軸:
■ 測定肢位および注意点:

※ PDFは日本リハビリテーション医学会の関節可動域表示ならびに測定法を「参照知識」として与えている。 https://www.jsfr.jp/download/info/2021/20211129_03.pdf

■ 『参照知識・例』の威力(関節可動域辞典 + α)

どうだろうか。
参照知識・例を上手く与えることで、生成物の信頼度、出力の精度がグーンと上がることを見ていただけたと思う。
次回は、構造化プロンプトの最後、『実行シナリオ』について見ていきたいと思う。

⬇︎ ChatGPTに関する著書紹介 (最新刊❗️)✨

これまで共有してきたマイGPTが本書の中で限定公開されています❗️
本書は、生成AIから適切なアウトプットを引き出すための「プロンプトエンジニアリング」を体系的に解説した実践書です。単なるAI活用例の紹介ではなく、「なぜその指示で精度が変わるのか」「AIに何をどこまで任せるべきか」といった、生成AIとの向き合い方そのものを、臨床・教育・研究・業務改善などの具体例を通して学べます。そのまま使えるプロンプトや、著者オリジナルのマイGPT、解説動画リンクも多数収載。「AIを使う」から、「AIを使いこなすための思考」へ――。生成AI時代に求められる「問いを設計する力」を、セラピストの視点から実践的に解説します。
すべての目次が記載されたAmazonページは以下のリンクから

⬇︎ ChatGPTに関する著書紹介 (前著)

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
リハビリテーション職のためのChatGPTの活用ガイド
『リハビリ×ChatGPT』
こちらから♪
↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #人工知能 #ChatGPT #リハビリテーション #リハビリ #理学療法 #作業療法 #言語聴覚療法 #PT #OT #ST