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短編:サンタさんと小さな星

◉風まかせ文芸部【サンタさん】参加作品

 むかしむかし、雪がしずかに降る町がありました。
 夜になると空は澄んで、お星さまたちが、小さな声できらきらお話をしていました。

 その夜、サンタさんは赤いコートを着て、トナカイのそりに乗っていました。
 シャン、シャン、シャンと、鈴の音が空にやさしくひびきます。でも、その年のサンタさんは、少しだけうかない顔をしていました。
「プレゼントって……ほんとうは、なにが一番うれしいんだろう」
 トナカイたちは、ふうっと白い息をはきながら、だまって空を飛んでいます。

 やがて、小さな家の屋根の上に、そりがとまりました。その家には、ルカという男の子が
住んでいます。
 ルカは最近、あまり笑っていません。お父さんが遠くで働いていて、なかなか帰ってこられないからです。
「おやすみなさい」
 そう言っても、声はだれにも届きません。
 サンタさんは、えんとつからそっと、そっと、音を立てずにおりていって、ルカのまくら元に、小さな包みをひとつ置きました。
 それは、木でできた小さな星。包みの中には、こんなメモが入っていました。
「この星はね、だれかのことを思うと、そっと光るんだよ。さみしい夜は、ぎゅっとにぎってごらん」
 朝になって、ルカはその星を手のひらにのせました。すると、寒い雪の朝なのに、心の中が、ぽっとあたたかくなりました。
 遠くにいるお父さんの笑顔が、まぶしく浮かんだのです。
「……ぼくは、だいじょうぶ」
 その夜、サンタさんは空の上から、その家を見ました。窓のそばで小さな星が、かすかに、光っていました。
 サンタさんは、少しの間だけ胸をおさえ、やさしくほほえみます。
「プレゼントはね……なくならないものがいいんだ」
そりは、シャン、シャン、シャン、と、また星空の向こうへとかけていきました。

 今もサンタさんは、形のないやさしさを配っています。
 今夜、きみの心にも、小さな星が光るかもしれません。

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