17. 折り紙マスターズ【すっとんきょうな出来事 〜精神科に入院した私の記録〜】
※この記録は実体験をもとに書いています。登場人物はすべて仮名とし、個人が特定されないよう、一部の設定や時系列などの細部を変更しています。
おはようございます。
スットンキョウと申します。
病棟生活に欠かせないもの。
それは、折り紙です。
普段の生活では、折り紙なんてほとんどしませんよね。
ところが病棟では、女性患者の間ではかなりメジャーな暇つぶし。
難しい作品が折れる人は一目置かれ、
「折り方を教えてください」
と弟子ができることもあります。
うちの病棟には、
それぞれの作品に”スキルマスター”がいました。
ひまわり:加藤さん
勲章:まゆみさん
くす玉:白木さん
もちろん、定番の鶴を折れる方は何人もいました。
スマホは禁止なので、折り方を検索することはできません。
何か新しい作品を作りたければ、
その作品のマスターに教えてもらう。
これが病棟での基本スタイルでした。
人と人とのつながりも自然に生まれるので、
スマホが使えない環境も悪くないなと思います。
ひまわり担当の加藤さんは、
一日中せっせとひまわりを折っていました。
「こんなに作ってどうするんだろう?」
と思っていたら、その日の夜勤スタッフ全員に、ねぎらいの言葉を添えて
毎日プレゼントしていました。
本当に優しい方です。
一方、心が荒んでいた私は、
「もらったスタッフさん、
これどうやって処分するんだろう」
などという、夢のないことばかり考えていました。
加藤さんは
「ひまわりは簡単だけど、鶴や勲章は折れない」
と言っていました。
実際に勲章を教わってみると、
ひまわりと似た手順も多く、
「そんなに違うかな?」
と思いましたが、もしかしたら、
それぞれの得意分野を尊重するような
暗黙の文化があったのかもしれません。
一番難易度が高いのは、やはりくす玉。
20個ほどのパーツを折って組み立てるので、
見ただけで
「これは無理だ。」
と習う前から諦めました。
そして、女子刑務所のボス。
本人はあまり折りませんが、
折り紙をマスターたちに提供し、
完成品を他の患者さんへ配っていました。
ボスは、本当に面倒見のいい人です。
私もボス経由で、くす玉を3つほどいただきました。
病棟は暇なので、そのくす玉でボスとキャッチボールをして遊んだことがあります。
意外と盛り上がります。
私は、おしゃべりや麻雀のほうが好きだったので、折り紙にはそこまでハマりませんでしたが、
それでも、入院中ずっと離れていた子どもたちのために、ひまわりを折りました。
面会に来た夫に託して、子どもたちへ届けてもらいました。
退院して家に帰ると、そのひまわりが壁に飾られていました。
「ああ、折ってよかったな。」
そう思えたのを覚えています。
折り紙については、あまり笑いがある話ではありませんでした。
でも、病棟にはこんな穏やかな時間も流れていた、ということで。
次回は、いよいよ麻雀回です!
目次
次の記事
いいなと思ったら応援しよう!
わぉ、こんなスットンキョウな私にチップを贈りたいと思ってくれたんですね。その気持ちだけで十分です。すみませんカッコつけました、チップぜひお願いします(土下座)