9. ドキドキ採血 & 部屋交換は突然に【すっとんきょうな出来事 〜精神科に入院した私の記録〜】
※この記録は実体験をもとに書いています。登場人物はすべて仮名とし、個人が特定されないよう、一部の設定や時系列などの細部を変更しています。
おはようございます。
スットンキョウと申します。
ラウンジで一夜を明かした翌朝。
身体はボロボロでしたが、
「ついにラウンジで寝ちゃったよー。」
と誰かに話したくなる、地獄のミサワ的な謎の達成感で心は満たされていました。
この日は一大イベントがあります。
そう、採血です。
前日に看護師さんへ大立ち回りを演じ、
「経験人数80本ですね。」
と言い放ってしまった翌朝。
病室には、なんとも言えない緊張感が漂っていました。
看護師さんも、
「私、失敗しませんから。」
と言った手前、この採血は絶対に失敗できません。
少しでも失敗したら、敏感すぎる患者(私)に何を言われるかわからない。
そんなプレッシャーがあったのではないでしょうか。
看護師さんの手も少し震えていました。
腕に駆血帯を巻き、血管を探し、狙いを定めます。
そして、いざ採血。
緊張の一瞬。
スッ——。
針は見事に入りました。
採血も順調。
針を抜くところまで完璧。
……大成功です!!
採血が終わると、お互い思わず
「ふぅ…。」
と息をつきました。
すると看護師さんが話してくれました。
「実は私も注射が嫌いなんです。
でも後輩の練習台にならなきゃいけないことがあって、それが本当に嫌で……。
今日はスットンキョウさんの採血を成功できて、本当に良かったです。」
もう、私は心の中で泣いていました。
まさに戦友。
絶対に失敗できない採血という戦いを、一緒に乗り越えた同志です。
この日から、この看護師さんは私の推しになりました。
さて。
ラウンジで寝るという強硬手段に出た結果。
翌日、4人部屋から2人部屋へ移動することになりました。
特に希望を出したわけでもなかったので、かなり驚きました。
病院では部屋移動は結構なビッグニュースです。
ただでさえ話題が少ない世界なので、
「あれ? 部屋移動!?」
「しかも2人部屋!?」
と、周りの患者さんたちも少しザワついていました。
しかも移動先は、この時点ですっかり仲良くなっていた、折り紙の加藤さんとの2人部屋。
「一緒の部屋になったね!」
と2人で喜びました。
おそらく看護師さんも、
「毎晩ラウンジで寝られては困る。」
「仲の良い加藤さんと一緒なら安心して眠れるかも。」
そんなふうに考えてくださったのでしょう。
もちろん前の部屋の人が嫌だったわけではありません。
というより、私は部屋にほとんどいませんでした。
それでも、なんとなく「ごめんなさい」という気持ちを抱えながら、入院3日目にして異例のスピード部屋移動となりました。
夜の病院は相変わらず怖かったものの、加藤さんはイビキもなく静かに眠るタイプ。
同室の人としては最高でした。
ようやく私も、少しずつ眠れるようになったのです。
こうして私は、採血と部屋交換という二つのクエストをクリアしました。
少しずつですが、確実に退院へ向かって歩き始めていました。

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わぉ、こんなスットンキョウな私にチップを贈りたいと思ってくれたんですね。その気持ちだけで十分です。すみませんカッコつけました、チップぜひお願いします(土下座)