7. 不可避のLINE交換 【すっとんきょうな出来事 〜精神科に入院した私の記録〜】
※この記録は実体験をもとに書いています。登場人物はすべて仮名とし、個人が特定されないよう、一部の設定や時系列などの細部を変更しています。
おはようございます。
スットンキョウと申します。
食後のお薬も飲み、消灯までのコミュニケーションタイムです。
おしゃべり好きな私は、部屋に引っ込むはずもなく、ラウンジをうろうろしていました。
自分で言うのも何ですが、コミュ力は高い方です。
初対面の人に話しかけたり、軽く自己紹介したり、たわいもない会話に全力でリアクションしたり。
そんなのは私にとって朝飯前です。
……と言いたいところですが、すみません。
少しカッコつけました。
本音はこうです。
「お願いだから誰か私と話してください。」
一人で部屋にいると考え事が止まらず、余計に頭がおかしくなりそうだったんです。
誰か……
誰か……
そんな心境でラウンジをうろついていました。
すると、まさかの出来事が起きます。
女子刑務所のボスのような風格の人が近づいてきて、
「これ、あそこに座ってる人から。」
そう言って、小さな折り紙を渡してきました。
開いてみると、かわいらしいひまわりの折り紙が貼られ、空いたスペースにきれいな字でこう書かれていました。
「初めまして。加藤絵里と申します。
お友達になりませんか?
LINE ID:xxxxxx」
……えええ。
ここ、患者同士でLINE交換するような病院なんだ。
精神病患者さんとLINE交換して大丈夫なのかな?
それが最初の感想でした。
(※本人も紛れもない精神病患者です。)
戸惑っていると、その”ボス”がお手紙の主のところまで連れて行ってくれました。
(※後々よく話してみたら、まったくボスではなく、ただの親切な人でした。)
「あ、どうも…スットンキョウです。」
と挨拶する私。
すると相手は、お手紙のかわいらしい雰囲気とは打って変わって、
「あ、ウッス。」
という感じ。
ギャップがすごい。
ここで私は、
「LINE交換を断ったら、この女子刑務所で生きていけない」
と勝手に思い込み、LINE IDを書いて渡しました。
「これで何とか乗り切れた…」
そう思った次の瞬間。
「電話番号も書いた方がいいよ。」
ボスから、余計なアドバイス。
ボスだと思い込んでいる私は、「断ったら目を付けられるかもしれない」と勝手にビビり、しぶしぶ電話番号まで書くことに。
……ところが、話はここで終わりません。
その流れで、
「他の人にも渡しなよ。」
と勧められます。
気が付けば、折り紙に自分のLINE IDと電話番号を書いて大量生産していました。
私は無課金ユーザーなので、紙もペンも持っていません。
折り紙もペンも、すべてボス支給です。
一枚書くたびに、
「電話番号も書いた方がいいよ。」
というアドバイスが飛んできます。
そして気付けば、6人ほどの患者さんに自分から連絡先を配る人になっていました。
加藤さん以外の患者さんからしたら、
「頼んでもないのに連絡先を配ってくる積極的な人」
です。
これが、入院初日の夜でした。
ちなみに病院では、患者同士の連絡先交換はトラブル防止のため原則おすすめされていません。
とはいえ看護師さんがすべて防げるわけでもないので、「自己責任でどうぞ」というスタンスでした。
その頃の私は、
「やめてーーー!
コミュ力が高いとは言ったけど、初日から連絡先を配り歩く距離感バグった人間じゃないんですぅぅ!」
と心の中で叫びながら、
「へへ……」
と薄笑いを浮かべて折り紙を配っていました。
当然、渡された方も少し面食らっていました。
後から仲良くなって聞いてみると、
「初日から連絡先を配りまくるなんて、なんて積極的な人なんだろう」
と思われていたそうです。
「あれはボスに従っていただけなんです。」
ということだけは、しっかり弁明しておきました。
結果的には、退院後もつながりたいと思える友人もできました。
なので結果オーライ。(なのか?)
こうして、エキサイティングな入院初日が終わり、私は精神科病院で初めての夜を迎えるのでした。
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わぉ、こんなスットンキョウな私にチップを贈りたいと思ってくれたんですね。その気持ちだけで十分です。すみませんカッコつけました、チップぜひお願いします(土下座)