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人は得をするより、損をしないことを好む  「プロスペクト理論」

確実な100万円 or 50%の200万円  どちらを選ぶ?

どちらを選びますか?

選択肢A: 100万円が無条件で手に入る。
選択肢B: コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

わたしも含めて、多くの人がAを選びます。ぜったいAが良いと感じます。しかし確率論的にはどちらも同じ価値の選択肢です。確率論では、期待値を計算します。期待値とは

期待値=可能性×数値

です。この場合、Bは、200×0.5となるとまえ、Aと同じ100となります。なのにどうしてわたしたちは、BではなくAを選ぶのでしょうか。

金額が2倍になっても価値は2倍にならず、1.6倍くらいにしかならないから

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理由は、わたしたちの感覚では、金額が2倍になっても価値は2倍にならず、1.6倍くらいにしかならないからです。上記の場合は、200万円は1.6倍の160万円くらいに感じてしまうため、160万円を1/2で手に入れられる得の感覚は80万円です。それなら確実に手に入る100万円のほうが感覚的にお得です。だからAを選択します。では次の場合はいかがでしょうか?

負債が200万円ある状態です。
選択肢A:
無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額はそのまま変わらない。

これならBを選びたくなります。なぜか。
選択肢A = -100万円
選択肢B = -200万円は-160万円の感覚になる×1/2 = -80万円
と選択肢Bのほうが負債額が減ります。感覚的に。ゆえに選択肢Bを選びがちです。

これは、 ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カールネマンとエイモス・トベルスキーにより「プロスペクト理論」と呼んでいるモデルで説明できます。


プロスペクト理論

プロスペクト理論(Prospect theory)とは

不確実な状況における意思決定モデルであり、
(1)得することより損をしないことを選ぶ傾向
(2)損も得も量が増えるとインパクトが弱まっていく傾向
などを説明するもの

です。ちょっとわかりにくいので、以下の表をみてください。これがとてもわかりやすいです。

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プロスペクト理論の曲線
By Laurenrosenberger - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=67117183

真ん中の線より右側が「得」であり、左側が「損」を意味しています。0.5ドルの得は20点ほどのインパクトを示していますが、同じ金額である0.5ドルの損失のインパクトは40以上です。損は得の倍以上のインパクトを持っています。

またこの 曲線は、右に行くにしろ左に行くにしろ途中から緩やかになってきます。これは0.5ドルを得したあとには、さらに0.5ドルを得してもあまりうれしくないことを意味しています。逆もまた然り。50万円損失したあとでは、さらに50万円を損失しても、最初ほどショックではなくなります。これがプロスペクト理論です。

FXトレードで負ける理由

FXトレードをやっているかたで、どうも負けてばっかり、という方は、その理由がもしかしたら、このプロスペクト理論かもしれません。たとえば利益がでているとき、それがなくなるまえに利確したいため、小額でも利確しがちです。そして損が出ている状態では、損はしたくないので、利益が出た状態に転じるまで待ち、損切りできない状態になります。この結果、利益は少し、損は多くなる、そういう対応を続けます。そうして負けが続きます(わたしのように!)。

対策は、ルールを決めて、遵守するほかありません。利確と損切りのポジションを明確にして、あとは機械のように無感情で対応していくのが、プロスペクト理論を乗り越える方法です。

対策・応用

知ること&論理やルールを優先する

優れた投資家は自分の直感よりうえにルールを設けます。これはバイアスがあることを前提とした処置です。そして自分もまたバイアスの影響を受けると考えています。信念を強く持つというのは良いことにように思われますが、実際にはその信念の検証を怠ることに繋がります。信念よりもゴールを持つことのほうが有効です。


オススメの本

漫画『インベスターZ』。この漫画では、プロスペクト理論をわかりやすく説明している他、株式投資に関する知識も多く解説してくれています。プロスペクト理論については3巻で解説しています。


ダニエル・カーネマンは、プロスペクト理論や認知バイアスをこちらの本で詳しく説明しています。わたしとしては必読書に入っています。


関連した認知バイアス

•損失嫌悪(Loss aversion)
利益を得る事よりも、損失を回避する事に集中する傾向。


認知バイアス

認知バイアスはわたしたちが進化の過程で得た生き延びるための工夫のエラーになる側面。こちらの記事で一覧にしています。


参照

※1:Prospect theory

※2:プロスペクト理論


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