LUMIX S9を半年使ってみてわかったこと | レビュー

LUMIX S9を購入して半年、旅行に遊びにスナップに使ってみて、使用感のレビューを残しておきたいと思います。(2026.7更新)
登場時スペックに関してかなり賛否両論があり、また登場時のホームページでは有料素材を作例写真として掲載して炎上するなどの事件もあり、とにかく良くも悪くもスキャンダラスなカメラだと思っています。


今回のお品書きとしては、まずS9がどんなカメラなのかを解説した上で、ダメなところをひたすら列挙します。Panasonicスマン!!
最後に比較されやすいSIGMA fpを引き合いに出して、改めてS9の強みに迫っていきたいと思います。
LUMIX S9とは?
LUMIX S9はパナソニックが2024年に発売したフルフレームミラーレスカメラ。 特にソーシャルメディア向けのコンテンツ制作に焦点を当てていて、撮影した画像や動画にリアルタイムでLUT(ルックアップテーブル)を適用できる「REAL TIME LUT」機能が特徴。 これにより撮影後すぐにプロ並みのカラーグレーディングが可能になる。
またLUMIX Labアプリを使ってスマートフォンから直接カメラにLUTを転送して適用することもできる。 さらに6K30pやC4K60pなどの高解像度動画撮影にも対応していてコンパクトなボディながらプロフェッショナルな機能を備えている。 デザインは、ダークオリーブ、ナイトブルー、クリムゾンレッド、ジェットブラック、ミントグリーン、サクラの6色から選べる。
SONY a7ciiに匹敵する超コンパクト軽量のフルサイズミラーレス一眼です。
「これモックじゃないの?中身入ってんの?」ってくらい軽くて扱いやすいです。お出かけの時にカメラを持っていくか悩んで持っていかない…という経験、誰しもあると思いますが、そういった時にも持っていけるのがLUMIX S9の良いところです。
初心者でも誰でもプロのような色使いができる「リアルタイムLUT」と、軽量でクラシカルなボディがセールスポイント。
ただ、初心者でも気軽に一眼レフを〜っていう割に定価20万円ってけっこう攻めてるね….??という感じで、初心者には近寄り難く、経験者には見向きされず、発売目前に炎上したカメラ…と概要はそんなところでしょうか。
一度13万円くらいまで中古価格が下落したのですが、L10高価で最近値段が上がってますね。

ここからはPanasonicからS9をプレゼントされたカメラ系YouTuber勢が一生懸命このカメラの素晴らしさを褒め称えて動画を上げている割にはnote上には使っている人がまっっったく見受けられず、このカメラって結局どうなん??大丈夫?というところをざっくばらんに語っていきたいと思います。
微妙な立ち位置で可哀想っておもう
個人的な所感では、APS-Cに満足できなくなってステップアップしたくなったけれど、重たいカメラは結局持ち出さなくなりそうで不安….なアマチュアに対してのベストアンサーのカメラだと思います。
まぁ本当はa7ciiとかZ5とか他にもアンサーはあるのですが、リアルタイムLUTで撮影できる体験は他では得られず(fpを除けば…)、とにかく手軽に楽しく、どこへでも連れて行けるのにできることは本格派なカメラなのは確かです。
レンズもSIGMA製を含めて選ぶのが楽しく、重たくて本気のレンズもあれば軽いのになんでもできちゃうレンズもあるのでついつい色々と揃えてしまいたくなってしまいます。

ファインダーやホットシュー、メカシャッターなどの犠牲を払い、それでもS5iiばりの機能をこの小さい筐体に余すことなく載せてくれた。それだけで感謝です。
僕はこのカメラが(言いたいことはたくさんあるけど)好きです。

ただ立ち位置としては本当はPanasonicが狙いたかったのであろうゆるふわカメラ初心者勢にとっては高額すぎるし、そもそも初心者にとってフルサイズである意味はどこにもなく、そして「リアルタイムLUT」なんて言葉は初心者に響くはずもなく、かといってファインダーがないとかメカシャッターじゃないとかホットシューがないとか散々セミプロにも叩かれ、最後に炎上して、(何度でも言う)なんというか立つ背がないっていうか、何が悪いんでしょうね。

上記のような文句を聞くと誰が使うんこれ?って感じなのですが、
ふるふわ初心者<アマチュア<ハイアマチュア<セミプロ<プロ
とした時のハイアマチュアくらいの人が「別にコールドシューだとしてもつけるものなんて元から無いっすよ!」なんて寛大なことを言いながらサブカメラとして楽しく使うカメラ、ということなんだと思います。
ただそれはPanasonicの思惑ではなくて、結果的にそうなったってことなんだろうなぁと邪推します。
なんかS1のときも思ったけどLUMIXって技術は良いのに宣伝っていうかマーケティングがすごい下手くそなんですよね。ターゲットの設定がおかしい。
あ、ちなみにゆるふわ勢はみんなS9ではなくNikon Zfcを買ってますし、身の回りでカメラデビューしたい初心者がいたらZfcを勧めます。

張り替えサービスは割とどうでもいい
張り替えサービスで自分のS9を好みの革張りに変更することができる触れ込みで、noteでもそのサービスを使ってみた方がちらほらいらっしゃるみたいですが個人的にはあまり刺さらなかったです…。
どこかに郵送するだけじゃなくて店舗に持って行ったら張り替えられるようにするか、あるいは独力で頑張れば張り替えられるようなキットを展開してくれたら張り替えたと思います。
そもそも自分だけのカラーという割には色の展開が少なすぎます。わざわざ自分のフルサイズ機(しかも買ったばかりの)を数週間手放しても大丈夫なのはフルサイズ機を何台も持っているお金持ちだけなのでは….。などと邪推してしまいますし。
少なくとも発売時に威張るほどの画期的なサービスではないだろうというのは的外れな意見ではないはずです。逆にNikon Zfcの限定カラーの突然の数量限定発売はびっくりしました。こういうのでいいんだよこういうので….。

スマホ連携もどうでもいい
すみません、スマホと連携して写真が送れます!みたいなのも時代錯誤だからいい加減やめた方がいいと思います。スマホ転送機能なんて15年くらい前から存在するので今更アピールすることではないし、メーカーごとにいちいちスマホ転送アプリをインストールして会員登録するこっちの身にもなってくれと思います。
もしNikonとLUMIXとSONYのカメラを持っている人がいたとして、それぞれアプリを使って写真をスマホ転送しようと思ったら一々それぞれのメーカーのアプリを登録して開いてBluetooth接続して写真を選んで転送するわけです。この辺りが本当に古いし、15年前から全く進歩していない。
転送の速度が格段に上がったと言ってもYouTubeを1秒で立ち上げる現代人にとっては遅すぎるし、ゆるふわアマチュアが使う機能にしては煩雑だし、セミプロが使うには脆弱すぎる。
ちなみに僕はSDカードリーダーをスマホに挿してSDからデータを転送しています。こっちの方が早くて確実なので…。

ガチでカメラやるならS5ii をどうぞ
僕は冬山登山をやったりするので、防塵防滴機能がなく、SDカードが2枚刺せないS9を現場に持っていくのは不安です。同じ理由で友人の結婚式に持っていくのにも抵抗があります。
そういうプロの真似事(過酷な環境に持って行ったり、責任が伴う撮影に使用する)場合にはS9は向かないと思っています。サブカメラなら良いかも。
触ればわかりますがプラスチックの殻みたいな筐体なので、岩場で落としたら一発アウトだと思いますし、結婚式の集合写真時にフリーズしたら詰みます。だから結構高いカメラだけど、そういうガチの仕様には向いていないと思います。ガチでやるならS5iiをどうぞ。あるいはS5iixを。

グリップはなくても良いじゃん
グリップがないので持ちにくいという意見も散見されますが、そういうカメラなんだから文句を言うなとしか言いようがありません。サムグリップとか外付けグリップとか救済措置があるのでそれを利用してもいいですが、グリップが欲しいなら大人しくS5iiを買うべきだと思います。
ただ底面がプラスチックで貧弱だから外付けグリップをつけて底面を強化したいと言うのは理解できます。とはいえ個人的にはS9はグリップがない方がスッキリしていてかっこいいのに…。
僕もS9の購入を迷っている時に販売員の方に「S9ってグリップなくて持ちづらいじゃないですか」と言ったことがあるのだけれど、販売員は涼しい顔をして「でもカメラって昔は全部こうでしたよ」と完全論破されてしまい目から鱗でした。確かに本来カメラってこういうフォルムだったのだと。みんなレンズに手を添えて写真を撮っていたのだと。
そう考えるとグリップのある一眼レフの形態よりもむしろS9やfpのような箱型のデザインの方がカメラの歴史の視座で見た時にむしろ王道なのだと思えるようになり、それから不思議とS9を持ちづらいと思わなくなっていました。
今でもS9はどこにいくにもグリップはなしで運用しており、普通に使うのに特に不自由はしていません。

SIGMA fpと比較して
立ち位置が似ていること・同じLマウントレンズが使えることからS9はfpと比較されがちだと思います。このページを読まれている方でこの2択を検討している方いらっしゃるのではないでしょうか。
確かにフルサイズでコンパクトで、Lマウントが使用できて、クラシカルな箱型のボディ、シンプルな使用感など類似しているポイントが多いのは事実です。
では具体的にどんなところが違うのか。
やれ裏面照射がどうだとか、コールドシューだとどうだとか色々な批評を見ますが、それってエンジョイ勢にどのくらい関係ありますか?とついつい突っ込みたくなります。
もう少しエンジョイ勢に関係のあるユーザー目線でこの点を考えてみましょう。

fpは5年前のカメラ。でも….
S9が最新のカメラであることに対してfpは5年も前の機種になります。
カメラを5年使っていたら買い替えを検討する人も多いと思いますが、それだけの年数と言えるわけです。ただsigma fpが5年前に発売された中古品だと言いたいわけではありません。
まずfpは発売から5年も経っているにも関わらずS9との比較されること自体が凄まじいことだと思います。5年も前のカメラで今でも購入エントリが毎日のように投稿されて、愛好家が毎日動画をアップしてfpの素晴らしさについて語っている。カメラ性能のみならず、デザインや使い勝手も素晴らしいカメラだということが伝わってきます。
5年経っても色褪せない愛好家の声。これがfpの凄さです。
それに引き換えS9は発売されてからそれだけの年月が経っておらず、時間経過による検証が済んでいないところがあります。数年使ったら壊れるとか、実はこんな弱点があったとか、まだまだわからない点がたくさんあるわけです。この点においてfpはS9に対してリードしていると言えます。
とはいえ後述の通り技術の発展に伴いS9は現代のカメラらしいメリットがたくさんあるので、たとえばもしS9とfpで迷っている人がいたとしたら、「普通に写真機として(あるいは動画機として)カメラを買うならおとなしくS9を買ったら?」と言うと思います。新しいカメラってやっぱり優位です。当たり前ですが。

fpは弱点だらけなんだぞ!
前述の通り、S9はホットシューがついておらず、また電子シャッターであることから動体に対して弱いと言われていて、結構叩かれていて可哀想だなと思うことが多いです。一方でfpだって弱点だらけなのに「ピーキーなところが良い」とか「使いこなすのが難しいけどそこがいい」とかみんなに甘やかされてムカつきます。ピーキーって言い方がずるいですよね。使いこなすのがオシャレ、みたいな。
S9はS5iiと同じバッテリーが搭載されているのでバッテリー持ちが良いし、強力な手ぶれ補正を持っているので動画撮影もめちゃくちゃ強いです。fpにはいずれもが搭載されておらず、特にバッテリー持ちは本当に悪いらしく、一度の旅行にバッテリーを3個は持っていきたいと言われる始末。まるでGoproのような持ちの悪さ。
あとは作例を見ているとすごく思うのですがfpってグリーンの色を出すのがかなり下手じゃないですか?デジタルグリーン的な黄緑色にすっ転ぶ傾向があると思っていて、特に植物の写真がボケて写ったときにその現象が如実に出ていると思います。S9にもfpにもカメラ内で写真をリアルタイムLUT的に編集してくれる機能がありますが、色味の自然な表現力に関してはS9に軍配が上がっていると思います。


なのにS9はfpに一生勝てない理由
僕の主観で言わせて貰えばS9がこれだけ叩かれてfpはお咎めなしなのはひとえにfpが美人だから贔屓されてるんじゃないの?と思っちゃうのですが、どうなんでしょう。
S9とfpを並べるとサイズ感の違いはあれどかなり似通っています。デザインの方向性というか、目指すべきところ(ライカ的な)は同じ。5年前のカメラとこれだけ2択で悩まれるってどうなの?S9がんばれ!って思っちゃうのですが、それだけ立ち位置が似ているということなのでしょう。
しかし実際にそれぞれ手にしてみると質感が全く違う。
涙が出るくらいS9の方がチープなのです。とにかくプラスチッキー。
S9を触ったあとでfpを触ると、「高級カメラを買うのに20万出すんだったらどう考えてもこっちだよな」とfpを手に取ってしまう。そのくらいS9とfpには質感の隔たりがあります。そう、まるでオモチャと本物のような大きな隔たりが。
軽量化したいのはわかるけど底面を爪で叩くとカチカチとプラスチックの音が鳴り、背面の操作ボタンの押し心地も貧相で、まるで2万円のコンデジのような質感。ゆるゆるのボタン。華奢なリング。本当にコンデジみたいなんですよ。これって軽量化のためだけじゃないですよね?
僕だって写真撮影せず、ただ観賞用として持っておくのなら間違いなくS9ではなくfpを買っています。S9は中国製だけどfpは福島県会津製だしね….。
結論として、S9はカメラとしてはfpに勝っていますが、プロダクトとしてはfpに惨敗しています。ファンの数を見ればそれは一目瞭然でして。悔しいですが。

S9の致命的な弱点
これまで語ってきた通りS9はファインダーがないとか電子シャッターだとか、ふるふわ向けの広告を売っているくせに高いとか、SDが1枚しか入らないとかバリアングル液晶だとか悪口を散々叩かれているカメラですが、全ては気軽に持ち出せるコンパクトで究極に軽量のミラーレス一眼のためだと言われればぐうの音も出ないわけです。
そして僕はそのことに納得していて、別に高速で動くラリーカーを撮影する予定もないし、フラッシュをたいて人物を撮る予定もないため、軽くなるならそれいいじゃん(文句があるならS5iiを買え)と思うわけです。
ただ、そんな僕からみても明らかにこれは挽回のしようがない致命的な弱点だと思っているのが前述のプロダクトとしての強度、つまりは高級感です。
かつてのキムタクのNikonのCMのように「すげえ…やっぱいいな…ニコン…」と独り言を言いながら自室でカメラを撫でたり、眺めたり、意味もなく構えてズームさせてみたり…そういうことをついついしたくなるような工業製品としての色気がこのカメラにはない….。(たぶんNikon Zfにはあるし、SIGMA fpにもある)
いうてもこのカメラは23万円くらいする十分高級品の部類であり、海外旅行できるくらいの金額なわけです。そしてそれより安い価格でfpは国内製品ではるかに質感の高い製品を販売しているわけで、それって軽さのためには仕方がないで済むんですかね、Panasonicさん….?

まぁいいんですが(よくはないが)、チープな外観のカメラです。
いくらデザイナーがかっこいいライカのようなシルエットを追求しても素材がめちゃくちゃプラなのでどうしようもない。しつこいようですがfpとの決定的な差はここになります。製品としての強度。所有欲を満たしてくれるプロダクトとしての完成度。人に語りたくなる、自慢したくなる物体としての美しさ。それらをS9は持ち合わせていない。
それはファームウェアアップデートできるものではなく、それだけに僕は残念です。あー、なんか、書いててfpが欲しくなってきましたよ笑
性能としてはS9の方が使い勝手の点において(というかほとんどの機能性において)S9のほうが使いやすいのでS9を使うとして、家で愛でたりプロダクトとして手元に置いておいて所有欲を満たすためにはfpを…みたいな。

それでも僕はLUMIX S9を愛用してます。
記事をアップしてから半年、気づけば「LUMIX S9」で調べると、Panasonicの公式ホームページの次にこの記事が出るようになっていました。えっ怖!価格.comより先に出るんか。
このままだとPanasonicに消されるかもしれないので、フォローもしておきます。なんといっても僕はLUMIX S9を愛用しているので。
今年の3月にLUMIX S9を引っ提げて新婚旅行に行ってきました。
レンズはS14-28mmと20-60mmのキットレンズ。ただ、基本的に20-60mmでほぼ全ての旅行写真を賄うことができ、これまでのカメラ人生のレンズ取り替え作業は一体何だったのだと立ち尽くしました。そして何よりS9の軽さよ!軽さって本当に正義なのだと思いました。
ここまでの記事で本体やボタンのチープさを叩いてきましたが、旅行で痛感する軽さのありがたさ、これには変え難いところがあります。
今でも小旅行でも遊びに行くのでもLUMIX S9を引っ掴んで出かけます。
今日はここまで。
▼めっちゃ面白い鈴木ユートピアのポッドキャストはこちら
▼カメラ好き9人による大ボリュームのエッセイを作りました!
▼大好評!鈴木ユートピアの最新の写真集は通販から!
