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「封印された校舎 ―― 旧白銀学園の呪い」③

第3話「地下への扉」

吉田副学長との緊張した対話を終えた琴音は、翌日の放課後、健太と共に図書室へと向かった。二人の胸の内には、村上先生から聞ける情報への期待と不安が入り混じっていた。

図書室に入ると、村上先生は既に待っていた。周囲を警戒するように見回してから、彼女は小声で話し始めた。

「あなたたち、オメガ計画については何か分かったかい?」

琴音と健太は互いに顔を見合わせ、これまでの調査結果を簡潔に説明した。琴音は自身の不思議な体験についても、躊躇いながら打ち明けた。

村上先生はため息をつき、深刻な表情で語り出した。

「オメガ計画は、50年前に白銀学園で秘密裏に行われていた実験よ。生徒たちの潜在能力を引き出し、スーパーエリートを育成するという名目だったわ」

「潜在能力...?」健太が首をかしげる。

「そう。テレパシーや透視、未来予知...そんな超常的な能力よ」

琴音は息を呑んだ。自分の最近の体験と重なる話だった。

村上先生は続けた。「でも、その実験には予期せぬ副作用があった。生徒たちは次々と精神を病み、最悪の場合は...」彼女の声が途切れる。

「不審死...」琴音が小さく呟いた。

「そう。でも、学園側は真相を隠蔽し、旧校舎を閉鎖したのよ」


「でも、なぜ先生がそこまで詳しいんですか?」健太が鋭く質問した。

村上先生は一瞬躊躇ったが、決意を固めたように話し始めた。「私の姉が...オメガ計画の犠牲者の一人だったの」

琴音と健太は言葉を失った。村上先生の目には涙が浮かんでいた。

「だから、あなたたちに協力したいの。でも気をつけて。吉田副学長は当時のオメガ計画に深く関わっていた人物よ。彼はまだ、計画を復活させようとしているかもしれない」

その時、図書室のドアが開く音がした。三人は慌てて会話を中断した。

幸い、入ってきたのは他の生徒だった。しかし、村上先生は慎重を期して立ち上がった。

「これ以上ここで話すのは危険ね。この本を参考にしてみて」そう言って、一冊の古い本を健太に渡した。

琴音と健太が図書室を出ると、廊下で吉田副学長とばったり出くわした。

「おや、藤原さん、佐藤君。こんな時間に図書室とは、熱心だねぇ」

その目は二人を射抜くように鋭かった。

「はい、テスト勉強をしていました」琴音が取り繕って答える。

吉田副学長は怪訝な表情を浮かべたが、それ以上は何も言わずに立ち去った。

その夜、琴音と健太は電話で長話をした。

「村上先生から借りた本、中身はどうだった?」琴音が尋ねる。

「それがね...」健太の声は興奮気味だった。「表紙は『白銀学園の歴史』って普通の本なんだけど、中身は暗号みたいになってるんだ。でも不思議なことに、読んでるうちに意味が分かってきたんだ」

「え?どういうこと?」

「うん...説明しづらいんだけど、頭の中に直接情報が入ってくる感じ。そしたらね、旧校舎の地下への入り口の位置が書いてあったんだ!」

琴音は息を呑んだ。「じゃあ、明日...」

「うん、調べに行こう」

翌日、放課後。二人は人目を避けながら旧校舎に忍び込んだ。健太の指示通りに進むと、音楽室の片隅に小さな扉を発見した。

「ここみたい...」琴音が扉に手をかけた瞬間、激しい頭痛に襲われる。

目の前に、過去の光景が浮かび上がった。白衣を着た大人たちが、泣き叫ぶ生徒を無理やり地下へ連れていく。その中に、若き日の吉田副学長の姿があった。

「琴音!大丈夫か?」健太の声で我に返る。

「う、うん...また、過去が見えた。健太、ここで本当に恐ろしいことが起きていたみたい」

二人は覚悟を決めて扉を開けた。そこには、暗く狭い階段が続いていた。

懐中電灯を頼りに降りていくと、突如として冷たい風が吹き抜けた。そして、どこからともなく低い唸り声が聞こえてきた。

「なっ...何の音?」健太の声が震える。

階段を下りきると、そこには広い空間が広がっていた。壁には無数の配線が走り、中央には巨大な装置が鎮座している。その周りには、まるで棺桶のような小さな箱が何十も並んでいた。

「これが...オメガ計画の正体?」琴音が恐る恐る近づく。

突然、装置が唸りを上げ、青白い光を放った。琴音と健太は驚いて後ずさる。

「まさか...まだ稼働してるの!?」

その時、階段の方から足音が聞こえてきた。誰かが近づいてくる。

琴音と健太は慌てて隠れ場所を探す。しかし、この密閉された空間に、逃げ場はどこにもなかった。

足音はどんどん近づいてくる。二人の心臓が高鳴る。

そして、階段の出口に人影が現れた。

「やれやれ、ここまで来られるとは...さすがだね」

吉田副学長の冷たい声が響き渡った。

(第3話 終)


第4話につづく

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