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「封印された校舎 ―― 旧白銀学園の呪い」④

第4話「覚醒する能力」

地下室の冷たい空気が、琴音と健太の背筋を凍らせた。吉田副学長の姿が、薄暗い階段の出口に浮かび上がる。

「よく来たね、藤原さん、佐藤君」吉田の声には冷笑が混じっていた。「君たちの好奇心には感心するよ。だが、ここからは危険すぎる」

琴音が一歩前に出る。「副学長、これは一体...」

「オメガ計画の中枢だよ」吉田が言葉を遮る。「50年前、我々は人類の進化を目指した。そして今...」

突如、中央の巨大装置が唸りを上げ、青白い光を放った。琴音の頭に激痛が走る。

「うっ...!」

琴音の目の前に、幾つもの映像が走馬灯のように現れる。泣き叫ぶ生徒たち。白衣の研究者たち。そして...若き日の吉田の姿。

「琴音!」健太が彼女を支える。

吉田の目が見開かれた。「まさか...君にも能力が?」

その瞬間、健太の頭にも激しい痛みが走った。「ぐっ...」

彼の脳裏に、大量の情報が流れ込んでくる。オメガ計画の詳細、被験者たちの記録、そして...装置の仕組み。

「健太!」今度は琴音が彼を支える番だった。

吉田は二人を見つめ、呟いた。「君たち...まさか第二世代...?」

琴音は歯を食いしばりながら問いかける。「副学長...なぜこんなことを? 多くの生徒が犠牲になったはずなのに!」

吉田の表情が僅かに揺らいだ。「君たちには分からないだろう。人類の進化、超人の誕生...それは犠牲を払うに値する崇高な目標なんだ」

「嘘だ!」

突然の声に、三人が振り返る。そこには村上先生の姿があった。

「村上...」吉田の声が低く唸る。

村上先生が一歩前に出る。「吉田、もうやめなさい。あなたの野望のために、どれだけの若者が苦しんだと思う? 私の姉も...」

その言葉に、吉田の表情が歪んだ。「千代子...」

琴音と健太は息を呑む。村上先生の名前が千代子だったことを、二人は初めて知った。

千代子が続ける。「姉は、あなたを信じていた。でも、あなたは彼女を実験台にした。そして今、また新たな犠牲者を...」

「違う!」吉田が叫ぶ。「私は...私たちは人類の未来のために...」

その時、中央の装置が激しく振動し始めた。アラームが鳴り響く。

「まずい、装置が暴走する!」健太が叫ぶ。彼の頭に流れ込んだ情報が、危険を察知させたのだ。

琴音が装置に近づく。「これを、止めないと...!」

彼女が装置に触れた瞬間、強烈な光が部屋中を包み込んだ。

琴音の意識が、別の次元へと引き込まれていく。そこには、過去の被験者たちの魂が渦巻いていた。

「助けて...」「苦しい...」幾つもの声が、琴音の心に響く。

琴音は叫ぶ。「みんな...私に力を!」

現実世界では、琴音の体が青白い光に包まれていた。

「琴音!」健太が彼女に駆け寄ろうとするが、吉田に腕をつかまれる。

「待て!彼女は今、装置と共鳴している。邪魔をすれば...」

千代子が低い声で言う。「琴音さんは...過去の犠牲者たちの想いを受け止めているのね」

光の中で、琴音の姿がゆっくりと浮かび上がる。彼女の目は、どこか遠くを見つめている。

「もう...誰も苦しませない」

琴音の声と共に、装置のアラームが止まった。青白い光が消え、静寂が訪れる。

琴音がゆっくりと目を開ける。「みんな...解放された」

健太が彼女を抱きしめる。「琴音...無事で良かった」

吉田は膝をつき、うなだれていた。「私は...何をしていたんだ...」

千代子が彼に近づく。「吉田...まだ遅くないわ。全てを明らかにして、償いをするの」

琴音が吉田に問いかける。「副学長...本当の真実を教えてください。私たちに、そして...学園のみんなに」

吉田はゆっくりと顔を上げ、深いため息をついた。「分かった...話そう。全てを」

その時、地上から物音が聞こえてきた。警察のサイレンだった。

千代子が言う。「私が通報したの。もう、隠し立ては終わりよ」

琴音と健太は顔を見合わせた。長い闘いが、ようやく終わりを迎えようとしていた。

しかし、これで全てが解決するわけではない。明らかになる真実、そして琴音と健太に芽生えた不思議な力...。

彼らの物語は、まだ始まったばかりだった。

(第4話 終)


第5話につづく


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