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楽曲類似度検査でパクリ回避しよう!(Suno Studio と権利問題を添えて)


Suno Studio来ました!

ちょっと話題に乗り遅れた感ありますが…
来ましたね!トラックごとに分離して MIDI にできてダウンロード可能、Web 上からでも分離したものを編集して入れ替えたりとか、普通に DAW っぽく使うこともできそうです。
まぁでもそこまでやるなら DAW に普通に落としてそっちで編集して…ってやるほうが楽かもしれないので、これを本格的に使う層はどの辺なんだろうなぁ、と思いつつ使ってみたい気はすごくしてます(DAW使えないけど)。

ただ、残念ながら上位のお値段倍の Premiere プランしか使えないということで、Pro Plan 契約しちゃっている自分はどうしようかなぁ、と悩み中です。年契約しちゃってるからなぁ

一番お高いプランのみ…

そもそも、以前はただのクレジットが4倍なだけの Premier プランは、それほど消費しない自分は意味ないな…と思ってたのですが、この差別化を考えてたんですね。これなら納得。既に詳しく使ってみてくれている人の記事も上がってますが、ちょっと別の件もあって、これを契約するのは中断してます。そっちの話は進展があったらまた後程。


生成AI楽曲の権利について思うこと書いてみる

Suno Studio が来たよ、っていうのだけだと内容が薄すぎるので、全然関係はないのですが、このネタを書いてみることにします。この手のは炎上し気味らしいんですが、まぁ書きたくなったので書いてみます。(筆者は全くの法律の素人なので、鵜呑みにはしないように。嘘合ったらコメントで指摘ください)

さて、生成AIに関する裁判は、特に海外においては沢山起こされています。Suno AI や udio に及ばず、OpenAI から midjourney に至るまで、ありとあらゆる生成AI のサービスが訴訟を起こされていると言っては過言ではないでしょう。そしてその殆どの訴訟は現在進行形です。これらの裁判を纏めて週ごとにレポートに纏めているところがあるのでご紹介します。

ここに上げられている企業を見ると、実に多くの幅広い訴訟が起こされているのが分かります。その多くは裁判の過程で正当(つまり購入などでの)ではない著作物の入手による学習を行ったという表明しつつも、被告側はフェアユースを盾に、原告側はフェアユースにあたらないと反論を武器に論戦を繰り広げており、僅かに出ている判決から見るにポイントはトランスフォーマティブ性と市場への損害の立証の二つにあるとみられています。このうち、特に聞き慣れない前者が重要とされており、これは【「原著作物そのものの単なる複製や置き換え」ではなく、“本質的に新しい目的・機能・表現”を持つよう変容”(=transform)しているか】という意味があります。つまり、どれぐらい単なるコピーではないかということが重要ということです。

Suno や udio の訴訟でも無許可で楽曲を学習していることを表明しており、上記と同じような議論をたどっています。なのですが、過去の記事から手繰って見ると、ここ数ヶ月は殆ど動きが無いことがわかります。これ、実は水面下で契約交渉がされているという報道があり、そのために裁判自体は保留状態になっているとみられます。その交渉内容は殆ど明らかになっていませんが、当初夏頃と想定されていたものが遅れているのでは?とささやかれており、実際に未だ進捗の状況は聞こえてきません。
このあたりは以下のリンク先のForbsの記事に詳しく書かれていますが、この交渉の中では大手レーベルと Suno / udio の契約は単にお金的な解決のみならず、その楽曲がどこからの由来であるかを示すための出自の明確化(と、それによるライセンス料の取り決め)について議論しているとみられ、恐らくその技術的/金銭的な解決に時間が掛かっているものとみられます。また、直接の影響はイマイチはっきりしませんが、最近のトランプ政権によるAI企業寄りの規制緩和への方向転換との関連も噂されています。ともかく、その曲の生成に影響を与えた曲を明確化し、それに対するライセンス料を徴収するというモデルの構築を行おうとしていることは確実で、これはかつてのストリーミングサービスの裁判を彷彿とさせます。

営利企業のレーベルとしては(日本でありがちな)違反しているから使うな!というよりも、使っているなら正当な代金を払えという方向性ですから、その楽曲の依拠性を明らかにした上で支払って貰う、アーティストはイヤだったらオプトアウトするということになりそうです。個人的な感想で言うと、この楽曲はどの影響を受けたのかが明らかになるのは興味深く、この方針は大賛成でむしろ早く決着付けてほしいという気持ちさえあります。無断で大量に盗み聞きしためちゃ凄い聖徳太子が小銭程度のお金で大量の作曲依頼を高速にこなしている現状は、技術的にはともかく権利/お金的にはあまり良くない状況にあるといえるでしょう。ただ、前回のストリーミングサービスの時と同様に、小規模レーベルや個人アーティストなどが議論の蚊帳の外に置かれそうなのか問題提起されているようです。
技術的なところで言うと、楽曲の判別にはフィンガープリンティング技術(YouTube のコンテンツID的なもの)とアトリビューションレイヤー(音楽の依拠性を纏めた情報)で、精度はともかく実現は問題無くできるとは思うので、あとはこれらのエコシステムの確立が問題なのではないかなと思っています。

コンテンツホルダーたるレーベルとAI企業の間はこの裁判/契約で決着を迎えるとしても、実際に生成された楽曲を公開しようとする Suno などのユーザーにはまた別の問題があります。つまり、その楽曲の依拠性の問題がクリアになったとしても、似た曲(類似性が高い)が偶然でも出来てしまった場合にそれを公開/販売することは、たとえ生成AIを使って無かったとしても問題に繋がる可能性があります。日本では今年春に文化庁が生成AIに関する指針とも言える「AIと著作権に関する考え方」を発表しました。これは法律ではないので強制力はないのですが、そもそも生成AI周りの権利の扱いがあやふやなための指針の発表なので、実際の裁判の際には参考にされる可能性が高いのではないかなと思います。

この内容はかなり濃いので読むのは大変なのですが、これをほどよく噛み砕いて説明されているサイトが幾つかあるので、その中の一つをご紹介しておきます。

似ている楽曲の探し方はどうやって探す

著作権侵害の回避方法

ここまでで、上図の下側 1. についてはお話ししてきました。左上の 2. については、利用者つまり我々と Suno AI のようなAI企業との契約によります。例えば Suno の場合には、無料利用の場合には商用利用不可ですが、有料契約すると商用利用OKとなります。udioの場合には無料利用の場合には udio で生成した旨を明記すればOKなど、各社によって違いがあります。これは契約に従い利用することで大丈夫と思います。
で、残るうち右上の 3. の著作権侵害の回避方法がこの章のテーマです。4. は最後にお話しします。いくら生成された楽曲に依拠性がなく、偶然の産物であったとしても似てしまった曲は問題となるケースがあります。これを回避する方法はあるのか?ということです。このような同じ楽曲の判定方法は実は世の中に幾つかあり、例えば YouTube のコンテンツID(他人の曲を使った動画をアップロードすると自動判定されて表示される)もその分類の技術の一つです。また、業者向けにはそのようなサービスを提供している会社がいくつもあります。ただ、これを個人が利用出来るものとなると数は限られています。ここでは3つ紹介します。

KENDRIX

なんとJASRAC様が作ってた
ACRCloud使ってるんやね

あのJASRACが運営している音楽の存在証明/ID管理のサービスです。Blockchain技術などを活用して2022年からβで運用開始しています。KENDRIX は幾つか機能ありますが、そのうちの音源類似チェックというのが目的の機能で、一応まだα版という扱いです(多分結構前からα版のまま)。JASRACということで、JASRAC管理外の曲(NexToneとか)はチェックできないですが、日本語曲のチェックならまずこれでOKかとおもいます。他にそのままJASRACに著作権管理を委託もできたり、配信サイトとリンクしてお披露目ページも作れる機能もあります。
KENDRIX ってアカウント種別が3つあるんですが、何故か全種別が無料なんですよね。アカウント登録だけで使えるベーシックでの利用で月4件(検査した曲が非該当であれば検査権が半分戻ってくるので、全部非該当なら付に8件)までチェックできて、更に上のビジネスプラン/ビジネス+なら月10/16件(全曲非該当なら多分月20/32件)検査できます。ただし、上位のプランは本人認証で身分証明書のアップロードなどが必要となります。

全部無料!

検査は数分程度で完了し、該当か非該当かのみ表示されます(該当したことないから、他に表示されるかもだけど)。ちょっとUIの挙動が一昔前感があるのですが、検出サイトとしては申し分ないと思います(その他の機能はあんまり使ってない)。実際に検出してみた結果が以下です。該当ありかなしかだけが表示されます。

該当なし!やったね!


なお、後述のACRCloudと連携している(バックエンドで使ってる?)らしいです。というかこのサービスのお金はどこで賄ってるんでしょうか…
ほかにも無駄に(失礼…)プロフィール機能があったり、妙なところが充実してます(アーティスト単位になっちゃうものの、見栄えは DistroKid の HyperFollow よりいいかも…)

かっこええやん…

AHA Music

https://www.aha-music.com/

超簡単に検査できるよ

次は AHA Music ですが、これは超簡単。ファイルをドラックアンドドロップするだけです。ブラウザ拡張を使って、YouTubeで流れている曲を調べたりもできるみたいです。KENDRIX でも書かれてましたが、AHA Music でも
Privacy Policy をクリックするとACRCloudが出てくるので、こちらもACRCloud をバックエンドで使っているようです。利用は無料(アカウント登録も不要)
世界最大規模、1億曲以上の楽曲フィンガープリントDB(多分これが ACRCloud由来)による楽曲認識を謳っており、海外のサービスなので海外の楽曲との一致も確認してくれそうです。ただ、動きを見ていると完全一致じゃないと検出しなさそうな雰囲気があるんですが、どうでしょうね…

Maroofy

https://maroofy.com/

Maroofyさん、戻ってきて

こちらは類似曲を探してくれるサービスなんですが、重複した楽曲ではなく似た雰囲気の曲を探してくれます。なので、まあ、そんなもんか…という結果がでるらしいのですが、ここ最近ずっとアクセス出来ない(日本からだけ?)状態が続いていますので、使える状態になったらまた評価してみたいと思います。

MIPPIA

次にご紹介するのが MIPPIA が提供する類似音楽検査サービスです。
このサービスはどちかというと上級者向けで、単に似ているかどうかだけではなく、類似部分の提示や類似度まで詳細なレポートを表示してくれるので、見ごたえはかなりあります。全体的な類似度や区間毎の類似度の表示の他、比較のためのコードの解析や類似区間をUI上から視聴したり、類似と言っている動画をYouTubeで見たりもできます。実際に似ていると部分判定された曲を聴くと、ああ、そう言えば似ている…かも… といった感想です。部分判定では結構スコアが高く出ても、結局総合類似度は全然低い、みたいなスコアリングしてるようです。

細かく検索してくれるし、比較して聞くのも便利になってる
コード分析まで!

他に、MIPPIA にアップロード/登録した楽曲が利用されていないかモニタリングする機能や、登録した楽曲がAIで作ったかチェックする機能もあります( Suno AI で作った曲をチェックしてみたら、当然にように AI で作ったでしょ、って表示された)。こちらも無料登録で5曲まで、類似チェック、AIチェック、のみが利用可能で、詳細検査の一部機能は使えないです。盗作モニタリングという機能もありますが、最初の1ヶ月のみ利用可能で。
実際に使うことを考えると、とりあえず総合類似度を見るだけで十分かなと思います(部分類似度は参考程度)が、金額が結構高いので契約は悩みどころかもしれません(今のところ自分は KENDRIX で十分)。レポートを見てると凄く面白いんですけどねぇ。数ヶ月だけ登録してみようか..と考えてみたりしてます

結構高いね…

ちなみに MIPPIA は韓国製だからでしょうが、英語UIでもところどころ韓国語が表示されるというバグがたまに見られるようです。

ACRCloud

最後は、これまでにも何度か名前が出てきていた類似度検査サービスの ACRCloud です。これまでのものはどちらかというと一般ユーザー向けでしたが、こちらは他のサービスのバックエンドで使われることからも分かるように企業向けのサービスで、お試しに限り個人で利用することも可能です。実際に契約するためには要ご相談のようなので(金額非公開)、完全に企業向けのサービスのようです。お試しで使う場合には、メールアドレス、電話番号などを入力すると、類似度検査サービスについては14日無料で使うことが出来ます。ログイン画面が既に初心者お断り感がすごくて、ログインしてすぐにログアウトしちゃいたくなる気分に駆られます。

シンプル過ぎる

ですが、ドキュメントは比較的しっかりしているので大丈夫です。画面一番上の Docs から Get Started→ Console Tutorials → Recognize Music を選んで下の方にスクロールして File Scanning (Programming skills not required) がお目当ての機能です。スクリーンショット付で詳しく手順を書いているのでグーグル翻訳で読むとすぐに使えるようになります。適当に bucket を作ってそこにファイルをアップロードして検査を開始するだけです。手持ちの楽曲で既にリリース済みの週末デッドリフトをアップロードして検査してみたところ、バッチリ引っ掛かりました!なお、この曲は DistroLock しているからか、ちゃんと ISRC や Label も表示されてますね。

検出した!

検査結果から察するに Offset とかいう文字があるので、一部分のみ合致、みたいなケースでも検出してくれるみたいです(後で試してみよう)。また、マスタリングをちょっと変えただけの曲でもちゃんと検出してくれてましたので、その程度の変更であれば検出可能なようです。
他にも API が提供されていたりなど、がっちり業務用(大量に処理する人向け)でシンプルな構成ですが、ちゃんと検出されるのは確認できました。この機能が、例えば KENDRIX などの検査は裏でこれのAPIを叩いているのだと思います。他にも類似度検査サービスをご存じの方がいれば教えてください!


おっと、せっかくですので上の「週末デッドリフト」の Music Video がございますので、よろしければクリックして聴いていってください。

ちなみに曲だけのほうはこちら


あれ?でもそもそも著作権ってあるの?

AI作曲の楽曲に対して無断で利用してはいけません的な記載を見ることがありませんか?でも実は日本を含む多くの国では100% AI によって作曲した曲に対して著作権は認められていません。
米国など多くの国も同じ方向性ですが、現行の日本の著作権法は「人間の創造性」を保護の前提にしているためです。ですので、100% AI作成の曲は、現時点ではフリー素材とあまり変わらないし「無断利用NG」の表記も(著作権上は)意味を成さないということになります。これが上にあった図の 4. の点線矢印の意味になります。

これは逆に言えば創作を加えた場合は著作権が認められる可能性があるということであり、つまり、人間の創作的寄与があればその人間が編集したり、メロディやリズムの調整などのような編集・加筆部分に対してのみ著作権保護が及ぶということになります。
JASRACも同様の立場で、AIが自律的に作詞作曲した作品は著作権登録ができないとの指針です。もし必要があれば申請された楽曲に対して創作過程の確認を行う、という運用でカバーするというコメントがあります。ですので、前述の KENDIX で著作権管理を依頼したとしても、おそらく上記の理由で依頼を拒否されると思われます。

AI生成物への権利保護拡大の必要性やAI利用に関するルール作りの声もありますが、米国は法改正には慎重でした。しかに先に述べたとおり政府の方針変更により、これらもこの先どうなるか不透明な状況にあります。
米国では NO FAKES Act や COPIED Act などAIコンテンツの透明性確保や権利保護を強化しようとする法案が提出されていることもあり、全世界的には認める方向に流れ始めている…というところなのかもしれませんね。

まとめ

ここからは完全に私感です。

AI作曲サービスの起業者たちが巨額の訴訟を起こされてなお、いやむしろ、Suno Studio のような新規の大きい機能追加をリリースするということは、このような状況も当然のシナリオのうちなのだと思います。かつてのストリーミングサービスの時がそうだったように、顧問弁護士とともに大手レーベルとの交渉を正当に完了させることによってAIによる作曲(会社)を作曲活動の表舞台にまで押し上げて成功させることは最初の想定通りなのでしょう。このへんは流石海外の企業家だなぁという感じで、日本の会社だったらとっくの昔に委縮してサービスを終了もしくは中断していることでしょう。

既に私たちのような作曲に疎いものはともかく、実際のアーティスト自体が活用し始めたということからも、普及の前夜、既にジェットコースターの最初の上り坂を登り切った頂点にいるような気がしています。今は訴訟を起こされたということと、アーティストの権利を守ると意味からも各ディストリビューターはAI楽曲の配信を止めていますが、契約がうまくまとまり、AI作曲会社の売り上げが正しく権利者に分配されるスキームが確立されれば訴訟は取り下げとなり、ジェットコースターが坂を下りてくるかのように一気にディストリビューターも配信を順次再開すると予想しています。
日本は音楽的業界的にはガラパゴス状態なので、その流れが浸透するまで海外から半年は遅れるのではないかと思いますが、いずれ同じ状況になるのは明らかでしょう。我々にできることは、生成された音楽をここにあげたような類似度検査サービスを用いて直接の著作権侵害を避けることぐらいかなと思っています。

最後に

ということで今回はかなりいつもと毛色の違う記事でした。次回は何を書くか考え中です。

それでは、良いAI作曲ライフを!

#MIPPIA #ACRCloud

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