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Googleが「直感の面接」をやめた理由 〜構造化面接という科学〜

「私は人を見る目には自信があります。」

面接官の方から、この言葉を聞くことがあります。

長年の経験。

数百人と会ってきた実績。

「会って5分で、だいたい分かりますよ。」

しかし、この「人を見る目」について、世界で最もデータを持っている会社の一つが、興味深い結論を出しています。

Googleです。

Googleは自社の膨大な採用データを分析した結果、

面接官の直感的な評価は、入社後のパフォーマンスをほとんど予測できていなかった

という事実に向き合いました。

そして彼らが選んだのが、「構造化面接」という手法です。

今日は、Googleの事例から、面接の精度について考えてみたいと思います。

「最初の数分の直感」は、残りの時間で補強されるだけ

Googleの人事トップだったラズロ・ボック氏は、著書『Work Rules!』の中で、面接にまつわる不都合な真実を紹介しています。

多くの面接官は、面接の最初の数分で候補者への印象を固めてしまい、

残りの時間を、その第一印象を確認する作業に使ってしまう。

つまり、印象が良ければ「良さを裏付ける質問」をし、印象が悪ければ「粗を探す質問」をする。

これは面接官の能力の問題ではありません。

人間の脳が持つ、確証バイアスという性質の問題です。

「人を見る目」の正体は、多くの場合、

「第一印象を信じる力」に過ぎないのかもしれません。

構造化面接とは何か

そこでGoogleが採用したのが、構造化面接です。

仕組みはシンプルで、主に3つの要素からなります。

① 全候補者に、同じ質問をする

面接官の気分や話の流れで質問を変えるのではなく、評価したい能力に紐づいた質問をあらかじめ設計しておきます。

② 評価基準を事前に決めておく

「どんな回答なら高評価か」を、面接の前に定義します。

回答を聞いてから「なんとなく良い」と判断するのではなく、基準に照らして評価します。

③ 面接官ごとの評価を独立させ、後で突き合わせる

他の面接官の評価に引っ張られないよう、それぞれが独立して評価をつけます。

地味です。

しかし、採用研究の分野では古くから、構造化面接は非構造化面接よりも入社後のパフォーマンス予測力が高いことが繰り返し示されています。

Googleは、直感を信じる代わりに、データを信じたのです。

「過去の行動」を聞く

構造化面接で中心になるのが、行動面接と呼ばれる質問です。

「あなたはリーダーシップがありますか?」

とは聞きません。

この聞き方では、誰もが「あります」と答えるからです。

代わりに、こう聞きます。

「チームが困難な状況に陥ったとき、あなたが実際に取った行動を教えてください。」

・そのとき、状況はどうだったのか

・何を考え、何をしたのか

・結果はどうなったのか

・そこから何を学んだのか

未来の約束ではなく、過去の事実を掘る。

人の未来の行動を最もよく予測するのは、過去の行動だからです。

これは、以前の記事で書いた「成果の再現性を見る」という話にもつながります。

構造化は「冷たい面接」ではない

「同じ質問を機械的にするなんて、候補者に失礼では?」

そう感じる方もいるかもしれません。

しかし、実際は逆です。

考えてみてください。

面接官によって聞かれることがバラバラで、評価の理由も不明。

たまたま話が合った人が通り、合わなかった人が落ちる。

候補者にとって、これほど不公平な選考はありません。

構造化面接は、すべての候補者を同じ土俵で、同じ物差しで評価するという、候補者への公平性の表明でもあります。

さらに、決められた質問があるからこそ、面接官は「次に何を聞くか」を考える負荷から解放され、目の前の候補者の話を深く聞くことに集中できます。

中小企業こそ、明日から真似できる

「Googleだからできるのでは?」

いいえ。

構造化面接に必要なのは、システムでも予算でもありません。

必要なのは、3つの問いに答えることだけです。

① このポジションで活躍するために必要な力は何か。

(自社で活躍している人の共通点から考える)

② その力を確認できる「過去の行動質問」は何か。

③ どんな回答なら「ある」と判断するのか。

A4一枚で十分です。

これを面接官全員で共有するだけで、面接の精度は見違えるほど変わります。

以前、MVVを採用基準に落とし込む話を書きましたが、構造化面接はまさにその実装方法です。

Valueを行動質問に変換すれば、「カルチャーフィットの見極め」も、勘ではなく仕組みになります。

Sync Ascentが考えること

面接改善のご支援をするとき、私たちが最初に行うのは、面接官トレーニングではありません。

「評価のばらつきの可視化」です。

同じ候補者に対して、面接官Aは高評価、面接官Bは低評価。

このばらつきが放置されている会社では、どれだけ母集団を集めても、選考がボトルネックになり続けます。

面接は、才能ではなく技術です。

そして技術である以上、仕組みで底上げできます。

「人を見る目」を個人の経験に依存させている会社と、組織の仕組みにしている会社。

数年後の採用力の差は、ここから生まれると私たちは考えています。

まとめ

Googleが教えてくれるのは、「優秀な面接官を集めろ」ということではありません。

直感には限界があると認め、仕組みで面接の精度を上げろ、ということです。

・同じ質問を、全候補者に

・評価基準は、面接の前に

・聞くのは意気込みではなく、過去の行動

「人を見る目」に自信がある方こそ、一度その目をデータで検証してみてください。

面接の精度は、経験年数ではなく、設計で決まります。

参考文献

・ラズロ・ボック『Work Rules!(ワーク・ルールズ!)』

・Google re:Work「構造化面接を実施する」

Sync Ascent(シンクアセント)について

採用コンサル・RPOのプロフェッショナルファーム https://sync-ascent-inc.com/

▼創業背景 https://note.com/sync_ascent/n/nc13c5ab10f65

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