第2回【税理士試験・消費税法】58点で不合格――細かい論点まで手を広げ、基礎で失点した3年目|消費税法攻略
この記事は「消費税法攻略」シリーズの第2回です。
第1回では、消費税法を4回受験し、49点、51点、58点を経て、令和6年度税理士試験で合格するまでの全体像を書きました。
第1回はこちら
【税理士試験・消費税法】49点→51点→58点→4回目で合格。最後の2点を埋めたもの|消費税法攻略①
今回は、3年目に58点で不合格となった原因を詳しく振り返ります。
点数だけを見れば、合格まであと2点です。しかし、試験後に自分の答案を振り返ると、
あと2点だった
というよりも、
「合格できる可能性はあったのに、本試験で致命的な誤りをしてしまった」
という感覚の方が強く残りました。
細かい論点まで勉強していたにもかかわらず、本試験では基礎的な部分で失点しました。
3年目は、私にとって「知識を増やすこと」と「本試験で正しく答案を作ること」は別だと痛感した年でした。
WEB講義から教室通学へ変更
1年目と2年目は、資格の大原のWEB講義を受講していました。
3年目からはWEB講義をやめ、教室通学に変更しました。
変更した理由は、今振り返ると単純です。
「教室通学の方が、合格率が高いのではないか」
WEB講義で2年間不合格だったため、環境を変えれば何かが変わるのではないかと思ったのです。
もちろん、WEB講義では合格できないという話ではありません。通学時間がかからず、自分の都合に合わせて受講できるため、仕事や家庭と両立しやすいという大きな利点があります。
ただ、私の場合は、WEB講義だと勉強を一人で完結させがちでした。WEB講義にも電話で質問できる制度はありましたが、答案や図を見せながら相談できないため、言葉だけでは伝えにくいところがありました。
教室通学に変えて実際に感じた利点については、後ほど詳しく振り返ります。
3年目の成績
3年目の専門学校での成績は、実力判定公開模試などでは上位2割から3割程度で、直前期には上位3割程度から平均付近を推移していました。
大原の全国統一公開模試では上位2割に入りました。TACの全国模試は、この年は受けていません。
1年目と2年目に比べると、成績は明らかに上がっていました。理論暗記も進み、計算問題にも以前より対応できるようになっていました。
模試で上位に入ることもあり、
「今年は合格できるかもしれない」
という気持ちもありました。
もっとも、成績には波があり、常に上位を維持できていたわけではありません。
質疑応答事例やQ&Aまで対策した
3年目は、基本教材だけでなく、質疑応答事例やQ&Aの対策にも手を広げました。消費税法では、取引の内容や条件によって取扱いが変わるため、個別事例を知っているかどうかで、判断の速さや正確性が変わることがあります。
そのため私は、
「知らない事例が出て失点するくらいなら、できる限り多くの事例を確認しておこう」
と考え、細かな取扱いまで確認しました。
ただ、当時の私は、個別事例の結論だけを覚えるような状態で、基本的な制度とのつながりを十分に整理できていませんでした。
本試験で犯した致命的な誤り
3年目の本試験では、居住用賃貸建物に関する理論問題が出題されました。
当時の問題と自分の答案に関する記憶に基づくものですが、本来は、
「課税仕入れには該当するが、仕入税額控除の対象とならない」
という趣旨で解答する必要がありました。
しかし、私は、
「課税仕入れに該当しない」
という趣旨で解答してしまいました。
「課税仕入れに該当するか」という問題と、「仕入税額控除ができるか」という問題を混同したのです。
勉強中であれば、両者が別の問題であることは分かっていたはずです。それでも、本試験では間違えました。
今振り返ると、知識が全くなかったというよりも、制度を正確に整理しないまま、記憶に頼って答えてしまったのだと思います。
本来は、次の順番で問題を分けて考える必要がありました。
課税仕入れに該当するか
その仕入税額を控除できるか
しかし、本試験中の私は、その区別を答案へ正確に落とし込めませんでした。
細かい質疑応答事例やQ&Aまで勉強していながら、基本的な制度の区別を誤ったのです。
本試験では時間も足りなかった
3年目の本試験では、時間も足りませんでした。
この年は、理論→計算→理論という解答順で進めましたが、最後に回した理論は、あと2行を残したところで試験時間が終了しました。
「あと2行を書ききれていれば」
という後悔も残りました。
この点も、4年目に改善しなければならない課題として残りました。
58点は「あと2点」なのか
本試験の結果は58点でした。
点数だけを見れば、1年目の49点、2年目の51点から、確実に合格へ近づいています。
一方で、自分の誤答を振り返ると、単純にあと2点を上乗せすればよいという話ではありませんでした。基礎的な区別を誤り、時間も足りませんでした。
出題される論点が変われば、翌年は点数が下がる可能性もあります。
58点は、合格が現実的な目標になったという自信を与えてくれました。同時に、
「油断すれば、また50点前後に戻るかもしれない」
という怖さも与えました。
「あと2点だから、理論をもう少し覚えればよい」「計算問題をもう少し解けばよい」
といった、単純な改善では足りないと感じました。
細かい論点まで手を広げたことは間違いだったのか
3年目に質疑応答事例やQ&Aまで対策したことについては、今でも評価が難しいところです。結果だけを見れば、細かい論点に手を広げた一方で、基礎的な部分で失点しました。
それなら、細かい事例には手を出さず、基本教材を徹底した方がよかったとも考えられます。
しかし、消費税法では、個別の取扱いを知っていることで判断が速くなる場面もあります。
知識の幅を広げること自体が、無駄だったとは思いません。
問題は、学習する順番と、基礎との結び付け方だったのだと思います。
まず、基本的な制度を正確に理解する
次に、その制度を問題の中で使えるようにする
そのうえで、個別事例や細かい取扱いへ範囲を広げ、同時に基礎とのつながりを確認する
当時の私は、知識の範囲を広げはしたものの、基礎との結び付けが疎かになっていました。
細かい論点を勉強すると、新しい知識が増えるため、勉強した実感を得やすくなります。
しかし、本試験で問われるのは知識の量だけではありません。基本的な概念を正しく区別し、問題文に合わせて使えるかどうかです
教室通学に変えてよかったこと
3年目は不合格でしたが、教室通学に変更したこと自体はよかったと思っています。
特に大きかったのは、講師に直接質問したり、勉強方法について相談したりできるようになったことです。とくに、答案の作成方法について相談できたことは、弱点の克服につながり、自信にもなりました。
成績が下がるたびに、勉強方法が間違っているのではないか、このまま続けても合格できないのではないかと不安になります。相談したからといって、すぐに成績が上がるわけではありません。それでも、経験のある人に状況を聞いてもらい、自分が今どこにいるのかを確認できることは、精神的な支えになりました。
また、周囲の受験生が勉強する姿を見られたことも、受験を続ける力になりました。私にとって教室通学の一番の利点は、知識を得られたこと以上に、モチベーションを維持しやすくなったことだったと思います。
3年目の不合格から得た教訓
3年目の不合格から得た教訓は、次の4つです。
知識を増やすだけでは合格できない
「分かる」と「答案に書ける」は違う
基礎的な用語や制度の区別を曖昧にしない
時間内に答案を完成させるための処理方法が必要
3年目の58点によって、合格は現実的な目標になりました。
一方で、4年目に向けて、基礎的な制度を正確に区別すること、計算問題の解き方を整理すること、時間内に答案を完成させることが課題として残りました。
4年目は、単純に知識を増やすのではなく、持っている知識を答案に反映する方法を見直しました。
おわりに
3年目の58点は、合格が現実的な目標になったことを示す一方で、知識を増やすだけでは合格できないことを教えてくれました。
4年目に向けて私が見直したのは、基礎的な制度の区別、問題を解く手順、そして時間内に答案を完成させるための方法です。
次回は、ボールペンから万年筆への変更、講師に実際の解き方を見せてもらったこと、成績上位者から受けた刺激、そして、実務経験を生かしやすい問題が出題された点について、詳しく振り返ります。
第3回 【税理士試験・消費税法】58点から見直した答案作成――万年筆と講師の解き方|消費税法攻略③
※本試験の出題内容や当時の状況については、私の記憶に基づいて記載しています。
