第3回【税理士試験・消費税法】58点から合格答案へ――時間不足と計算ミスを減らした答案作成法|消費税法攻略
この記事は「消費税法攻略」シリーズの第3回です。
第1回では、49点、51点、58点を経て、4回目で合格するまでの全体像を書きました。
第2回では、3年目に58点で不合格となった原因と、細かい論点まで手を広げながら、本試験では基礎的な部分で失点した経験を振り返りました。
今回は、58点から合格までの最後の2点を埋めるために、4年目に見直したことのうち、次の二つについて書きます。
ボールペンから万年筆に変えたこと
講師に実際の問題の解き方を見せてもらったこと
どちらも、新しい知識を増やすための勉強ではありません。
すでに持っている知識を、限られた試験時間の中で答案に変えるための見直しでした。
【第1回】49点→51点→58点→4回目で合格。最後の2点を埋めたもの
【第2回】58点で不合格――細かい論点まで手を広げ、基礎で失点した3年目
58点を取った後の二つの気持ち
3年目の本試験結果は58点でした。
結果を見たときには、
「あと2点なら、次は合格できるかもしれない」
という気持ちがありました。
一方で、
「58点だったからといって、翌年も同じ点数を取れるとは限らない」
という不安もありました。
税理士試験では、前年に58点だったからといって、翌年も点数が伸びるとは限りません。
問題との相性や、本試験での判断によっては、前年より点数が下がる可能性もあります。
3年目の私は、専門学校ではある程度の成績を取れていました。それでも、本試験では基礎的な判断を誤り、時間も足りませんでした。
そのため4年目は、
「あと2点だから、勉強量を少し増やせばよい」
とは考えませんでした。
知識を増やすことに加えて、持っている知識を答案に変える方法を見直す必要があると考えました。
4年目の成績
4年目の専門学校での成績は、実力判定などでは上位1割から3割程度で、直前期は上位2割程度から平均程度の間を推移していました。
TACの全国模試では上位1割、大原の全国統一公開模試では上位3割でした。
TACの模試では、理論が50位前後だったと記憶しています。
このときは、正直なところ、少し自信を持ちすぎていたと思います。
「今年はかなり仕上がっているのではないか」
「もしかすると、もう合格できる状態なのではないか」
そのような気持ちもありました。
しかし、その後の大原では成績が下がりました。
一度良い成績を取ったからといって、その状態を本試験まで維持できるとは限りません。
成績が下がると、
「TACの結果は、たまたまだったのではないか」
「また不合格になるのではないか」
と不安になりました。
4年目だから安定して上位だったわけでも、最後まで合格を確信していたわけでもありませんでした。
3年目の反省をどう生かしたか
3年目に手を広げた質疑応答事例やQ&Aの対策は、4年目も続けました。
3年目は、細かい論点まで勉強していながら、居住用賃貸建物に関する問題で、課税仕入れへの該当性と仕入税額控除の可否を混同しました。
そのため、
「細かい論点には手を出さず、基礎だけを徹底した方がよいのではないか」
とも考えました。
しかし、最終的には、質疑応答事例やQ&Aの対策そのものをやめることはしませんでした。
消費税法では、個別の取扱いを知っていることで、判断が速くなる場面があります。見たことのある事例であれば、問題文を読んだ段階で、処理の方向性が分かることもあります。
一方で、個別事例の結論だけを覚えていても、その前提となる制度を理解していなければ、問われ方が変わったときに対応できません。
そこで4年目は、個別事例の結論だけを覚えるのではなく、
なぜ、その取扱いになるのか
基本的な制度と、どのようにつながっているのか
を確認するようにしました。
そのうえで、答案作成や問題処理の方法についても見直しました。
1.ボールペンから万年筆に変えた
4年目に変えたことの一つが、筆記具です。
それまではボールペンを使っていましたが、理論を長時間書くと、毎回、手が痛くなりました。
そこで、ボールペンから万年筆に変更しました。
使用したのは、LAMYの濃い青色の万年筆です。当時4,000円程度だったと記憶しています。
私の場合、万年筆に変えたことで、ボールペンよりも力を入れずに文字を書けるようになり、手の痛みが大幅に軽減されました。
体感では速く書けるように感じましたが、実際に時間を測ると、大きな差が出ないこともありました。
それでも、理論を書いている最中の手の負担が少なく、計算へ移りやすかったことは大きな利点でした。なお、万年筆を使ったのは理論のみで、計算にはボールペンを使っていました。
もちろん、万年筆に変えれば税理士試験に合格できるという話ではありません。
筆記具には相性があります。ボールペンの方が速く書ける人もいるでしょうし、万年筆を使い慣れていなければ、かえって書きにくいと思います。
それでも、3年目が58点だった私にとっては、答案作成の負担を少しでも減らすことに意味がありました。
万年筆への変更を考えた当時、私は、
「理論を書く時間が2分短くなれば、その2分であと2点を取れるかもしれない」
と考えていました。
もちろん、万年筆への変更が合格につながったと断定することはできません。
しかし、大量の文字を書く試験である以上、筆記具を見直すことも答案作成の重要な一部だと思います。
2.講師に実際の問題の解き方を見せてもらった
計算については、H先生に実際の問題の解き方を見せてもらいました。
私は、固定資産関係の判定が苦手でした。
問題文に日付や取得、転用、売却などの情報が多く出てくると、それらを整理するのに時間がかかりました。
そこでH先生に、実際に問題を解くところを見せてもらいました。
どこに線を引くのか
どの情報を先に整理するのか
線表に何を書き込むのか
どの順番で判定するのか
同じ問題を解いていても、講師と自分とでは、情報の整理方法が違いました。
制度を理解していることと、問題を速く正確に解けることは、必ずしも同じではありません。
本試験では、知識があるだけでは足りません。問題文から必要な情報を抜き出し、答案を作るための形に整理する技術が必要です。
H先生の解き方を見せてもらったことで、単に正解を教えてもらうのではなく、正解に至るまでの処理方法を学ぶことができました。
なお、私が苦手としていた固定資産関係の論点は、4年目の本試験では出題されませんでした。
それでも、問題文の情報を整理する考え方は、他の論点にも生かされたと思います。
自分一人で勉強していると、自分の解き方が適切かどうか判断しにくくなります。
講師や成績の良い人の解き方を見ることで、自分の課題が知識不足だけではなく、処理方法にもあると気付くことがあります。
おわりに
4年目に見直したのは、知識の量だけではありませんでした。
万年筆への変更によって答案作成の負担を減らし、講師の解き方を見ることで、問題文を整理する手順を見直しました。
どちらも、それだけで合格を決めるものではありません。
しかし、合格まであと数点という段階では、手の痛みや問題処理の遅さといった小さな問題の積み重ねが、得点に影響することがあります。
知識を増やすだけでなく、
「自分はどこで時間を失っているのか」
「知識を答案に変えるまでの、どの段階に問題があるのか」
を確認することも必要だと感じました。
ただ、4年目に合格を後押ししたのは、自分自身による見直しだけではありませんでした。
次回は、成績上位者から受けた刺激と、実務経験を生かしやすい問題が出題されたことについて振り返ります。
そして、シリーズ全体の結論として、私にとって「最後の2点を埋めたもの」が何だったのかをまとめます。
※本試験の出題内容や当時の状況については、私の記憶に基づいて記載しています。
