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vol.264「面接のコツ。『どのぐらい驚けばいいか』を教えてあげる場。」

前回、アウトプットするときの心得として、「心を込めようとしない」「反省しない」が重要だと思っている、そして、「聞かれたことに答える」こと「自分の見解を添える」ことが、有効でもあるし案外むずかしい。実践できている人が少ない、という話をしました。

「聞かれたことに答える」の典型的な、極端に振り切った場面が
「なんらかの面接」
です。


聞かれたことにひたすら答える【だけ】の場が「面接」です。非対称の、ずいぶん不平等なシチュエーションです。
意思の疎通という意味では会話(コミュニケーション)にちがいなけど、その会話のテーマは選ぶ権利がない。相手が指定してきます。

私は、採用面接や昇格面接(練習含む)、単に大学の後輩や知人の就活の面接練習相手も含めて、「面接官の役」をやってきたほうだと思います。
たぶん、世の中の平均的な管理職の、10倍ぐらいでしょうか。

就活、転職、昇給・昇格、なんでもいいのだけど、いちばん大きな共通点は「相手に一方的に質問する権利がある」こと。
とはいえ、これも「アウトプットする場」であることに変わりません。

逆にいうと、基本が答えるだけなので、
・答えがどれだけ伝わるか。点を多く獲るか。
・答え【以外】の部分で、やはりいかに点を獲るか。
が重要になります。

ここ最近の「面接練習相手」をやったなかで、特に気づいた点をシェアしてみます。

◆「どのぐらい驚けばいいか」説明できるか。

さきに挙げた、採用面接、昇格面接で、共通して起こる現象が、
「聞かれたことに答えるだけになってしまっている」
です。

たとえば新卒学生採用で、
「ヨット部で、四国大会の新人部門で3位に入賞することができました」
と言われて、企業の面接官は、それがどの程度すごいのかわかりません。

大学のヨット部の四国大会の新人戦には何チームぐらい出るのか、地域大会から全国優勝で何段階あるのか、競技人口が何人ぐらいなのか。
ヨット1艇に乗り組むのは何人で、どのポジションがキーなのか。
ふつうは知らないからです。

たとえば中途採用で、
「法人営業のセールスとして、売上1億円、3年連続目標達成しました」
と言われて、面接官は、それがどの程度すごいのかわからない。

営業部門全体の売上規模がどのぐらいで、そのうちどのぐらいの貢献率なのか。ほかのセールスも目標達成してるのかいないのか。
業界全体が好況なのか、不況なのか。
やっぱり知らないからです。

だから答える側が、それらの情報をセットで渡す必要があります。

これを、面接練習相手役のときは
その成果エピソードで、『どのぐらい驚けばいいのか』を相手に教えてあげる、と思えばいいよ
と説明しています。

前回の「自分の見解を添える」に近い感覚です。

◆「自分の良いところ」を第三者に説明できるか。

良いところ、というと面映ゆいけど、長所・強み、どう表現してもいい。
ポイントは、「ほかの人と比べて特徴と言えること」。相対比較です。

これが案外むずかしい。さっと言える人は少数派です。

多くの人が「弱み・課題・苦手」は言える。
要因として、日本人が、というと急に主語が大きくなるけど、謙遜・謙虚を文化として教え込まれてきたことはあるでしょう。。

もう1つ、「自分をサゲているほうが精神的に楽だから」と考えています。
「自分の至らないところ」(=あるに決まってる!)を言ってるほうが、自分の気が済むし、相手の印象も悪くない。謙虚だから。
「できている部分」「強み」をいうと「いや自分できてへんやん」と突っ込まれる恐れがある。

だけど持ち時間の限られた場では、さっと言える必要がある。
30分の面接で、その人の長所短所を実地テストするわけに行かないのだから、当人に聞くしかない。

同じく練習相手役のときは、
「あなたの強みを1つだけ、って聞かれたとき用に、短い文章2,3行で(30秒から45秒ぐらいで)言えるように準備してみて」
と伝えています。
そういう練習をしたことがない(言われたことがない)人だと、けっこうびっくりされます。

◆「正解を当てる場」ではない、という視点。

共通して起こりがちなのが、面接をどこかで「正解を当てにいくゲーム」と思っている現象です。

新卒採用でも中途採用でも昇格試験でも、相手(面接官)は「入ろうと思っている世界の住人」です。

「◯◯さんが弊社に入社したらどんな仕事で活躍(貢献)したいですか」
「△△さんがマネジメント層に参加したら、どんな課題を解決しますか」
と質問しているとき、面接官は答えを教えてもらいたいわけではない。
「ホニャララ分野の事業創出で困ってたんだ、もしかしてこの人が良いアイデアを知ってるかも」なんて思っていない。面接を受ける側の100倍知識があるからです。

こうして順に書き出すと「そんなこと?」と思えるけど、面接の場に置かれるとすくなからず陥ってしまう。
「失点するわけにいかない」という圧力がそうさせるのか、比較的(というかかなり)真面目な業界・文化の企業を受けにくる、真面目な人たちだからそうなるのかもしれません。
私も自分が面接を受けるのはあまり得意ではないので、心理はよくわかります。

同じく、
相手(面接官)は、自分も知らない正解を教えてもらおうなんて思ってないよ。『どんな答えを打ち返してくるか』を見られてるよ
と伝えています。

◆非言語情報も「採点」されている。

感覚的には、様々な面接で、この「どんな答えを打ち返してくるか」が、採点の半分を占めていると思っています。

面接あるある以外の、非定型の、事前準備の難しい質問に、何と答えるか。
答えが見つからないときにどう振る舞うか。
ずっと喋ってるか。沈黙できるか、間(ま)を取れるか。
面接官と対等に、立ち向かって会話してくるか。

「どう打ち返してくるか」を見ている。

面接とは、端的にいうと
「ほかの候補者よりもこの人を合格にしたほうが得かどうか」
を判断する場です。
判断するためには、相手のデータをなるべく多く取る必要がある。
しかし前述の「30分の制限時間では実地で試せない能力」を観測するには、この方法でデータを得るしかない。

だから観察して、点数をつけている。

同じく、
フィギアスケートのフリーと同じ。8つのジャンプも採点されてるけど、その間の時間、指が伸びてるか、ジャンプの高さ、ぜんぶ採点されてると思ったらいいよ
と説明しています。
面接が終わって姿が見えなくなるまで観察されているよ、ということです。


仕事に就く面接をどう受けたらいいか」は、少なくとも私の時代の学校教育ではメニューそのものが無かったと記憶しています。
小学校から大学までの「授業の時間」を仮に20,000時間として、1分もなかった(注:現代の高校や大学だと授業があるのかもしれません)。
なのに、新卒就活、転職、昇格昇給、と、人生の自由度を手に入れるイベントに大きく効いてくる。社会に出ても(たぶん)教わる場が少ない。

だから、「役に立ってんのかなぁ」と内心で思いながら、微力ながら/自信ありそげに、縁があって面接官(の役)で出会った人に知ってることをシェアするようにしています。200回か250回か、試しては微修正しているから、自分の中ではもっともフィードバック回数を重ねている分野です。

いちばん大事なことは、「自分という商品について、世界いち詳しいのはほかの誰でもない、あなた自身だ」という事実です。※回を分けて書きます。

以上、最後までお読みくださったかた、ありがとうございます。(しかし暑いですね、今年の夏)
一言、コメントを残していただけると、「読んでくれた人がいるんだ!」と、励みになります。

ありがとうございました。

追記:「面接というゲーム」の抽象化。

面接とは、
1.不平等で立場は弱いのだけど、そこを心理的に対等に相対できるほど勝率が上がる。※猛犬を、怖がらないと危険が減り、怖がっているのが伝わると危険が増すのに似てる。
2.自分をなるべく高く売るか、でなければ仲良くなる(好かれる)か、どちらかで、同じく勝率が上がる。
そういうゲームだと捉えています。


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