vol.105「誰にでも特技はある:第三の場面、採用活動。正確には『就活支援活動』。」
先般から、「誰にでも特技・とりえはあるもの。自分自身に置き換えてみると、『人の話を 反応しながら聴いて 内容を整理する能力』がそれに当たる」という切り口のお話を何度かしてきました。
特に活きている場面が、
①メンバー(いわゆる部下)との面談。最後まで話を聴ききって、言いにくいことは言って、とにかく合意形成すること、
②トラブルの起こってるお客様との交渉、いわゆるクレーム対応を買って出て無事にゴールさせること、
の2つだ、というものでした。
第三の場面が、採用活動(というか、就活支援活動)です。
◆もっとも打ち込んだ仕事のひとつ、「就活支援」
いわゆるリクルーターとして または出身大学に呼ばれて、就活のお手伝いを、何年かにわたり注力してやったことがあります。
結果、他の企業を選んだ学生さんが「無事に入社式を経て配属されました」と1年後に連絡をくれたり、「今まで受験した中でダントツの熱さと親切さでした」と御縁がなく不合格になった学生さんから御礼をもらったりしていました。
「利害関係が消えて気を遣う必要のなくなった企業の人」にポジティブなフィードバックがあるのは、他社(他者)との差異化、一定レベルのサービスを提供できていたからだろう、と評価(棚卸し)しています。
当時から考えていたことを、すこし書き出してみます。
企業の採用活動の目的は、「優秀な人材にアピールして自社を選んでもらい、入社後は辞めずに戦力として活躍してくれること」です。
このうち、「学生さんがどの企業を選ぶか」はコントロールできない要素です。したがって企業側ができることは「好感度(好印象・ファン度)をひたすら上げること」だけです。
リクルーターの活動に置き換えると、ポイントは2つ。
1.学生さんの「就活支援」にまずは徹すること
2.社会人として培った経験値をフル動員して提供すること
です。
◆学生さんの「就活支援」にまずは徹する
採用側の立場にいると、つい自社のことをよく言ったり、他社のネガティブ情報を(さりげないつもりで)言いたくなる。目の前の学生さんが優秀・輝いている・ユニークな人物で引きつけられるほど、熱心に勧誘したくなる。気持ちはわかります。
そういうことはずっと後回しでよくて、その学生さんの就活支援役に集中するのがいい。
具体的には、自社の面接であれば一緒になって対策を考える(注:リクルーターは採用の選考に関われない。決定権を持たない)。日本の老舗大手企業だと、面談で聞かれることがある程度決まっているから、どう話せばその学生さんの良さが生きて相手に伝わるか。何のエピソードが一押しなのか整理するのを手伝う。
他の企業(※「採用」の観点からは競合)、やっぱり対策を一緒に考える。
ある業界のA社がその学生さんの本命候補だとしたら、同業他社のB社やC社との違いはなにか。強みはどうで、魅力は何か。つまり業界分析、企業分析をやる。
「なぜ当社なんですか」と聞かれたら具体的に説明できそうか。こう切り替えしたら伝わると思う、みたいな作戦会議を一緒にやる。つかの間、就活支援コンサルタント、家庭教師として、もちろん無償で、ひたすら手伝いをする ということです。(※私の例だと、航空業界、自動車、飲料、運輸、とさまざまやりました)
◆社会人として培った経験値をフル動員して提供する
大前提として「自分より若い人は必ず自分より優秀である」という法則が成り立つと思っています。
その上で、社会人としての経験=「働く」とはどういうことで、企業側はこういう視点で学生さんを見てるよ、みたいな視点は、学生さんにはまず持てない。人間はまったく経験してないことは想像ができないからです。
平たくいうと、「社会人経験が数年ある普通の人」と「すごく優秀な 社会人経験ゼロの学生さん」を比べたら、必ず「普通の社会人」が上回ってる領域がある。そこをフル活用して、惜しみなく知恵や考え方や視点を提供することで、受け取る学生さんにとっては大きな価値が生じる。
参考書籍の選びかた、考えを整理するためのツール、資料(エントリーシート等)をブラッシュアップする作業のやりかた、話し方の練習はどうすればいいか―。こういったことは、使いこなせているかどうかに関係なく、会社で何年か仕事をしていれば、知識としては当たり前に知っています。でも学生さんは知らない。視点を提供するだけで、ものすごく感謝されるよ、ということです。
2つのポイントには共通点があります。
どちらも「非対称性」を利用しているということです。
自社への誘導を度外視して、いっけん見合わないぐらいの熱量を投入する。先にコストを払う。リスクを取る。競合他社がやっていないことをやる。「まあ、こんなもんだろうな」という期待値の前提を壊す。こちらのギブを最初に"大量リード"を発生させる。
「利害の均衡」における非対称性を利用する。
「社会人の視点」に関する限り、優秀な学生さんより普通の社会人が必ず勝つ領域がある。その視点、ノウハウ、ツールを総動員して、「現在の自分にできる最高品質のサービスを提供」する。
「持てる情報」における非対称性を利用する。
この非対称性の存在に気づくこと。見つけて、濃い側から薄い側へリソースを移動すること。勝率の高いゲーム、期待値が最大化する戦い方を選ぶことは非常に重要です。採用活動(就活支援活動)にかぎらず他の分野でもっと役に立つ、絶対に必要な視点だと思っています。
就活支援については、守秘義務に抵触しない範囲で、抽象化して、またシェアしてみたいと思います。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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