地政学リスクの中で法人ポートフォリオをどう守るか
中東情勢の緊張から法人のポートフォリオの2度目のリバランスを行った。本来は数値トリガーで意思決定する予定を、今回は地政学リスクを考慮して行うことにした。
先月、財務ポリシーの考え方を適用して壊れない法人ポートフォリオへリバランスした。要はリスク資産 (株式) の比率を下げ、守備資産 (債券) の比率を上げるという意思決定をした。
そのときにリスク資産の比率を 33.3% とした。一方でさらに守備的にするのであれば 25% に減らすという提案もあった。しかし、当時はその提案を却下して、もう少し様子をみることで判断を保留していた。
今回はリスク資産をさらに減らすという意思決定をし、2度目のリバランスを行ったことについてまとめていく。
今回も ChatGPT と相談したことを自身で理解する意図も含め、本稿に整理していく。誤っている可能性があることも考慮して読み進めてほしい。
意思決定のための数値トリガー
前回の記事でリスク資産を減らすにあたり段階的な移行を行う と決めた。その意思決定のために次のトリガーを使うとよいとある。
市場構造トリガー
マクロ・金融トリガー
法人固有トリガー
このうちの市場構造やマクロ・金融トリガーの指標が次になる。参考までに2月10日と3月6日時点での数値を比較してみた。VIX (恐怖指数) 以外は大きく崩れていない。VIX を除けば、全体として悪化している傾向は読み取れるものの、初期のリスクオフ、調整段階であって、まだトリガーを発動するレベルの変化ではないという。

2026年2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃を開始 し、その後1週間が経過してどのようになったのかを学ぶために比較してみた。VIX をどう評価するか次第ではあるが、これらのトリガー指標だけではリスク資産を減らすという意思決定には至らないようにも解釈できる。
地政学リスクによるトリガー
前節で紹介した数値トリガーを設定していたものの、実際にはそれらの値を無視して、3月2日時点でリスク資産を減らすリバランスを実施すると決めた。データではなく、私の経験と直感で意思決定した。
先週末に勃発した中東情勢の変化がニュースとして出回っていたとき、楽観論も悲観論も両方あり、どちらが正しいとも言えない状況だった。どちらを選択しても正しいとも言える。
昨年末から AI 過剰投資への懸念は意識していた。但し、調整がいつ起きるかはわからない。そのため、一定のリスク資産は保持しておくという判断をしていた。その AI 過剰投資への懸念に加え、今回の地政学リスクも加わり、このタイミングでリバランスを実施すると意思決定した次第となる。
もちろんいまも開戦後1週間でこの先どうなるかはわからない。仮に楽観的に1ヶ月程度で終息するとしても、 AI 過剰投資への懸念が払拭するまではリスク資産を増やすという意思決定はしないとも決めた。
将来の状況によって利回りが減る可能性はあるが、悲観的に地政学リスクが拡大したとしても、それに伴う資産減少や心理的ストレスを低減することを優先したと言える。
ポートフォリオのリバランス
財務ポリシーの基本的な考え方が次になる。
資産評価の変動や一時的な損失によって、
事業継続・意思決定・精神状態が損なわれない状態を指す。
リバランス前のポートフォリオは次になる。
リスク資産: 33.3%
守備資産: 54.5%

今回のリバランスによって次のように変化した。
リスク資産: 24.0%
守備資産: 62.3%

前回同様、リスク資産の売却によるリバランスを実施し、売却した資金は次の比率でそれぞれのファンドに分散して購入した。
先進国債券 (為替ヘッジあり): 60%
国内債券: 30%
金: 10%
リバランス実施後の評価損益率は 3.99% となり、先月の 2.89% から上がっている。前回も確認したように、損失確定することで損益率そのものは上がる。そして、その投資損失を損益通算することでちょっとした節税になる。今回のオペレーションによって含み損はほとんど解消した。
トータルリターン以上の学び
リバランス実施後のトータルリターンは 1.19% であった。半年ほど資産運用してきて評価益が1%程度であれば、銀行に預金しておけばいいのではないか?と数字だけみればそのようにも解釈できる。
一方で資産運用や投資の考え方を学ぶために、それぞれのファンドの特性、経済の情勢、リバランスのための調査と意思決定を実際にやってみることはとてもおもしろい。私の資産運用スキルが低いがために、現時点では銀行預金程度の利回りしか得られていない。この先もずっと資産運用のスキルを磨いていくことで将来のリターンを期待するというのが資産運用を始めたことの狙いでもある。
地域分散と想定シナリオ
世の中の情勢やリスクを考えていくうちに、必然的に地域分散と比率が定まっていくように思える。
リスク資産の株式の地域分散は次のようになった。
日本株: 22%
外国株
先進国: 22%
新興国: 56%
守備資産の債券の地域分散は次のようになった。
外国債券 (為替ヘッジあり)
先進国: 64%
新興国: 16%
国内債券
物価連動: 20%
これらの地域特性も踏まえ、ポートフォリオの強みと弱みは明確になっている。これらは法人として意図した設計となる。
強み
景気後退・株式市場の急落
地政学リスク
為替リスクの抑制
インフレ耐性がある
弱み
米国株エクスポージャーが弱い
新興国株比率がやや高い
債券比率が高いので金利リスクが集中している
AI 投資の再加速・株式市場の急騰
安全資産としてのドル現金
中東情勢の変化に関連して学びがあったのでそのこともまとめておく。
この先どうなるかわからない状況において安全資産としての金の価値が上がっていくのかな?と推測していたが、どうやらそうではなかった。今回もっとも買われたのは、金でも円でもスイスフランでもなく、ドルだという。ドル指数は 1.5% 上昇したとのこと。
金の価値はこの10年で約240%上昇していて依然として安全資産ではあることに変わりない。しかし、危機の種類によっては金ではなく、ドルが買われることもあるという。
金融危機
リーマンショックのようなケース
このときは金や米国債が上昇する
地政学危機
戦争やエネルギーショック
このときはドル、原油、金が上昇する
原油がドル建てであるため、原油の価格が上がると、原油を購入するために原油輸入国はドルを買う必要がある。また米国は2010年代以降シェール革命でエネルギー輸出国でもあるため、エネルギー危機に有利な国でもある。
中長期では、金ももう少し上がっていくのではないか?と私はみている。金のネガティブな要因としては次がある。
(実質) 金価格は歴史的ピークの高値圏になっている
2019年から上昇しているので周期的な停滞へ移行する
一方で金のポジティブな背景もいくつかある。
世界の政府債務は過去最大
増税で返済できないからインフレしかない
通貨価値が下がる ⇒ 金が上がる
政府債務 / GDP の比率
日本: 約260%
米国: 約120%
EURO圏: 約90%
世界の中央銀行が金を購入
ドル依存を減らす動き
金利が実質マイナスになりやすい
実質金利 = 金利 - インフレ
金利よりもインフレが勝つ場合、債券よりも金に投資した方が儲かる
まとめ
景気がよいときはどのように資産運用しても評価益が増えていく。景気が悪いときや大きな調整が入るときに、いかに評価損を小さくするかが継続的に資産運用を成功させる上で大事であるという。というのは、大きく評価損を抱えると、投資の基本である「安いときに買う」という行動に躊躇してしまうから。
今回は地政学リスクを考慮してリバランスを行い、経済指標が大きく下落していないにも関わらず、将来の悲観的な経済状況に対して耐性をもつ構造へと変化させた。
この意思決定が将来の意思決定にどうつながるかを楽しみにしている。
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