ライオンの像|ショートショート
「昔、日本に虎とライオンはいなかったから、このライオンの石像は中国から日本に伝わった毛皮を見た人が想像で造ったんだ」
町外れにある、いつ、誰が造ったのか分からない石像を見て、おじいちゃんはいつもそう言う。
おじいちゃんはライオンと言うけど、僕には虎に見えるし、友達は「大きな猫」と言う。とにかく、僕はこの石像がどうにも苦手だ。右の前足が欠けていて、だいぶ朽ちてはいるけども、なぜか今にも動き出しそう迫力と躍動感があり、それがかえって不気味だった。
ある日、友達の家で時間を忘れて遊んでいたら、もう日が沈む直前だった。帰るには、あの石像の前を通らなければならない。僕はなるべく石像を見ないように、早歩きで通り過ぎようとした。途中でチラッと横目で石像を見た時、ある異変に気付いた。
――向きが逆になってる!
昼間は右を向いていたライオンの像が、左を向いている。まるで沈む夕日を見ているかのようで、思わず僕も、真っ赤に燃えながら山脈に沈んで行く夕日を見送った。
すっかり辺りが暗くなり、再びライオンの像を見ると、元通り右を向いていた。
それから僕は、なぜかライオンの像が怖くなくなった。
(了)
愛媛新聞の「超ショートショートコンテスト」、一般の部に応募したものです。
オチがないですね。(;^_^A
これじゃ受賞できませんって。
こちらもどうぞ。
テーマ「創作」で「CONGRATULATIONS」を頂きました!

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