「写真家」は「2畳窓付き物件を開発した人」の肩書です|あなたの肩書は何ですか
カメラマン、フォトグラファー、写真家。
”写真を撮る人”の呼び方は大きく三つあります。
どれでもよさそう?
んや、どうでもよくないと言い張ろう。
写真家は、2畳窓付き物件を開発した人の肩書です
そんなお話。
注意
今回①カメラマン、②フォトグラファー、③写真家、という”写真を撮る人の呼称”を扱います。
しかし社会一般、特に日本国内における定義と乖離することもあります。
予めご了承ください。
私個人での思想を多分に含みますので、「お前の記事読んで名乗ったけどダメだったじゃねーか!」「いままでこう名乗ってたけどダメだってのか!?」といった鵜吞みにしちゃって批判するみたいなことはおやめください。
いちペーペーの独り言ですし、特定の誰かを批判する目的はありません。
今回重点としておきたいのは、私自身が「フォトグラファー」と名乗る理由の説明です。
大げさな話ではないよーという前提でOKな方は続きをどうぞ。
「写真を撮る人」の呼び方3つ
①カメラマン
カメラマンは文字通り「カメラを扱う人」です。
日本国内において写真を撮る人の肩書きとしては、もっともメジャーかと思います。
この語にはある欠点が存在します。
写真を撮る人なのか、動画を撮る人なのか判らないのです。
そして基本的に男性にしか使えません。
英語圏でもcameramanは用いられるそうです。
しかし単純に「撮影現場内における役割としてのカメラオペレーター」の意味合いで使われる(筆者解釈)とのこと。
ここでポイントは、撮影現場がスチールなのかムービーなのかによって詳細な定義が確定することです。
またリンク内に書かれていますが、女性が同じポジションを務める場合は「camerawomen」、もしくは性別を特定しない「camera operator」とするそうです。
どちらにせよ日本語にすると違和感が拭えないなぁ…なんて。
私は語の使用方法で性別がどうというフィルターを読者にかけたくないので、この語は用いないようにしています。
あとスチール専門なので別の語にしたい。
②フォトグラファー
pictureが画像や絵画など平面的な図画一般をさすのに対し、photographは写真に限定されます。
photon(=光)+graph(=図示する)なので、光を物理的にとらえて描写する様から写真、というわけです。
(余談:pictureは映画や鏡に映った像、心象も表せる便利な語ですが専門外なので割愛)
そのphotographを撮る人なのでphotographer。
これだとスチールとビデオで区別できるので便利。
だから私はフォトグラファー。
なおビデオの方はvideographerと呼ぶそうですが、映像業界の多様化により一概にくくれないようです。(参考)
これで写真撮る人だと認識できて便利!
…ではなく欠点もあり。
それは「なんか鼻につく」という懸念です。
とりあえず横文字使っておけばええんやろ的な。
結構悩みましたが、後述する「写真家」を名乗るにはいろいろハードルが高すぎて諦めた経緯があります。
また日本国内においては「クライアントから依頼された写真を納品する」ことを仕事とする人物をフォトグラファーと呼ぶようです。(参考)
私自身、自分の作風で勝負というよりは被写体さんの好みを引き出したいので、まぁマッチしてるかなと。
③写真家
photographerを日本語に訳すとするなら写真家になるでしょう。
絵を描く人だって画家って名乗りますし。
先ほどのリンク内では「自分が撮りたいものを撮って表現するアーティスト」と記述されており、これはフォトグラファーの説明と併せていくつかのページで確認することができます。
しかしこれで済ませては面白くないので、もう少し掘り下げます。
写真家の”家”とは何でしょうか。
ほかに”家”とつく職業として、画家、書家、落語家、華道家など、伝統的な芸術作品を創作するジャンルのほか、武道などが挙げられます。
ここに共通するものとして「家元」があります。
家元(いえもと)とは、日本の芸道などを家伝として承継している家系のこと。また、その家系の当主個人を指しても用いられる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E5%85%83
家元の制度を説明する要素として、当該記事では「その内容ははなはだ多様であって一概に語ることは難しい」と前置きしつつ次のように並べています。
1.世襲による家元に流儀の芸事に関する規範性・正統性を求め、流儀の同一性を保持すること
2.家元を政治的な権威として流儀内の統率を行い、上意下達方式を中心にして流儀の運営を行うこと
3.経済的には流儀内の素人、玄人(職分)などから資金を集めこれを流儀全体のために家元が再分配するかたちをとっていること(支部で免状を出した場合、認定料の半分が本部に行き、半分が支部の手元に残る等)
4.免状発行の権限が家元にあること
5.家元個人またはその家の私的な部分と流儀の公的な部分とが未分化な状態にあり、家元の存在そのものが流儀の根幹にかかわる制度をしいていること、などが特徴として挙げられる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E5%85%83
つまり何かしら「流儀」と呼べるような体系立てられた規範が存在し、弟子や生徒などへ流儀を伝達するシステムが構築されていて初めて「家元」と名乗れます(例外はあると思いますが)。
その昔は画家も家元として成り立っていたこともあるとのこと(参考)。
この伝統を踏襲すると、写真家と名乗るには家元でないといけません。
2畳窓付きの部屋で質素な点前の「わび茶」を完成させた、千利休みたいな人が名乗れる号こそ”家”なのです。
まとめると
①~③を茶道で例えるなら、
①カメラマン:茶人も、お茶を急須で淹れる人も、紅茶の達人にも使える
②フォトグラファー:茶道を学んで、お点前ができる人の総称
③写真家:どこかの流派に属して後継者なり弟子がいる人、もしくは流派の創設者
でしょう。
現代でこの条件をクリアする写真家は存在します。
土門拳や森山大道など、歴史上の著名な写真家。
写真家へ師事し、その流儀を継承する人々。
また教室などを開き、多くの生徒へ自分の技術を伝達する人々。
こういった方々は写真家と呼べます。
翻って、自分はどうかといえば一端の独学写真撮りです。
流儀の”り”の字もありゃしません。
それなりに日本の伝統についてはアイデンティティを持っている人間ですから、たやすく写真家と名乗るわけにはいかない、というちんけなプライドです。
あなたの肩書は何ですか
肩書。
初めましての相手に、自分とは何者かを語るもっともミニマルな情報。
こと何かを発信していく人間にとっては必要不可欠なものです。
私はフォトグラファーであり、ものかきです。
これはアイデンティティーであり、存在意義であり、提供できる価値です。
枯渇している自尊心を覆い隠すための、ある種の仮面でもあり。
しかし「自分が何者なのか」を指し示すために、これ以上の語はないと思っています。
あなたの肩書は何ですか?
一般人?逸般人?ライター?デザイナー?起業家?プログラマ?
どれも素敵です。あなたをあなたらしく彩ってみましょう。
「私がこの肩書にしたのは~」なんていうストーリーを語れると素敵だなとも思っています。
憧れの人と同じもの
こうなりたいから
覚悟を決めてすこし背伸びした肩書を
そんなストーリーに共感してくれる人はきっといますから。
おわりに:言葉の用法は日々変わる
最後に語るのは遅いかもしれませんが。
言葉の使われ方というのは日々変化していきます。
たとえば「担保」。
もとは銀行などから融資を受ける際、毀損を最小限にするため、あらかじめ債権者に対して提供を約束した財産を指します。
しかし現代においては「保障」と似た意味で用いられることが増えてきており、逆に保障の意味が薄れてしまっている印象すら受けます。
(個人的にはめっっっっっちゃ気になる誤用と思うます)
あとは「範疇」とか「可能性」とか「敷居が高い」とか。
今は誤用とされつつも意味が拡張されていき、いずれ辞書の用法・用例として掲載されるかもしれないのです。
写真家だって「家元」という意味から離れ、画家と同様、単に「写真を撮る人」の意味で語れるようになる(もしくは既になっている)のでしょう。
それでも私はこだわりマン。
あくまでリスペクトを込めてのフォトグラファー名乗りを貫いていきます。
だれも気にしてないだろうけど。
おわり。
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