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プロレス写真はドラマのワンシーンだ|#スポーツ写真展

どうも、プロレスとか役者さんポートレートを撮っているたかはしです。

noteのお題で上がっていました「スポーツ写真展」を見かけて、プロレス写真部門として参加しようと思った次第です。
今回は4年間撮ってきた中で、特に印象的な写真をピックアップしてご紹介します。

写真という一瞬を切り取るツールではありますが、その裏にあるプロレスならではのドラマ。
そんな世界の面白さを味見してもらえたら幸いです。

2019年8月12日 プロレスリングWAVE 後楽園ホール大会
Regina di WAVE 選手権試合
<王者>彩羽匠 vs <挑戦者>HIRO'e

なんてことない場外プランチャなのですが、ここに至るまでのストーリー込みで思い入れがあります。
というのも、彼女はトップロープからのミサイルキックですら震えてしまうほどビビっていた過去があるからです。
練習中とかではなく、試合中でも怖がっていました。

そんな彼女が、リスクも厭わずに場外へのダイブを敢行しました。
かつて地元新潟への凱旋興行で、周囲に言われて半ば無理やり場外プランチャを飛んだときは、怖くて一度コーナーから降りてしまうなんていうエピソードを持っているのに。
タイトルマッチ、それも団体の周年興行のメインイベントという大舞台に対する覚悟が、この1枚に込められています。

2020年7月1日 プロレスリングWAVE 新木場1string大会

師匠と弟子。
プロレス界は縦社会の色が残るもので、先輩後輩の力関係は一般の企業よりも強いものがあります。
写真のベルトを持っている野崎選手は、写真手前にいる宮崎選手の後輩であり弟子です。
そしてここでは語りきれないほどの恩を抱いている相手でもあります。

この6日後に、両選手によるタイトルマッチを控えていました。
野崎選手は初のシングルタイトルを獲得、いくつかの防衛戦を経験して、飛ぶ鳥を落とす勢い。
それも女子プロレス界最強の一角である選手から奪還し、事実上団体のエースとして君臨しようという最中の一幕です。
その栄華を手にすることで示す「恩返し」は、最強の証明を掛けたシングルマッチで達成しようというものでした。
プロレスはこういうドラマがあるから面白い。

2020年3月1日 プロレスリングWAVE 新木場1string大会

「団体のエース」
聞こえはいいですが、そこに掛かる責任というのは想像を絶するものがあります。
団体対抗となった場合は特にです。

このシーンは、左の野崎選手、右の高瀬選手ともに各団体のチャンピオンであり、両団体のタイトルを掛けて2度タイトルマッチをしようという直前のシーンです。
防衛戦で負ければ地獄、挑戦で勝てば天国、というハイリスクハイリターンかつ団体の威信をかけた頂上決戦。
鬼気迫る表情や視線には様々な含みがありました。

2021年8月15日 東京女子プロレス 後楽園ホール大会
第8回東京プリンセスカップ決勝戦
中島翔子 vs 伊藤麻希

雑草魂という慣用句がありますが、まるでこの瞬間は彼女ためにある言葉のように思えました。
スター街道まっしぐらという訳ではなく、地道に一歩ずつ歩みを進めている印象。

そんな中で掴んだチャンスを逃すまいと、なりふり構わない叫びで自らを鼓舞する姿はプロレスラーの鑑だなと。
心の底から湧いて出る感情をさらけ出して、決して諦めることなく、這いつくばってでも勝利を掴み取ろうとする姿に勇気をもらえました。

2018年12月29日 プロレスリングWAVE 後楽園ホール大会
Regina di WAVE 選手権試合
大畠美咲引退試合
<王者>水波綾 vs <挑戦者>大畠美咲

女子プロレスって面白いなと思わせてくれたのが、この2選手。
気まぐれで見に行った大会でタイトルマッチに臨んでいて、圧倒的なコンビネーションでもって挑戦者を圧倒する様に魅了されてしましました。

時は流れ、いつかは来る引退の時。
全盛期での引退を宣言し、引退試合にタイトルマッチ、それも最高のパートナーにして最大のライバルと、という少年漫画顔負けのシチュエーション。
そして必殺技のラッシュでまさかのタイトル奪取、チャンピオンのまま引退という前代未聞の事態
を起こしてプロレス界を去っていきました。

このグータッチは、二人の関係を物語る瞬間です。
一時代を二人で作り上げた最高の相手に対しての称賛は、全力を出し切った上でのコレなのでした。

2020年9月18日 プロレスリングWAVE 後楽園ホール大会
HIRO'e引退試合

この年は未曾有の事態になりました。
前年の年末に引退を発表し、本来なら8月に引退をする予定だった彼女にも牙を剥きました。
数々の興行が中止、声援も出せず、紙テープや横断幕も禁止、もはや前代未聞です。

そんな状況においても、彼女は笑顔を絶やしませんでした。
決して楽観視できない状況なはずなのに、弱音を吐かず、ひたむきだったのです。
私はそんな姿が好きでした。
これまで見てきたプロレスラーで1番好きです。

理想の選手に降り掛かった未曾有の危機、そして迎えた引退の時。
悲しさはありましたが、次の夢に向けて区切りをつけられた安堵も大きかったことを覚えています。
紙テープが禁止だからペンライトで。
横断幕は直接渡して。
泣きながらシャッター切って。
この1枚を撮るために写真の腕を磨いてきた、という一心で撮った、忘れられない1枚なのです。

最後に:プロレス写真の醍醐味

プロレスには、コンテンツ自体に長いストーリーが存在します。
戦後の時代から紡がれてきたドラマなのです。
そしてそれは1試合の、たった一瞬であっても、垣間見えるものだと思っています。

私自身は物書きの性質を持ち合わせているので、こうして文章にしてお伝えできます。
たかが1枚の写真であっても、ガンガン語れるというものです。
それは他のカメラマンも同様だと思っていて、口頭だったら思い入れのある写真についていくらでも語ってくれる、そんな気がしています。

選手同士の関係、試合の背景、技の成り立ち、表情の意味…
そこに含まれるストーリーは無限に広がっています。
プロレス写真という狭い世界の話ですが、実に奥が深くて魅力にあふれているのです。
その一端でもこの記事で感じていただけていたら嬉しいです。

それでは!

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