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【EC経営者必読】 売上は伸びてるのに利益が残らない?【前編】〜ECにおけるコスト管理〜

池上です。

以前の記事「粗利、即答できますか?」でちらっと書いたんですが、白鳩で「売上は順調なのに手元にお金が残らない」という時期がありました。EC事業を始めたばかりの頃、少し軌道に乗ってきた頃に、この感覚心当たりないですか。

原因を調べたら、それは広告費でした。何と担当者がいつの間にか広告を大量に買わされていたのが発覚。2カ月後に請求書が届いて、見てみるととんでもない金額だった。

「何じゃこりゃ〜」

背筋が凍るとはこのことか。当時の月売上高の半分くらいの金額だったかと記憶しています。どう考えても非常事態宣言でした。

担当者が楽天市場のECCにうまく乗せられて、広告をガンガンと買わされていた顛末です。



ECCの正体の話から始めましょ

ECCという存在の正体はですね——楽天市場の店舗担当者のことなんですが、実は広告販売の予算を持たされており、店舗側にはそんな姿をミジンもみせることなく、予算達成するために必死で広告を売りつけている。全員が全員そうとは言いませんが、現在もその体質は残っているかと。

白鳩でその体験をしてから、それ以来私が広告担当者としてECCと対応するようにしました。担当者には申し訳なかったけど、それくらいのことをしないと守れない。

そして、気づいたことがある。「売上を上げろ」という雰囲気が社内に漂いはじめると、担当者が予算達成のためにコッソリと隠れて、無駄な広告に手をだして数字を作ろうとする。最悪の場合は、結果、担当者がルール違反で路頭に迷うこととなってしまうかもしれない。

だからこそ私は、広告については稟議書の事前の提出、実施後の報告など、手間がかかり邪魔くさいという文化を社内に醸成させました。そうすれば担当者は広告費をかけない方法を考えるようにもなると思ったから。

楽天さんから依頼されたネーションズ講師を務める際にも、生徒の皆さんへの最初の一言は「広告は魔物です」でしたから。

そもそも、ECはコストが見えにくい構造になっている

ただね、これは広告費だけの問題じゃないんです。

ECって、そもそもコストが見えにくい構造になってます。

試しに、月商1,000万円だった場合の楽天店舗の費用を並べてみましょう。
(参考: Finner「ECの利益率・損益計算」)

  • システムロイヤルティ(出店手数料): 約3〜4%

  • 楽天ペイ決済手数料: 約3%

  • ポイント原資: 約1〜3%

  • 楽天スーパーアフィリエイト: 約3〜5%(経由売上に対して)

  • その他、出店固定費

  • 送料・梱包費: 約8%

合わせると、売上の約20%弱くらいが出ていく計算になります。ここから売上原価である商品の原価(仮に50%とする)を差し引くとのこるのは約30%弱となります。

もし、RPP広告費を約5〜10%(←ここが暴れる)をしていたら、残るのは約20〜25%となってしまう。

売上1,000万円あっても手元に残るのは200〜250万円。そこから人件費や家賃を引く。健全な営業利益率は10〜20%と言われていますが、広告費をコントロールできていないと5%以下になりやすい。

物流コストも厄介です。全業種平均の売上高物流コスト比率は5.44%ですが、EC分野では宅配業者に支払う配送費がその約7割を占め、さらに上振れします。

さらに厄介なのが、これらのコストが一覧で見えないことです。楽天の管理画面では、手数料・広告費・ポイント・アフィリエイトが別々の場所に表示されます。月次で「全部足したら売上の何%だったか」を確認している事業者は、実はそう多くないんじゃないでしょか。

「把握していないコストは、管理できない」
——これが最初の落とし穴ですわ。

楽天市場は本当に高いのか

「楽天市場が一番コストが高い」という話は、どこに行ってもよく耳にしました。その度に私は「それは広告費などのコントロールできる費用も入っているからそうなるんですよ」と説明していました。だいたいの経営者は細かいところまで把握していないのでそう思っているんだな、と実感した次第です。

結論から言うと、楽天市場の手数料コストは"高くない"と思う。他のポータルサイトと比較しても似たり寄ったり。逆に楽天市場は、前のめりにお金を握って、スマホで買いたいものを探している買い物客のホットな"るつぼ"の場であると考えると可能性は未知数。圧倒的な集客力であり、楽天ポイント、楽天カードなど、まさに楽天経済圏、様様である。

実際のところ、白鳩はメガショッププランでしたので、システム利用料は約3%、その他諸々を含めて9%ぐらいだったかと記憶しています(配送料は」除く)。当時はむしろAmazonが圧倒的にコストが高かった。白鳩はファッションカテゴリーでしたので、一律売上に対して15%の手数料でした(現在は低減されていますが)。

あと、結構知られてない話で、楽天市場のシステムサービス利用料に「楽天スーパーアフィリエイト」というのがあります。何故か毎月、全体売上の20〜30%がこのアフィリエイト経由で売れているということらしい。良いのか悪いのか、金額はさほど大きくはないけど、勝手に毎月手数料を取られている。

このアフィリエイト、かなり色々と分析しましたが、結局、どこの誰に紹介してもらっているのか辿り着けませんでした。楽天さんも教えてくれへん。ただ最も多いのは、LINE経由であろうとだけは推察できた。「LINEブランドカタログ」の中の「楽天市場」を踏んで買う物をするとLINEポイントが0.5%分貰えるやつ。
一度、皆さんもRMSで確認してみてください。

と言うわけで、モールの手数料は正直どうすることもできない。ECが普及している現在では多店舗展開せざるを得ないわけで、それぞれのポータルサイトの手数料は「税金」みたいなものです。嫌なら出店しなければいいだけですけど、そうもいかない。

コントロールできるコストを、正しく管理する

これまでのような費用を整理するとき、私が一番重要だと思っていること。

それは、「コントロールできないもの」と「コントロールできるもの」に分けることです。

コントロールできないもの➖ポータルサイトの出店手数料、カード決済手数料、配送料。これらは変えられないので、最初から年間予算に組み込んでしまえばいい。毎日気にしても変わらないし、変えることもできない。考えるだけ時間のムダ。ジッと考えて変わるなら、24時間60分、86,400秒ずーっと考えるわ。

問題は、コントロールできる費用です。
広告費、クーポン、ポイント付与、値引き。

おさらいになりますが、売上の商品原価率が50%だとしたら、粗利が50%。手数料が20%。差し引き30%しか残らない。この30%をどのように調理するかは、経営者の手腕次第。滅茶苦茶大事です。

「売上を伸ばしたい」という気持ちは自然ですが、これらは全部「使えば売上が上がる」費用に見えてしまう(実際にはそうではないのに.....)。でも、残りの30%と睨めっこしながら、やりくりしてみると、そうは簡単に使うわけにはいかないのが分かる。でも、売上を優先すると、じわじわ積み上がっていく。

何とも悩ましい限りです、、、、。

ポイント施策でいうと、「本日!全商品◯◯倍」みたいな全体企画は効果てきめんです。でも、ある商品だけを10倍にしたとして、「もしかして10倍にしていなくても売れていたんじゃないか?」と思ったことがしばしばあったので、白鳩では特定商品へのポイント倍付けはあまりしないようにしていました。世の中の購買動向が商品ポイントよりは、クーポンにシフトしてきていると感じていたのもあって、そうしてました。


次回予告

気づいたら「売上は伸びてるのに、手元にお金が残らない」
——最初の話に戻ってくるわけです。

把握していないコストは、管理できない。
後編では、じゃあどこから削るか、削ったらあかんものは何かを話します。


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