見出し画像

【EC】 楽天の手数料は、本当に25%も取られているのか【モール手数料のリアル・前編】

池上です。
前回は昔のEC黎明期の話を少し書きませてもらいました。

今日は、ECと切っても話せない「手数料」の話を書いていきたいと思います。



三木谷さんが「1兆円にします」と言った日

2002年のことを、今でもハッキリと覚えてます。

その日、私は楽天さんが開いた、ある説明会の会場にいました。議題は料金制度の変更。それまで月額5万円の固定だったものを、月商100万円を超えた部分に2〜3%を課金する——今でいう従量課金へ移行します、という話でした。壇上で説明していたのは、三木谷さん本人です。

会場はざわついてました。というより、殺気立っていた、と言うほうが近いかも。ピリピリって感じ。
「聞いてへんぞ」「これは契約違反や。訴えてやる」——あちこちで店主さんたちが気色ばんでいる。値上げされるんやから、まあ気持ちは分かります。

その中で、私はというと、正直どっちでもええわ、くらいの気分でポツンと座って聞いてました。楽天の人間でもないし、肩を持つ義理もない。ただ、三木谷さんがひとこと、こう言うたんです。

「流通総額を、必ず1兆円にします」

これがね、なんでか、すんなり耳に入ってきた。

当時の楽天市場にとって"流通総額1兆円"って、夢の数字だったと思う。でも、流通総額が増えるということは、楽天市場にそれだけお客様が来て、買い物をするようになるということやん。人が集まる場所になるんやったら、うちの下着かて売れるに違いない。そのための、固定費アップのお願いなんやろな、と。だから私は「訴えてやる」の輪には入りませんでした。

——という昔話から始めたのには、わけがあります。

「楽天は高い!」これ、EC界隈でどこに行っても耳にする、もう挨拶みたいなフレーズ。最近では「実質、売上の25%は持っていかれる」なんて数字まで、まことしやかに飛び交ってます。

ほんまかいな。——今日はこれを、20年ばかり楽天でメシを食わせてもろた人間として、いっぺん解剖してみたいんです。

最初はもちろん、「高いなぁ!」と思ってた

先に、本当のところ言うときます。私も最初から「安い」なんて悟った顔をしていたわけじゃないです。

売上が小さいうちは、手数料の金額も微々たるもんです。ところが売上が増えていくと、当たり前ですけど請求金額もぐんぐん増えていく。請求書を見て「うわ〜、高いなぁ」と、そりゃ当然、感じてました。

ただね、当時は楽天市場しか、まともなポータルサイトが無かったんです。だから「高い」というより、「家賃を上げられた」という感覚のほうが近かった。商売する場所の家賃です。嫌なら出ていくしかないけど、他に店を構える場所がない、、、。

その後、Yahoo!ショッピングやら、いろんなポータルが出てきました。でも結局のところ、どこも楽天市場をベースに手数料を設定してくるもんやから、「まあ、そんなもんか」と慣れてしまった。途中からは、楽天市場の手数料を高いと感じることは無くなっていましたね。

出店する前から高いと思うんやったら、出店せんかったらええだけの話です。至ってシンプルでしょ。

「実質15〜25%」—この数字、私は認めません

最近のリサーチによると、楽天の実質コストは「システム利用料・ポイント原資・決済手数料などの必須コアで売上の8〜12%、広告まで入れると15〜25%」だそうです。

この数字を見て、私は思わず「いや、ちょっと待ってくれ」と言いたなりました。

コア部分は、たしかに売上規模で変わります。白鳩の場合は、メガショッププランで、諸々ひっくるめても固定料金の比率が安くなるので、ひと桁台に収まっていました。問題は「広告まで入れると15〜25%」のほう。

私に言わせれば、広告費を手数料に混ぜるのは、そもそも間違いでっせ。

なんでか。手数料と広告費は、性質がまるで違うからです。システム利用料や決済手数料は、出店したら否応なしに発生する、いわば逃げられん変動費用。コントロールできない費用。
いっぽう広告は、自分でアクセルを踏むかどうか決められる、コントロールできる費用です。この2つを一緒くたにして「楽天は25%も取られる」と言うのは、家賃と、自分で頼んだ出前の代金を足して「この物件は家賃が高い」と文句を言うてるようなもんです。

だから私の肌感覚では、楽天市場の手数料は「10%未満」。世間が言う「高い」の正体は、たいてい、この混ぜご飯なんちゃうかなと睨んでます。

それでも「重い」ものは重い。でも、それは税金

とはいえ、ですよ。

固定費、システム利用料、ポイント原資、アフィリエイト——じゃあどれか一つでも「重くない」かと聞かれたら、隠さず言いますわ。全部重いです。月間に1億売れたら、1千万弱の請求がくるんですから。どれも「いや」と言うて免除してもらえるんやったら、そら嬉しい限り。

でも、そうはいかへん。免除なんかしてくれへんのやから、これはもう税金だと考える。あんまり深く考えんようにする。それが精神衛生上いちばんええ。

手数料が「高い・安い」と毎月、一喜一憂している経営者は、正直、長生きできひんと私は思います。気持ちは分かるけど、神経がズタズタになってしまって、夜も寝れなく、毎日が朦朧状態に。そんなん、いやや!

税金を払いたくなかったら、TAXフリーの国に移住したらええ。それと同じで、モール手数料が嫌なら、出店をやめたらええだけです。それができひんのやったら、腹をくくって織り込むしかない。

ただし——ここは線を引いておきたい。

手数料の中でも、宅配会社に払う配送料や、段ボール代みたいな変動的なコストは、話が別です。これは交渉の余地がある。むしろ、交渉せなあかん。税金やと思考停止していい部分と、汗をかいて削りにいくべき部分。ここを見分けられるかどうかが、経営者の腕の見せどころやと思います。

ちなみに、楽天はPCより、スマホ経由の売上のほうがシステム利用料率が高い構造になってます。「スマホシフトでコストがじわじわ増えたやろ」とよく聞かれますが、お客様がスマホを使うか、パソコンを使うかなんて、こっちでコントロールできるもんやない。誤差の範囲やと割り切ってました。気にするだけ、時間のムダです。

で、本題。むしろ「安い」んちゃうか、という話

ここまで読んで、「なんや、結局は高いのを我慢しとるだけやないか」と思われたかもしれません。

違うんです。私はね、楽天の手数料は、コスパで言うたら、むしろ安いと本気で思ってます。

事実、楽天市場の各カテゴリーで売上トップを走っている経営者たちの口から、「手数料が高い」という愚痴を、私はほとんど聞いたことがない。声を大にして「高い高い」と言うてるのは、たいてい売上の小さい店舗さんなんです。

これ、意地悪で言うてるんやないですよ。構造の話です。

結局のところ、日本人はほんと、ポイントが好きなんだなぁと。これはもう抗いようのない事実。楽天ポイント、楽天カード、楽天経済圏——そのポイント好きの日本人が、財布を握りしめて「何か買うもんないかな」とウロウロしている、あのホットな"るつぼ"の中に、店を出させてもらってる。

一時期、「これからは自社サイト第一主義や」という論調が流行ったことがありました。私はそれを聞いて、内心「何言うてんの?」と斜に構えてました。だって、お客様は自分の好きなサイトで買いたいんです。その行動をこっちの都合でひん曲げて、無理やり自社サイトに引っ張ってくるなんて、ナンセンスもええとこ。

だから白鳩は、多店舗展開主義を貫きました。お客様が「下着買おう」と思ったとき、そこのポータルサイトに白鳩がおればええ。楽天で買いたい人には楽天で、Amazonで買いたい人にはAmazonで。ほぼ全部のポータルサイトに出しましたし、こちらから退店したモールは一つもありません。

考えてみたら、楽天のあの圧倒的な集客力を、自分らの力で一から作れるかというと、未来永劫、絶対に無理です。何百億かけても無理。それを、売上の数%で間借りさせてもろてる。そう捉えたら、コスパで言うたら逆に安いくらいやと、私は思うわけです。

だから、手数料で見なあかんのは、「高いか安いか」じゃない。その手数料と引き換えに、自社は何を買えているのか、何を得られているのか。そこです。

じゃあ、これから出す人はどうすればいいのか

とはいえ、これから楽天に出す小規模店さんにとっては、月額固定費だけでも重くのしかかるのは事実です。がんばれ!プランでも、年にすれば30万円。決して軽い金額やない。

はっきり言います。これからの出店は、かなりの後発組になります。だからこそ、思いつきで出したらあかん。徹底的な市場調査とマーケティングをして、腹をくくってから意思決定するべきです。特に型番商材——どこの店も同じもんを売ってるような商材で勝負するなら、それは値下げのチキンレースに自ら参加するということ。その勇気と体力があるかどうか、出す前に自問したほうがええ。

私の持論を言うときます。楽天市場に出して売れへん店は、自社サイトを作っても、まず売れません。だから今の時代、「楽天に向く・向かない」なんて選り好みは、ほとんど意味がない。

あえて一つだけ挙げるなら、楽天は女性向き、Amazonは男性向き。まあ、そのくらいの違いですかね。


次回予告

ちなみに、他のモールはどうやったか。

ほんまの話、当時のAmazonさんは手数料がダントツで高くて、これには参ってました。ファッションカテゴリーで一律15%ですからね。あと、ちょっと出店形態は違いますけど、ZOZOさんも殿様商売くらい強気で、これも困ったもんやなぁと思いながら付き合ってました。

……と、モールごとに「コストの効き方」はまるで違います。

次回・後編では、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの3つを、表面の料率やなくて「実質、売上の何%が持っていかれるか」で並べて比べてみます。しかも2026年9月に、あの"無料モール"だったYahoo!に、大きな改定が来る。この話も、知っとかんと足元をすくわれます。

「どこが安いか」やなくて、「自分の商材と規模で、どこが最適か」。そして、その実質コストをちゃんと把握して、利益を管理すること。ここまで来て、ようやく連載の本筋に戻ってくるわけです。

ほな、また。


EC経営についてnoteを書いていますので、よかったらフォローしてください。通知が届きます。
マガジンも作りました。無料です。ぜひ。

#白鳩 #EC経営 #モール手数料 #楽天手数料 #利益管理 #EC運営 #ネットショップ運営 #中小企業経営 #楽天市場 #楽天市場出店 #システム利用料 #広告費

いいなと思ったら応援しよう!