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【紀行文】宝石の国山梨の歴史を見た~彩石の蔵と山梨県立博物館

古代から山梨県は水晶の町

 山梨の文化財を見るために向かった時期は、世間ではお盆の帰省ラッシュ、もしくは河口湖町での避暑レジャーが盛んな時だったのだろう。渋滞にイライラしながら、御坂の峠を越え、そこからようやく車が流れ始めた。
 御坂峠を抜けた、向こうに甲府盆地が見えてきた。

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 最初に向かったのは、博物館ではなく、甲州天然石工房 彩石の蔵という水晶を主に展示した施設。ここは公的な施設ではなく宝石の商業施設だが、山梨の水晶採掘や宝飾加工業の歴史と発展その功罪などの説明がしっかりしており、なかなかに見応えがあった。

彩石の館内には、世界の天然石や隕石、鉱物などさまざな展示があった

 山梨県は、明治初期に始まった大規模な水晶採掘で、乱開発により水害が多発したという苦い歴史を持っているようだ。現在、山梨県産の水晶はわずかでも採れるのであろうか。

山梨県では古くから水晶が発見されていたことがわかる。代表的な産地は昇仙峡や乙女鉱山、金峰山一帯だ。

 はるか昔にさかのぼれば、縄文時代には、黒曜石の代わりに水晶の矢尻などが使われたことが分かっている。
 水晶は世界中の人を魅了してやまない不思議な力がある。ここ日本でも同じであり、水晶鉱床の開発には、厳しい規制と多くの欲望があっただろう。
 明治期に、産業的な需要から乱開発が始まり、直ぐに山梨の水晶採掘の歴史が終わりを迎えたことは悲しいが、その結果宝飾産業が根付き、今に続いている。山梨県には、日本で唯一の公立のジュエリー専門学校があるくらいだ。

近代工業化の中で、水晶研磨の技術が発展した。この水晶研磨は工業的には「水晶振動子」という安定した周波数を発する製品であり、近年IOT関係での需要が高まっているとのことだった。
水晶加工技術は、国内では他の追随を許さないくらいの差がある。

水晶は不思議な魅力がある

 水晶は不思議である。
 私は、これまで宝石にも、ましてや水晶にもほぼ興味がなかった。ところが、最近は縄文文化を勉強する中で、翡翠を入口に宝石にも興味をもった。 
 当時から、水晶には不思議な魅力があったのだろう。パワーストーンとして崇拝の対象、少なくとも装飾品として身にまとうものであったということを知った。

世界を見れば、古代にはこのような水晶ドクロも作られている

 現代においても、その水晶の持つ力と言うのは、信心の薄いような私にとっても、何かしらのパワーを感じさせる神秘性がある。実は、とある縁からこの一年位は水晶を身に着けて過ごしている。
 この水晶の力もあってか、最近はアレキサンダーテクニークに出会い、頭頂部のや肩周りの新しい感覚の発見など、感じられる変化があったことも確かだ。

水晶はさまざまな色や種類がありそこも魅力だろう

 ここには隕石も展示されており、その思いのほかの重さに、とても驚いた。この施設は、エンターテイメント的にも、学術的にも気軽に楽しめてとても良い場所だった。

本当に意外なほど重い隕石

 この彩石の蔵にはとても多くの家族連れが来ていた。よく見てみると、大人の宝石探しと言うコーナーがあり、そこでは、本物の結構高価な宝石が、もしかしたら手に入るかもしれないということで、大変な人気のようだった。

山梨県立博物館へ

 私は宝石の館を後にし、次の近くにあった山梨県立博物館に向かった。山梨県立博物館は瀟洒な設計であり、中庭及び外庭には、山梨の民俗や文化を元にした池が作られていた。

余白の台座と呼ばれる中庭の作品 山梨の大地の特徴を表している
エントランス横の池には船を模した岩がある。山梨の文化を支えた富士川の水運を象徴しているのだろうか。

 山梨県立博物館内には、山梨県の民俗を体験・体感できるコーナーがある。蔵書も結構あるようだ。

山梨の山々や地形を疑似体験できる
結構な高さ=急峻であることがわかる

 体験、体感型の展示が多く、写真は不可だったが、常設展示室や学習展示室では、ビジュアルに優れていたと思う。内容としては、考古学や歴史、そして富士川の海運文化などの勉強ができるようだった。
 しかし、少し雑多な感じがした。考古学のコーナーの近くに、区切りなく宗教関係の展示、そして次には民俗・文化関係の展示が来るなど、私は整理区分があまり分からなかった。
 そのためか、山梨県立博物館ではあまり私の心に触れるもの、気を引くものが少なかった。ただ売店コーナーで気になり購入した本がこちら。
 山梨県内に残る狼信仰について、地元の人が調べて小冊子のようだ。

山梨県内に残る狼信仰について調べたミニ冊子

 もう一つ、面白いと思ったことがあった。
 展示の中で、駿河からの生魚が届くギリギリのラインである「魚尻ライン」やそれらを運んだ主要な街道、鎌倉往還、中道往還、そして駿州往還(甲州往還)について地図で確認が出来た。山梨ではマグロの骨などが結構大量に発見されるらしい。これは駿河湾で上がった魚のかなりの数が、山梨方面に運ばれていたことを示すもののようだ。
 どうやら甲州の宿場などでマグロの解体ショーなどが行われていたようなのである。魚への渇望が強い地域で、こうした魚の本場でしかできないような興行が行われていたとは驚きだ。
 山梨の人は商いが上手なイメージがあるが、こうしたころからの伝統か。

 山梨県立博物館を出て、次に向かったのは山梨県立考古博物館。ここの企画展「呪いの世界」は大変に面白かった。


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