「トランプ=項羽」説

 サッカーの試合で、一方のチームの反則に審判がホイッスルを吹きカードを提示するのに、同じ反則でも他方のチームにはホイッスルを吹かない。

 なぜか?

 審判が他方のチームのフィールドプレーヤーを兼ねていたからだ。

 その後どうなった?

 審判が乱闘を始めた。

 現代の世界をパックス・アメリカーナと評することもあります。アメリカの覇権です。

 冷戦時代は米ソの二極時代でした。

 冷戦終結後は多極化された世界になると予想されましたが、アメリカ一強になってしまいまいました(今は中国がアメリカとの対立を強めていますが)。

 具体的には世界の警官として、イラク戦争やアフガン戦争を始めたり、最近ならベネズエラ侵攻やイランへの空爆です。

 このアメリカの覇権はアメリカが軍事力や経済力で抜きん出てた力を持つだけでは支えられてません。アメリカの統治(というか統御)、というソフトパワーあってこそです。

 つまり、国際秩序(外国とのいさかいを武力ではなく交渉で解決すること)やグローバル化(外国との垣根を取り払う)などによって、多数の国が繁栄したことです。

 自分の国の利益になるなら、覇権国に従う。そうでないなら、反発する。

 これは日本の国内政治でも同じです。

 日本人はお上に従順だとよく言われます。しかし、これは一面にすぎません。

 裏金問題や統一教会との関係などで自民党が批判を浴びた石破政権下での国政選挙で石破政権は大敗し、両議院で過半数割れしました。

 有権者からそっぽを向かれたからです。

「温柔」という言葉は、穏やかで優しいこと、温和柔順です。

 しかし、これが日本国民の習性になっているのは、日本が権威主義社会で国民がお上に従うものと教育されているだけでは説明がつきません。

 それは、政治家が国民の要望に応えているからです。70年代には環境問題が盛んになりました。この時代に、企業の利益を代弁しているはずの自民党は、環境対策に乗り出すことで、国民の要望に応えました。

 ただ、従う習性が国民にあるだけでなく、国民が従ってもいいと思う統治を政治家がしているからです。これは江戸幕府やそれ以前からあることです。

 江戸幕府の統治の過酷さの説明に六公四民や七公三民(収穫の6割や7割を年貢に取ること)が挙げられます。

 しかし、徴税の段階で代官がお目こぼしされ、実際の徴税額はそれよりゆるやかでした。悪代官とされるのは、規定を杓子定規に守る代官だったとも説明されます。

 もちろん、代官に反抗するとお目こぼしされません。

 同じ例にかわら版売りがあります。江戸時代の新聞であるかわら版は幕法では違法でした。しかし、幕府からお目こぼしされて営業を続けられました。しかし、市中の風紀を乱すと幕府から敵視されていた心中と幕政への批判をかわら版に乗せると、幕法の違反として摘発されました。

 これは現代日本でも同じです。脱税など違法行為が商習慣になっている業界で、普段はお目こぼしを政府からされているけれども、政府に立てついた企業だけ摘発されるということがあります。

 さて、イランの核開発には空爆で応えるアメリカは、イスラエルの核開発には沈黙で応えます。

 主権国家であることと、世界の警官であることは利益相反です。

 ちなみに、このダブルスタンダードはアメリカだけでなく、歴史上の覇権国家に共通です。欧州なら大英帝国(アヘン戦争の原因になったアヘンはイギリスでは禁止薬物で中国に密輸されました)、古代ローマ帝国(ローマの自由とは、ローマの命令に「はい」と答えることでした)、東洋なら中華帝国(香港の一国二制度を破りましたり、グローバル化と名の下、中国市場を閉鎖しながら輸出先には市場の自由を迫ります)、大日本帝国(大東亜共栄圏の美名の下に支配地でアヘンを売りさばいたり、米のかわりに換金作物を植えさせて飢饉を起こしました)もです(自国の利益になるならダブルスタンダードを犯すのは、覇権国家でなくても、どこでもそうですが)。

 さて、アメリカファーストを掲げるトランプ政権は、同盟国を含め外国との関係でアメリカの取り分を増やすことに執心する一方で、世界の安定と繁栄は後回しにされています。

 トランプ流の一国主義がアメリカのかじ取りになっています。アメリカファーストのスローガンのもと、アメリカの国益のため、というもくろみです。

 国益とはなんでしょうか。トランプの考えでは、高率の関税をかけて貿易相手国を脅し、アメリカのいうことを聞かない国を武力による侵略をちらつかせることです。

 たとえば、米軍のマドゥロ大統領の拘束作戦です。

 うまくいった印象が強すぎて誰も指摘していないけれど。作戦が失敗に終わっていたら、アメリカはどう後始末をつけたのだろうか。派遣された米軍の特殊部隊の兵士が捕虜にされたり。

 勝ち戦が続けば、誰でも無敵感に包まれます。そして、武力で生み出した無敵感は敗戦で消滅します。

 古代ペルシャのダレイオス大王は、ギリシャへの侵略(ペルシア戦争)がマラトンの戦いでアテネに敗れ潰えても、再戦を試みていました。

 しかし、ペルシア帝国内で反乱が相次いだため、それは終生かないませんでした。

 当時、帝国に吸収された異民族の間では、「ペルシアは無敵」「大王は神」と無邪気に信じらていたのが、敗戦で雲散霧消したからでした。

 トランプ大統領はアメリカの国力(軍事力でも経済力でも世界一)を背景に、外国の政府要人に対して、アメリカに(そしてトランプ自身に)敬意を払えと難詰します。

 これと似たような例があります。

 かつてライブドア創業者の堀江貴文は「金で心が買える」と広言しました。しかし、昔の人は言いました。

「金の切れ目が縁の切れ目」

 アメリカの軍事力をバックに敬意を買おうとしても、一戦して敗れれば、それもどこかに消えるでしょう。

 目の前のことしか見えないという意味で、似たような例があります。

 かつてベネズエラの故チャベス大統領は、高騰する食料価格の問題に対処すために、食料品店に値下げを命じました。

 その結果、市中に流通する食料品が減少し、食料品問題がこじれました。利益にならない価格なら、商売人は品物を取り扱わないからです。

 高騰の背景には、市中に流通するお金の量が多すぎたためでした。お金が余れば、貨幣の価値が下がり、物の価値が上がる。インフレです。

 この解決策は金融引き締めや緊縮財政でお金の量を減らすべきでした。

 トランプ大統領やその支持基盤のMAGAは外国から敬意を示されたくて必死ですが、アメリカの外国と比較して頭の抜けた絶大な国力を背景に敬意を払えと要求しても、それで買えるのは外面のお追従と内面での侮蔑でしょう。アメリカの国益になっていません。

 アメリカでも次のような声が上がっています。


米上院外交委員会所属の民主党議員らは10日(現地時間)に公開した56ページの報告書「後退の代償2.0:米国の経済的優位と同盟の利点を弱める」で「米韓同盟は緊張状態にある」と評価した。報告書はトランプ政権発足以来1年間の対外政策が米国の核心的戦略資産である同盟を弱体化させ、結果的に中国牽制力まで低下させていると分析した。

この報告書は「トランプ政権は中国に対抗する統合戦線を構築するどころか、同盟国が自らを防衛するように追い込んでいる」とし、「さらに一部は米国の最大競争国と協力するように追い込まれている」と批判した。続けて「このような選択は大国競争における米国の戦略的失敗として残るだろう」と警告した。中国を圧迫すると言いながら始まった外交が実際には同盟から揺らぎ、その隙を中国が突くことになれば、それは「強い米国」ではなく「孤立する米国」になる道だというのが民主党の見方だ。

「米国は弱く、中国は強く」トランプの同盟裏切り外交に民主党が痛烈批判
https://www.kangnamtimes.com/ja/report/article/575889/

 アメリカ離れは東洋だけではありません。欧州でもです。英仏独加の世論調査です。


トランプ大統領の下にある米国と中国のどちらを頼るべきかとの質問に対し、ドイツでは40%が中国、24%が米国と答え、36%は分からないと答えた。英国でも中国が42%、米国が34%で、分からないは24%だった。フランスでも中国を選んだ回答が34%となり、米国の25%を上回った。分からないは40%に達した。同じNATO加盟国であるカナダでは57%が中国を挙げ、米国を選んだ回答は23%にとどまった。

今後10年後、米国と中国のどちらがより支配的な国になると思うかとの質問でも、中国を挙げる回答が優勢だった。ドイツでは51%が中国、33%が米国、カナダでは49%が中国、35%が米国だった。フランスでは中国48%、米国36%、英国では中国45%、米国41%となった。一方、米国では63%が自国を選んだ。

「中国の方が頼りになる」…英仏独世論調査で衝撃! 米国はNATO内で孤立か
https://www.kangnamtimes.com/ja/report/article/575842/

 尊敬されるには、余人には真似のできない成果をあげて世界に貢献しないといけません。はい、解決。簡単ではないって? だれでもできることを誇っても、あべこべに「こんなことでしか自慢できないのか」とバカにされます。

 まあ、taigaにもどうすればいいのかわからないのですが。ロシアのウクライナ侵略で壊れた国際秩序、格差が拡大するグローバル化。これらに変わる新しい国際秩序を生みだして、自国も世界も繁栄できるものが求められます。言うのは簡単ですよね。

 外国とのいさかいを戦争ではなく交渉で解決する国際秩序は、二度にわたる大戦を防げなかったことを教訓に戦後、アメリカが主導して構築したものです。

 それをアメリカがみずからの手で壊しています。

 国際秩序を守ることは国益にかなうのでしょうか。あるいは、自国の手を縛る枷なのでしょうか。

 トランプの考えでは後者です。

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これを読めば平等社会のエリートになれます。共通の認識や価値観がある友人が、グループの内外に見つかります。その時々の社会の問題の解決を図りま…

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