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気づいてしまう人


朝の職場は、

いつもと同じように、

パソコンの音が響いていた。

 

その中で、

ひとつだけ、

少し静かな声があった。

 

子供のころから、

「気にしすぎだよ」と、

よく言われてきた。

 

誰かの声のトーンが、

少し変わっただけで、

気づいてしまう。

 

そのたびに、

「そんなの、気のせいだよ」

と、

自分に言い聞かせてきた。

 

先週、

同僚が、

いつもと変わらない顔で、

仕事をしていた。

 

返事はいつも通りだった。

 

でも、

笑う前の間が、

少しだけ長かった。

 

コーヒーを置く音が、

いつもより静かだった。

 

「最近、大丈夫?」

 

軽く聞いただけなのに、

その人は、

少し驚いた顔をした。

 

「……よく気づいたね。」

 

そう言って、

少しだけ、

話してくれた。

 

それだけのことだった。

 

でも、

その人は、

帰り際に、

「話せてよかった」

と言った。

 

気づいてしまう自分を、

ずっと、

面倒くさいと思ってきた。

 

小さな変化に、

振り回されているようで、

嫌になることもあった。

 

でも、

その「気づいてしまう力」が、

誰かにとっては、

救いになることもあるらしい。

 

強くなくてもいい。

 

ただ、

気づける自分でいることが、

誰かの支えになる日もある。

 

夜道を歩きながら、

すれ違う人の表情を、

また私は見てしまう。

 

きっと、

明日も気づいてしまう。

 

それでも、

その手が届くなら。

 

 

今は、

その自分を、

責めなくなった。

 

気づいてしまう私は、

弱いんじゃなくて、


支える力が、

あるのかもしれない。




「一緒にいても、疲れない人」

他者との関係において、無理に自分を調整しなくていい心地よさの話。
よければ、あわせてどうぞ。


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