🇿🇼ジンバブエ編13-2 | 「一生結婚しない」と言っていた旅仲間が、2週間後に現地で結婚【教科書に載っていない世界一周】
「私たち、結婚することに決めました。」
ハラレの安宿で2週間ぶりに再会した日本人女性は、開口一番そう言った。
その隣には、見知らぬ黒人が立っている。
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
彼女とはケニアからザンビアまで、何度も同じバスに乗り、同じ宿に泊まり、旅を続けた仲だった。
旅の途中、彼女は何度もこう話していた。
「私はもう一生結婚するつもりはない。」
だからこそ、その一言はあまりにも衝撃的だった。
(この記事は110ヶ国を訪問した筆者が、なかでも最も刺激的だった2001年からの13ヶ月にわたる世界一周を、現在の目線で振り返ったものです)
💍「私は一生結婚しません」
彼女は33歳。派遣社員を辞めて世界を旅していた。
以前結婚していたが、何があったか離婚し
「私はもう一生結婚はしない。」
そう何度も話していた。
🇿🇲ザンビアでそれぞれ別の目的地へと進んだ。
それからたった2週間。
ハラレの宿で再会した彼女の隣には、ザンビア人の男性が立っていた。
「旅先で出会って、結婚することにしたの。」
まさに青天の霹靂だった。
⚖️裁判所で始まった結婚式
さらに驚いたのは、その結婚式だった。
「よかったら来てください。」
案内された先は、結婚式場ではない。
裁判所だった。
ジンバブエでは、裁判所で婚姻登録を行うことが一般的で、その場で法的に夫婦となる。
他に列席者はほとんどおらず、ぼくら旅仲間3人が参列した。
裁判官が婚姻の成立を宣言する。
厳かな空気の中、式はあっという間に終わった。
「日本人らしい祝い方をしよう」と考えたぼくらが選んだのは、まさかの「君が代斉唱」だった。
小さな裁判所に、日本の国歌が静かに響く。
続いて「お嫁サンバ」を歌った。
どちらも彼女には意外だったようで、楽しんでもらえたようだ。
あれほど「一生結婚しない」と言っていた彼女が、
わずか2週間で人生最大の決断をしてしまうとは。
そこまで深い関係ではなかったので、
彼女が決断に至った背景までは分からない。
だが、旅というものは、本当に人を変えてしまうことを改めて実感した。
🐭東京23区の1/4にたったの3人
結婚式を見届けた数日後、参加した日本人の旅仲間2人とともに、
🇲🇿モザンビーク国境近くのチマニマニ国立公園へ向かった。
バスを乗り継ぎ、さらにトラックに揺られ、最後は歩いて入山した。
山あり谷ありの険しい地形が続く、東京23区の1/4ほどの広さを持つ国立公園だ。管理局に聞くと、驚いたことに入園している者はぼくら3人だけだった。
人気のない登山道。周りの景色を楽しみながら何時間も歩く。
遥か東には🇲🇿モザンビークとの国境の山々。
滝壺では海パン1枚になって泳ぎ、岩場をよじ登る。
聞こえるのは鳥の声と風の音だけだ。
見渡す限りの自然を独占するという、
贅沢すぎる感覚を味わうことができた。
🌙夜になると主役が入れ替わる
しかし、本当の主役は夜になって現れた。
山小屋のバンガローに寝袋を敷き、電気を消した途端、
ガサゴソ、ガサゴソ。
静まり返っていた部屋のあちこちから音が聞こえ始めた。
ネズミ🐀である。
一匹ではない。
数匹が部屋中を走り回っている。
狙いはぼくらが持ち込んだ朝食用のビスケットだった。
面白いのは、人間など全く恐れていないことだ。
寝ているぼくらのすぐわきを駆け抜け、
ぼくのほっぺったを尻尾で「ペシッ」と叩いていく。
こんな経験は人生で初めてだった!
電気をつける。
ネズミは消える。
消す。
また戻ってくる。
「だるまさんが転んだ」のようだった。
このままでは三日分の食料を全部食べられてしまう。
そこでぼくらは荷物からロープを取り出し、
天井の梁へ結び付け、その先に食料袋を吊るした。
獲物を目の前にしながら手が届かず、部屋中を走り回るネズミたち。
その足音を子守歌代わりに、ぼくらは眠りについた。
人間とネズミの知恵比べは、どうにか人間側の勝利で終わった。
🌍旅での一瞬先は予想だにつかない
チマニマニの雄大な自然は、確かに素晴らしい景色だった。
だが、二十年以上経った今でも鮮明に覚えているのは、
裁判所で君が代を歌った結婚式と、ネズミに頬を叩かれた夜である。
世界を旅していると、予定していた出来事よりも、
予想もしなかった出来事の方が深く心に残る。
「あの時は、一生結婚しないと言っていたのに。」
彼女は、その後どんな人生を歩んだのだろうか。
今となっては知る術はない。
それでも、旅はそんな偶然に出会えるから面白い。
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