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🇦🇪UAE編7-5特別編| 中東でラマダンを体験すると価値観が変わる【教科書に載っていない世界一周】

食事が取れないと、人は変わるのだろうか。実は、気分も、時間の感じ方も、一日の価値さえも変わる。それを実感できるのがラマダンの1ヶ月だ。

ここでは湾岸諸国で体験した断食の体験をお伝えしたい。


🌙 ラマダンという「時間のルール」

これほど国際化した都市であるドバイだが、ここはれっきとしたイスラム教の地域でもある。残念ながら、私が訪れた時期はちょうど「ラマダン」と呼ばれる断食の月にあたっていた。

イスラム教の戒律では、約一ヶ月のあいだ「昼間」(太陽が出ている間)は飲食をしてはならない。しかもこれはイスラム教徒だけでなく外国人にも適用され、公共の場で飲食すると、罰則刑や警告の対象となることもある。

🇸🇦サウジアラビアなど戒律の厳しい国には、通常の警察とは別に「宗教警察」というものが存在する。戒律に違反する行為を取り締まる組織である。当時は日常生活にも影響を及ぼす存在だった。

当時サウジアラビアへ出張に出かけた先輩が、ある日突然連絡がつかなくなった。数日後にようやく連絡がついたが、宗教警察に捕まり、なんと留置所に入れられていたそうだ。滞在中のホテルの敷地の外をうっかり半ズボンで出歩いた時に、宗教警察に見つかってしまったという。拘束されると釈放されるまで外部との連絡がつかなくなる。行方がわからず、当時社内は大騒ぎになった。当時、ラマダン中に公共の場で食事をした際にも、この宗教警察に拘束されると聞いたことがある。10年くらい前にその権限も縮小されたようだが、中東(特に戒律の厳しいサウジアラビアやクウェート)を訪問する際には注意を払った方がいい。

異教徒であるぼくらは、見えないところで食べるのは問題ない。だが"郷に入りては郷に従え"。せっかくの機会なので試しにラマダンを実践し、朝から断食を始めてみた。昼までは問題なく耐えられる。しかしその後、お腹がグーグー鳴り始め、夕方になるころには結構空腹に。気分まで沈んでくる。三度の食事が一度になるだけで、その日がいかにつまらなくなるかを実感した。日没が待ち遠しくてたまらなくなった

🎉 日没とともに始まる“毎晩のお祭り”

ラマダン中、街は普段とはまったく異なる雰囲気になる。昼間のレストランはほとんど閉まり、人通りも少ない。街全体が静まりかえり、時間もゆっくり流れているかのようだ。職場でも社員の効率はかなり低下する。見ていると、仕事をしているというよりは、「なるだけエネルギーを消耗せずに空腹を耐えている」という感じの人が多かった。

しかし日没とともにモードは変わる。例えば🇧🇭バハレーンでは日没と同時に、大砲の音が「ドーン!」と街に響き渡る。断食が終わったことを知らせる合図で、ラマダン・キャノンと呼ばれる。現代でも大砲が使われているのには驚いた。

その時、“待ってました!”とばかりに食事に飛びつくのは外国人くらいで、礼儀を重んじるイスラムの人たちはそんな品のないことはしない。お互いに譲り合いながら静かに食事を始める

とはいえラマダン中の夜は、どの家庭もお祭りのように賑やかだ。バハレーンで日本語教師をしている日本人と知り合いになり、ちょうどこの時期にバハレーン人の家庭に招待してもらった。日没とともに他の客人と食卓を囲むと、次から次へと山のように料理が運ばれてきた。娯楽の少ない社会では、この断食明けの食事が最大の楽しみの一つのようだ。

現地の人たちは、夜7時半の日没と共に朝食を食べ、深夜1時ごろに昼食、そして夜明け前の5時ごろに夕食という具合に、きちんと三回食べていた。つまり、この地域では一ヶ月のあいだ「昼に活動し、夜に休む」という生活が完全に逆転していた。夜に三食も食べる生活は慣れない限り難しく、ぼくは一日一食が精一杯だった。ドバイでは日中は宿でこっそり食事をとることにした。

ラマダン明けに食べることも多いご馳走「ビリヤニ」

🍽 食事のありがたみを思い出す

ラマダンを体験すると、一食一食のありがたさがよく分かる。日没後は何を食べてもおいしく感じられる

イスラムの教えでは、身分や貧富に関係なく、食べ物のありがたみを皆が同じように実感することが大切であり、それがラマダンの目的だと聞いたことがある。

ぼくら日本人は、普段当たり前のように三度の食事をしているが、その一つ一つが日々の満足感や生活のリズムを支えている食事は一日の質そのものを左右するものであることがわかる。ラマダンの一ヶ月は、その事実を強く実感させられた時間でもあった。

最後に余談だが、ラマダン中にこっそり隠れて食べるご飯の味は"格別"である。

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(この記事はこれまで110ヶ国を訪問した筆者が、そのなかで最も刺激的だった2001年からの13ヶ月にわたる世界一周🌏を、現在の目線で振り返ったものです)

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