🇰🇪ケニア編8-2| アフリカの旅は情報が命〜毎晩“勉強会”を開く旅人たち【教科書に載っていない世界一周】
ぼくが首都ナイロビで泊まったのは、ダウンタウンのど真ん中にある安宿だった。しかもそこは、「最も治安が悪いといわれるエリア」。普通に考えれば避けるべき場所だろう。それでもあえてそこを選んだ理由はただ一つ。
(この記事はこれまで110ヶ国を訪問した筆者が、なかで最も刺激的だった2001年からの13ヶ月にわたる世界一周🌏を、現在の目線で振り返ったものです)
🧭 アフリカでは「情報=生存条件」
アフリカを旅して感じるのは、情報の価値が日本とはまったく違うということだった。
日本であれば、ネットやガイドブックの情報はある程度信頼できる。多少古くても、大きな問題にはならない。しかしアフリカではそうはいかない。
状況は頻繁に変わる。国境の通過条件、ビザの取得方法、治安の悪化、交通手段の有無――どれも数週間で変わることがある。
特に国境越えの情報は、旅行者にとってまさに死活問題。通れると思っていたルートが閉鎖されていたり、ビザが取れず足止めされたりすれば、その先の旅程はすべて崩れる。この地域では、「知らないこと」がそのままリスクに変わるのだ。
🏨 日本人宿という“情報拠点”
ぼくが泊まった宿(New Kenya Lodge)には、日本人旅行者が多く集まっていた。多いときには10人以上が滞在。それぞれが違うルートでアフリカを移動している。
つまり、その宿には「最新の現地情報」が自然と集まってくるのだ。
新しい旅人がチェックインすると、"勉強会"が始まる。ロビーに集まり、みんなで話を聞くのだ。どの国を通ってきたのか、どこが危険だったのか、次はどこへ向かうのか。情報共有の時間が始まる。そんなことが自然とできるのは、お互い日本人同士だからでもある。
📝 勉強会で共有されるリアルな情報
ここでやり取りされる内容は、観光情報ではない。
もっと実務的で、現実的なものばかりだった。
たとえば
経済制裁の影響で通貨が急落しているジンバブエドルの実勢レート
内戦が続くブルンジに今、入国できるのか
取得が難しいスーダンのビザをどうすれば取れるのか、その具体的な方法
ウガンダでゴリラを見るなら、どの地域に行けば確実か
といった情報が飛び交う。
ガイドブックには載っていない、しかし旅を続けるためには欠かせない情報ばかりだった。
ぼくらはその一つひとつを逃さないよう、各々ノートに書き留める。そのときの自分たちの必死な様子は、まるで試験前の受験生のようだった。
👧 見た目で判断できない渋ギャルの正体
その宿には、さまざまなタイプの旅人が集まってきた。
なかでも印象的だったのが、ある日本人女性だった。見た目は、渋谷あたりを歩いていそうな、20代半ばの小柄な茶髪の可愛いらしい女性。いわゆる「普通の女の子」に見える。
しかし話を聞くと驚かされる。バックパックを背負って一人で南アフリカに入った彼女は、陸路で大陸を北上、エチオピアで西へ進み、アフリカ西岸まで旅してきたという。すべて陸路だ。経路の一つであるアルジェリアは当時、内戦状態が続いており、最も危険な地域。現地では日常的にも住民が殺されている地域だった。外国人旅行者などほとんどいない場所。
しかも道中マラリアにかかり、一度倒れたそうだ。それでも彼女は旅を続け、最終的にはセネガルまで自力で到達していた。その後、ケニアまで飛んできたのだが、ギャルっぽい風貌からはまったく想像できない行動力だった。
日本では一般的に、女性は男性より行動が慎重だと思われがちだが、実際にはそんなことはない。世界を回ると、大胆な行動をしている旅人には女性の方が多かったりする。特に新興国ではそうだ。ただ、彼女らは大胆そうに見える一方で、絶えず神経を張り詰めて旅をしている。そのため実際に犯罪に巻き込まれることは少ない。彼女もそんなタイプの女性の一例だった。
🧠 情報が集まるのが安宿
これまでの旅では、多少の情報不足はなんとかなっていた。
しかしアフリカでは違うのだ。情報がなければ進めない。間違った情報を持っていれば、簡単に行き詰まる。だからこそ、ぼくらは現地情報に詳しい英文のガイドブック(Lonely Planet)などを熟読した上で、旅人から毎晩のように情報を集め、整理し、次の行動を決めていった。
ナイロビで実感したのは、情報は本やネットではなく「人」から得るものだということだ。そしてその量と質は、どこに泊まるかで大きく変わる。快適な高級ホテルでは得られない実践的な情報が、安宿には自然と集まってくるのだ。僕がこの安宿に泊まった目的もまさに「情報」だった。
ただ、ぼくはこのとき「情報さえあれば乗り切れる」と思っていた。だが、その考えが甘かったことを、すぐに思い知らされることになる。
(もしこの記事のどこか一行でも、「なるほど」「考えさせられた」と感じたら、「いいね❤️」を押してもらえると励みになります)
