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信じることと、管理しないことは、別だった。──横領が教えてくれたこと

会社をいくつも引き受けてくると、いろんなトラブルに遭います。
その中でも、いちばんこたえたのは、横領でした。
詳しいことは書きません。会社も、人も、金額も。ここで書きたいのは、犯人探しではなく、それを防げなかった自分の話だからです。

正直に言うと、当時の私は、人を信じすぎていました。
いい人だと思っていた。実際、いい人でした。
でも、「いい人かどうか」と「仕組みがあるかどうか」は、まったく別の話だった。
お金を扱う場所を、ひとりの目だけで回る状態にしていたのは、私です。魔が差す隙間を、自分で用意してしまっていた。

発覚したとき、いちばんこたえたのは、金額じゃありませんでした。
「この人なら大丈夫」という自分の判断が、外れていたこと。人を見る目には限界がある、と突きつけられたこと。
これが、地味に長く残りました。

そこから、仕組みを変えました。
詳しくは書きませんが、要は「ひとりで完結させない」。お金の流れに、必ず複数の目が入るようにする。チェックされる前提で回るようにする。
これは、相手を疑っているわけじゃない。むしろ逆です。仕組みがしっかりしているほど、人は疑われずに済む。いい人を、いい人のままでいさせるための仕組みだと思っています。

いま私が持っている考え方は、たぶんこうです。
人は、性善説で見る。仕組みは、性悪説で作る。
信じることと、管理しないことは、別だ。
信じているからこそ、管理する。
いまは、そう思っています。

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